金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第八十七話  ペットはいかが?

 小人の国は本当に自由だった。どこに行っても。


「ねえ、そろそろ、何か新しい使い魔飼う気になった?」
「……はい?」
 エベリナが私に聞いてくるが、なんのことを言っているのだろう?


「シナモンちゃんの次、よ。農業の国だから、結構たくさんいるのよ」
「……で?」
「だからさ、そろそろ何か飼ってみない?」


 とは言っても。こうもりだの不死鳥だの飼ってるからなぁ……。飼ってるとは言えないが。


「エベリナ! どうして使い魔と言った? 私はペットだと言ったはずだ」
「ペ、ペット……?!」


 な、何をいきなり……! というか、なんで今?


「やっほー! 見てみて、ソフィ!」
 リリアーナが馬に乗って登場した。カポカポと音がする。
「と、いうことだ。エベリナ」
「ん。おいで」


 にゃあ、と鳴き声がして、子猫が入ってきた。地球にいるような、普通の大きさ。
 エベリナの前に来ると、ぴょん、と肩に飛び乗った。


「私は、おおい!」


 真っ白なふくろうが来た。肩に止まると、髪をいじり始めた。


「ということだ。これは、もらったのだがな」
「もらった?」
「うん、この前、助けた商人いたでしょ?」


 そんな人もいたなぁ。草原で魔物に囲まれてたところを、私たちが蹴散らした。


「その人、ペット商人なんだって」
「それでこいって?」
「一応見てみろよ」
 マリアは私を引っ張って連れて行った。










「むぅ……。確かに、可愛い」


 小動物なら、うさぎやハムスター、小鳥もいる。小さな子犬や子猫も。
 少し進むと、大きなオウムやふくろうなどの大型の鳥、亀や蛇などの爬虫類が。
 もっと行くと、馬や羊などの家畜の類の生き物が。


「どれでも差し上げます。もう少しで、全滅してしまうところだったのですから」


 なるほどねぇ……。でもなぁ……。
 まだ、シナモンに悪い気がするし、それよりも、また、同じことになりそうで、正直、怖い…………。
 雰囲気を感じ取ってか、小さな生き物たちが不安そうに寄ってきた。
 いつだってそうだ。森にいても、草原にいても、小さな生き物は私に寄ってくる。生き物に、好かれてるんだろうな、トレア……。


「お気に召さないようでしたら、もっと大型もいますよ、こちらです」


 ついて行くと、ライオンや虎などがいた。熊やワニなんかもいる。
 みんな子供のようで、小さい。なんだか、こっちの生き物も、向こうと変わらない雰囲気がある。


「そ、ソフィ、こんなの飼うの……?」


 リリアーナたちは怖がって近寄って来ないが、少なくとも、私はそんな雰囲気は感じられない。
 檻越しだと、よく分からないな。流石に……。


「少し、檻を開けてもらえないですか?」
「え?! 危険じゃないですか?」


 ダメか……。私が落ち込むと、ペット商人は慌てたようにして気をつけるよう十分注意してから開けてくれた。
 ……やはり。この子たちは、私のことを警戒していない。それどころか、リラックスしていて、挙げ句の果てに構ってもらおうとしている。
 つまり、私の生き物に好かれるというのは、間違いがない。こんなところで確かめられるとは。


「どうです、気に入ったの、いました?」


 くるりと見回してみる。熊の子、虎の子、ワニの子……。たくさんいるけど、私は……。


「この子は?」
「ユキヒョウです。可愛いでしょう」


 ちゃっかり私の膝に乗ってる。いや、正座した膝の上に乗れるサイズなわけないから、前足だけだけど。
「私と、いたいの?」
 ニャーン、なんて鳴いてる。嘘、豹って、ニャンって鳴くの?
「では、その子はソフィア様にお任せいたしましょう」










「ゆきちゃん、おいで」
 ユキヒョウゆきちゃんはあまりに小さくて可愛い。でも、大きくなったらどうなるんだか……。


 リリアーナはココアという馬を乗りこなしている。結構似合う。流鏑馬、的な?
 マリアはフクロウに芸を覚えさせていた。投げた木の棒を持ってくるまでになっている。
 エベリナの子猫は、エベリナの肩に乗っている。ポイントの猫だ。


「きゃー! たのしー。ココアちゃん、曲がって」


 リリアーナがさっきから草原をうろうろしている。練習だろうか? 芸?
 ……豹って、芸覚えるっけ?


「とりあえず、思い通りに動かすことくらいは出来るようにしないとな……」
「お、ソフィ、芸仕込む気にでもなったか?」
「ん? うん。って、芸? いや、だって、思い通りに動かなかったら、危ないじゃない」


 だってほら、うっかりすると魔物に怪我負わされる。危なくて仕方ない。
 といっても、よくやり方わからないんだけど。どうすればいいのかな?
 なんか見たことあるような気もするけど……。


「なんだソフィ、知らないのか? 教えてやる」










「ゆきちゃん、おいで」


 私の後についてくることくらいは出来るようになった。っていうか、それくらいなら簡単だった。
 ところで、エベリナの子猫がこっちを見ているけれど、なんだろう。


「ねぇ、その子、なんていうの?」
「ホイップ。ふわふわでしょ?」


 うーん……。なんだろう。本当にすごく見られてるんだけど。


「ねえ、どうかした?ホイップちゃん?」
「にゃあ!」


 あ、忘れてた、生き物にやたら好かれるんだよなぁ……。ってことは……。


「うわ! ちょ、リナ、笑ってないでって、ああ! リナ! なんとかしてぇ!」


 ホイップちゃんとゆきちゃんに同時に襲われました。
 一匹ならまだしも、二匹に飛びつかれると思い切り後ろに倒れることになるのは必須だ。


 しかも笑ってるだけで、誰も助けてくれない。もう……。三人じゃなかったら怒ってたからね?

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