金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第六十話  私なんて・・・

 どうしてか。また、ソフィア様に迷惑をかけてしまった……。
 司令室で震えてるだけだった私、ソフィア様とは比べ物にならないよ……。


 いっつもそうだ。インディゴとブランシュちゃんとジェイドが大天使アークエンジェルに襲われてた時も、最初から見てたけど、怖くて何もできなかった。呼ばれてるの、わかってたけど。
 ブランシュちゃんが本気で、何もできないだろうに飛び出していこうとしたから、私……。
 それに、私のこと、気づいてなかっただろうから。
 今! ってときに限って怖くて、動けない。震えちゃって、戦うどころじゃないの。もう、小さい時から、ずっと……。


 私、今、何歳だっけ。1500くらい? もう、大人なのにな。1000歳から、悪魔は大人だ。
 あれ、ブランシュちゃんが生まれたのって、250年くらい前? もう、そんなおっきいんだっけ。まだ、子供だけど。
 でも、私、ブランシュちゃんよりも、子供かなぁ。この前、連絡が入ったし……。


 にしても。あの時のソフィア様は怖かった。部屋を出ないでって言った時の。
 あの時、クララはすぐに行動に出た。機械をすぐに動かして、ソフィア様の戦いを映し出した。
 そのあと、ナタリアとニコライで必死にジェイドに連絡を取って、ソフィア様の救出に向かわせた。


 あぁ、私、その時、何もしなかった。どうしよう。こんなんじゃ、ソフィア様どころか、ジェイドにも、インディゴにも会えない。あんなに必死に、ジェイドはソフィア様、フェリオス様、ヴェリ様を。インディゴはレオン様を守ったんだもの……。


 結局、サウル様に回復魔法かけたのもアラーナ様だし。魔力切れだったっていうのに……。
 きっと、ソフィア様、私が回復魔法かけたと思ってるよ……。
 こんなことなら、ジェイドに誘われた時、行かなければよかった。ソフィア様の使い魔にならなければよかった。
 そしたら、きっと、誰にも迷惑かけないで済んだのに。


「スカーレット、いるか?」
「いないよ、もう……」
「馬鹿め。いるじゃないか。じゃ、はいるぞ?」
 ジェイド……。何の用だろう。いっつも、私を……。


「大丈夫か? ソフィア様、スカーレットが可哀想だったなって言ってたが」
「……え? どういう、事?」
 何の話だか、よくわからない。


「あぁ。俺たち、二人ともいなくて、不安だったんじゃないかって。その時気づかなかったから、謝ってきてって。ソフィア様らしい。自分じゃ何言われるかわからない。怖くていけないなんてな」


 どう、して? 私なんか、何もしてないのに? 私に、謝る?


「友達、だからだろ? ソフィア様、身分が関係なければ、なれたのにって、よく言うから」


 友達。この甘美な素敵な言葉は、子供の私には早すぎる。
 でも、心配してくれたんだ。あれ? そういえば、私も良く、二人のこと心配したな。それから、ソフィア様のことも。あ、じゃあ、これ……。


「わかったなら、早く顔を上げて、いつもどおりにしろ。じゃないと、ソフィア様がもっと心配するそ?」


 ふふ、励ましてくれたんだね? 優しいなぁ、ジェイドって。
 きっと、誰だってそう思うことはあるんだろう。私は、ちょっと(どころじゃないかもしれないけど)遅かっただけで。
 じゃあ、ちゃんと前向いていかないと。ソフィア様、たまに急に子供っぽくなるんだから。


「私だって、やることあるよね。なんか、ありがとう」
「ん? 私は何もしていないぞ?」
「また……。ほんと、素直じゃないわよね」


 そう言って笑みを向けると、ジェイドは満足そうに笑い、部屋を出て行った。










 次の日、ソフィア様が大泣きしながら部屋に飛び込んできた。

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