金髪、青目の美人エルフに転生!
第八十三話 全て話すから・・・。
目が覚めた。体を起こして、辺りを見回してみる。暗いけれど、閉じられたカーテンから、わずかに光が入ってきている。朝だろう、と私は考える。
そうだ、ここは隣の部屋だったか。どうりで景色が違うわけだ。
起きようかと思ったけれど、誰も起きていないようだし……。こういう時、必ず先に起きてるのは……。
「シナモン……」
そうか、シナモンだ。いつもそうだった。私よりも、絶対早く起きていた。
なんだか、急に悲しくなった。今更だけど、シナモンがいないと、何かが抜けてしまったような感覚に陥る。
「えっ……。ソフィ? どうしたのぉ?」
隣のベッドにいたリリが起きたようだ。心配させてしまうなんて、またやっちゃったな。
「そうだぁ。リナはまだ起きないだろうしぃ……。いつものことだしねぇ。聞いてもらおっかな」
「……? な、何を?」
リリアーナは少し考えるような仕草をして、私のことを見つめた。
「うーん、じゃあねぇ、ソフィに会う前かなぁ。ほら、私、マリとリナといるとさぁ、一番年下でしょ? その上、マリは背は低いけどやたら大人びてたしぃ、リナもたまに幼くなるけど、優しいしぃ、気配りもできるいい人じゃん? ずっと、私のお姉ちゃんだったの」
リリアーナはエベリナの方を振り返った。起きそうにない。いつものこと。エベリナは全然起きない。
「それでさぁ、ソフィが来て、これだって思ったのぉ。ちっちゃくて、可愛くて、何にも知らない、妹」
ああ、その頃は、こっちの世界のこと全然知らなくて、いろいろ説明してもらったっけ。
そうだ、あの時の私なら、リリアーナには妹にできるだろう。私も、問題ないだろう。
「でも、思ってたのと違ったのぉ。ソフィ、私おいて、どんどん先に行っちゃった。ホントなら、妹に負けるなんて、ありえないはずでしょ?」
そうか。あの時、既に五年だったことを、知らなかったのかもしれない。
でも、リリアーナはあのあと、五年で卒業したはずだ。全部で六年。私は五年だけど、マリアとエベリナは六年のはずだ。
「私、卒業、一番遅かったから。置いてかれちゃったよぉ。何もかも」
リリアーナはそっと笑った。そうか。その分、できないことだってある。年なんか、関係なかったんだ。
「しかもさぁ。こうやって旅しても、結局私、役たたないんだもの。昨日ねぇ。あの時の事、思い出しちゃったんだぁ」
それは……。気づかなかったのは、リリアーナの責任だけじゃない。
少なくとも、私にとってはリリアーナはお姉ちゃんだ。誰が何と言おうと、それは変わらない。
しかし。私が口を開くより先に、リリアーナが言う。
「って、愚痴なんか聞いてもらっちゃって悪いねぇ。なんか、誰かに話したかったからさぁ」
ガチャリと音がする。扉を開けてマリアが入ってきた。
「おはよう、二人共。相変わらずエベリナは起きないんだな?」
「昨日は、悪かったな。帰らなきゃって思って、後ろのことなど、気にかけていなかった」
「気にかけてても見えなかったって。もういいからさ」
私が言うと、マリアは安心したように笑ってくれた。今日は本当に平和だ。何処にも行っていないから。
あんなことがあってすぐ、私を外になんて出したくないんだろう。当然だ。私だって、出たくない。
「じゃ、お休み」
「ああ。また明日」
もう何度目にしたことだろう。トレアのいる空間。
「あ、ソフィアちゃん。大丈夫?」
「昨日のは、どんな不幸だったの?」
トレアはびくっとして私を見た。当然、何かの不幸を分散させたんだろう?
「わかってたんだ。まあ、今日はそれを話そうと思ってたんだけど」
トレアはため息をついて話しだした。
「転ぶのは、ソフィアちゃんでなく、ジェイドになるの。それで、一人でいる悪魔を見つけた天使に殺される」
「……。つまり、ジェイドが死んでたってこと?」
そういえば、どうしてここまで正確に未来が読めるんだろう。トレアにそんな能力があるんだろうか?
