金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第六十五話  パーティー結成

 次の日、ギルドに行った。行くのに、ものすごく時間はかかったが。
 なにせ、人が集まる集まる。通していただけない……。


「もう! まだ疑ってる人がいる! 私のこと本物かな? って目で見てる人、いるもの!」
 エベリナはご機嫌ななめです。ジェイドがなだめようと必死だけど……。あんまり意味はないみたい。
 マリアが涙目でエベリナを見上げて、やっと収まった。


「それより、決めなくちゃいけない事、あるでしょ?」
「ん? あっ、グループの名前! どうしよっか?」


 あ、大丈夫そうだね。エベリナ、楽しそうなので。多分。
 まだ少し怒ってるかもしれないけど、マリアの事は大切にしてるから。あんな顔されちゃ、無理にでも気分を入れ替えて普段通りにするしかないのだろう。


「そっかぁ……。うーん、どんなのがいいかなぁ……」
「アストライアー……」
「アスト、ライアー?」
 マリアの言った言葉を、エベリナは首をかしげて聞き返す。


「ソニア様やマリー様の、パーティーの名前。無邪気、純潔の、女神様。ソフィは心当たりがあるのでは? 別名は、アストレア」
 ! アストレア、もしかして、トレア……。


「でも、一緒じゃつまらないよ?」
「じゃあ、アストライアーとよく同一視される、ユースティティア」
「長い? でも、綺麗ねぇ。そうする?」
 私たちは頷いた。すると、ジェイドがちょっと困ったような顔をした。


「私は、どうしたらいいでしょう?」
「え? なぁに? 知らないの? 悪魔がパーティに入るのなんて問題ないのよぉ」
「それとも、何か嫌? でもね、どうやら、アストライアーにも悪魔いたみたいなんだよ」
 あ、嬉しそう……。良かったぁ。じゃ、登録に行こう。










「えぇ、わかりました。では、こちらのカードに魔力を流してください」


 どうやら、私の国のカードと同じような仕組み。私の魔力で動いているから、私そのもの、とも言えるのだ。だから、記録も楽、ということか。当然不正もできないし。


「基本的には、こちらの魔物を倒していただくことで、賞金、という形になります」
 危険指定魔物……。なるほど。一週間で変わるらしい。当然、変わらない週もある。
「で、この5人でパーティが組みたいの」
「では、まず、個人のランクを決めさせていただきます」










 まずは私。というのも、みんなにソフィがいけ! と言われてしまったので。
 まあ、私が一番強そうだしさ。最初がカンジンですよね……。はぁ。期待され過ぎても困るんだけどなぁ。


 ランクはE~Sまで。場合によっては+や-もあるにはあるらしい。
「得意な属性の、一番強い魔法を撃っていただきます。当然、全てやっても構いません」
 ギルドの案内係の女の人が言う。
 なるほど……。全部でいいよね? と振り返ると、みんなに「見せつけてやれ!」と言わんばかりの目で見られていた。
「じゃあ、全属性やります。まずは……、そうだなぁ」


 順番は、火、水、草、雷、土、空でいいよね。じゃ、まずは大噴火ラーチイラプションか、猛火ローリングフレイム
 猛火ローリングフレイムじゃ屋内だし、危ないなぁ……。全てに引火、ってなるだろうし。
 大噴火ラーチイラプションなら、上だけだし、いいよね。大噴火ラーチイラプション


「え! えっと、大噴火ラーチイラプション?」
 女の人は驚いた様に炎を見つめる。でも、流石にみた事ないって訳じゃないんだね。すぐに技の名前を当ててくれた。
「はい。じゃ、次行きます」


 大滝キャタラクトか、死海デススィー
 死海デススィーって、毒入ってるし、危ないんだよなぁ。まあ、抜くこともできるけど。
 でも、それじゃ意味がない。だったらこっち。大滝キャタラクト


「きゃあ?! 大滝キャタラクト?!」
 数歩後ろに下がり、壁にぶつかる。結構怖がっちゃってるけど、大丈夫なの?
「はい。あの、次、いいですか?」


 草か。大森林フォレストか、地獄草ヘルプラント
 地獄草ヘルプラントの方がよく使うし、ここを森にしても……。地獄草ヘルプラント


地獄草ヘルプラント? って、ひゃっ!」
「やめなさい! 敵じゃないわ。ごめんね、呼び出して。さ、もどって?」
 意思があるんだった。危なっ! 気をつけないと、味方まで襲っちゃうかも。。女の人はもう宙に浮いていたし。


 雷に行こうか。怖いけど。
 雷雨サンダーストームか、酷暑インテンスヒート
 いや、雷といったら、雷雨サンダーストームだろ! 雷雨サンダーストーム


「あ! ま、待って!」
 何かと見ると、女の人は持っていた記録用紙を濡らしたくない様子。
 当然濡らすつもりはないけどねっ! 上手く操り、私と女の人、あと、見ていたジェイド達は濡れないように調整する。


 さて、次。土は大好き! どうしよっかな。
 緑石弾エメラルドブレッドか、硬石弾ダイヤブレッド
 ここはよく使うし、綺麗な緑石弾エメラルドブレッド


緑石弾エメラルドブレッド!あわぁ、綺麗……」
 こらこら。綺麗だけど、当たったら死ぬよ? そんな見惚れてると、苛めたくなっちゃうし。
 まあ、そんなことはしないけど。目の前で止めたりしたら驚くのかな。


 最後、空。って、あぁ……。魔力? 少しずつ魔力を解放することで、派手な演出なしで全開にできることに気がついた。
 とはいえ、周りの魔力が濃くなるのは女の人が危ないから、使いながらじゃないとダメだけど。


 違う、空。地獄雨ヘルレインか、大吹雪ブリザード
 なんか水ばっかりやってる気がするし、大吹雪ブリザード


「わ、寒っ……。て、え、すごい、全属性神級?!」
「は、はあ。そうですけど」


 魔力は足りた。ってか、前回にしなくても良かったかも。
 8000は使えるはずだったから、六属性×神級ってことで、6000。大丈夫。なんでこんな細工しちゃったんだろ? まあいいか。


「うぅっ、そんな馬鹿な……」
 何か言ったようだけど……。よく聞こえなかったなぁ?










 結局、ジェイドがC、リリアーナもC,エベリナ、マリアがBになった。
 え、私? それが、今、奥で大変なことになっているんだよ。


 本当は、最初はどんなに強くてもBまでらしい。それ以上はあげられない。
 でも、全属性神級となれば話は別。といった感じで大騒ぎ。わかるでしょ?


「あ、あの、特別でAに、しようかと……」


 みんながわっと歓声を上げた。みんな、というのは、リリアーナたちとかいう話ではない。ギルドにいる全員。みんな私と奥の人を交互に見て待っていてくれたのだ。
 別にだから何って訳じゃないし、そんなに目立つの好きじゃないんだけどね。まあ、それなりに対応をしておくか。


「あの、ありがとうございます。私、頑張りますので」


 平均で、パーティーランクはBだそう。ホントはB-ってとこか? まあ、いいけど。
「では、ギルドは世界各地にあります。あれば、よってくださいね」


 あ! 私の国に、ギルド、ないじゃん!
 まあいいや。とにかく、ユースティティア結成!

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