「あ……。そうね、そろそろ本当のことを言うから、明日、十時、五人、同じ部屋にでもいて」
「え? それってどういう……。あ」
会うってこと……? な、なんて唐突に……。
「いい……? 絶対に、他の人には言っちゃいけないわ。私と会ったこと、言ったこと、全部」
「わ、わかった。その場にいた人のみってことね?」
トレアの言葉は、緊張したような声色だった。自然にこちらも真剣になる。
「ごめん、なんか、振り回しちゃって。でも、蒼空のままでいるのも、もったいないと思って……」
「……は? 蒼空と、何の関係が……?」
トレアはハッとしたような顔をして、それから俯いた。
「それも、明日、きちんと説明する。だから、今は聞かないで。多分……きゃっ!」
トレアがしゃがんだ。何かと思うと、頭の上を矢のようなものが通り過ぎた。ドキリとして、何も言えなくなる。
「と、とにかく! これ以上聞かないで! さあ、早く!」
え……?! 私、どう帰れば……? それでもなんとなく逃げようと後ろを振り向くと……。
「ひゃっ?!」
真っ暗だった。さっきまで明るかったのもプラスされ、何も見えない。
にしても、びっくりした……。胸に手を当てて呼吸を整える。
「どうしたんですか?」
心配したようなジェイドの声。ってことは。
ああ、帰って来れたんだ。でも、さっきのって……。
そうだ、ここは隣の部屋だったか。どうりで景色が違うわけだ。
起きようかと思ったけれど、誰も起きていないようだし……。こういう時、必ず先に起きてるのは……。
「シナモン……」
そうか、シナモンだ。いつもそうだった。私よりも、絶対早く起きていた。
なんだか、急に悲しくなった。今更だけど、シナモンがいないと、何かが抜けてしまったような感覚に陥る。
「えっ……。ソフィ? どうしたのぉ?」
隣のベッドにいたリリが起きたようだ。心配させてしまうなんて、またやっちゃったな。
「そうだぁ。リナはまだ起きないだろうしぃ……。いつものことだしねぇ。聞いてもらおっかな」
「……? な、何を?」
リリアーナは少し考えるような仕草をして、私のことを見つめた。
「うーん、じゃあねぇ、ソフィに会う前かなぁ。ほら、私、マリとリナといるとさぁ、一番年下でしょ? その上、マリは背は低いけどやたら大人びてたしぃ、リナもたまに幼くなるけど、優しいしぃ、気配りもできるいい人じゃん? ずっと、私のお姉ちゃんだったの」
リリアーナはエベリナの方を振り返った。起きそうにない。いつものこと。エベリナは全然起きない。
「それでさぁ、ソフィが来て、これだって思ったのぉ。ちっちゃくて、可愛くて、何にも知らない、妹」
ああ、その頃は、こっちの世界のこと全然知らなくて、いろいろ説明してもらったっけ。
そうだ、あの時の私なら、リリアーナには妹にできるだろう。私も、問題ないだろう。
「でも、思ってたのと違ったのぉ。ソフィ、私おいて、どんどん先に行っちゃった。ホントなら、妹に負けるなんて、ありえないはずでしょ?」
そうか。あの時、既に五年だったことを、知らなかったのかもしれない。
でも、リリアーナはあのあと、五年で卒業したはずだ。全部で六年。私は五年だけど、マリアとエベリナは六年のはずだ。
「私、卒業、一番遅かったから。置いてかれちゃったよぉ。何もかも」
リリアーナはそっと笑った。そうか。その分、できないことだってある。年なんか、関係なかったんだ。
「しかもさぁ。こうやって旅しても、結局私、役たたないんだもの。昨日ねぇ。あの時の事、思い出しちゃったんだぁ」
それは……。気づかなかったのは、リリアーナの責任だけじゃない。
少なくとも、私にとってはリリアーナはお姉ちゃんだ。誰が何と言おうと、それは変わらない。
しかし。私が口を開くより先に、リリアーナが言う。
「って、愚痴なんか聞いてもらっちゃって悪いねぇ。なんか、誰かに話したかったからさぁ」
ガチャリと音がする。扉を開けてマリアが入ってきた。
「おはよう、二人共。相変わらずエベリナは起きないんだな?」
「昨日は、悪かったな。帰らなきゃって思って、後ろのことなど、気にかけていなかった」
「気にかけてても見えなかったって。もういいからさ」
私が言うと、マリアは安心したように笑ってくれた。今日は本当に平和だ。何処にも行っていないから。
あんなことがあってすぐ、私を外になんて出したくないんだろう。当然だ。私だって、出たくない。
「じゃ、お休み」
「ああ。また明日」
もう何度目にしたことだろう。トレアのいる空間。
「あ、ソフィアちゃん。大丈夫?」
「昨日のは、どんな不幸だったの?」
トレアはびくっとして私を見た。当然、何かの不幸を分散させたんだろう?
「わかってたんだ。まあ、今日はそれを話そうと思ってたんだけど」
トレアはため息をついて話しだした。
「転ぶのは、ソフィアちゃんでなく、ジェイドになるの。それで、一人でいる悪魔を見つけた天使に殺される」
「……。つまり、ジェイドが死んでたってこと?」
そういえば、どうしてここまで正確に未来が読めるんだろう。トレアにそんな能力があるんだろうか?
「あ……。そうね、そろそろ本当のことを言うから、明日、十時、五人、同じ部屋にでもいて」
「え? それってどういう……。あ」
会うってこと……? な、なんて唐突に……。
「いい……? 絶対に、他の人には言っちゃいけないわ。私と会ったこと、言ったこと、全部」
「わ、わかった。その場にいた人のみってことね?」
トレアの言葉は、緊張したような声色だった。自然にこちらも真剣になる。
「ごめん、なんか、振り回しちゃって。でも、蒼空のままでいるのも、もったいないと思って……」
「……は? 蒼空と、何の関係が……?」
トレアはハッとしたような顔をして、それから俯いた。
「それも、明日、きちんと説明する。だから、今は聞かないで。多分……きゃっ!」
トレアがしゃがんだ。何かと思うと、頭の上を矢のようなものが通り過ぎた。ドキリとして、何も言えなくなる。
「と、とにかく! これ以上聞かないで! さあ、早く!」
え……?! 私、どう帰れば……? それでもなんとなく逃げようと後ろを振り向くと……。
「ひゃっ?!」
真っ暗だった。さっきまで明るかったのもプラスされ、何も見えない。
にしても、びっくりした……。胸に手を当てて呼吸を整える。
「どうしたんですか?」
心配したようなジェイドの声。ってことは。
ああ、帰って来れたんだ。でも、さっきのって……。
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