金髪、青目の美人エルフに転生!
第五十一話 みんな優しいね?
「というわけで、挑戦状が届きました!」
どうやら大きな国ってわけではないようだけど、準備は整えないと。
三月の半ば。いきなり来た挑戦状に戸惑うけれど、仕方ない。戦いましょう!
「だから、みんな練習はしっかりやってね?」
「海から来る可能性が大きいけど、空から来ないとも言い切れないよね?」
クララがみんなに同意を求めるように言った。リーダー会議で、クララはいつも誰よりも多く発言してくれる。
「そうだね、今は魔法も発達してるし、空飛ぶ鳥を仲間にしてるかもしれないし、魔法道具を使ってる可能性もあるね」
クララが言ったことにルアンナは同意のようだ。
「うーん、国壊されるようなことだけは避けたいんだけどなぁ……」
私が言うと、みんなが「え?」というようにこちらを向いた。
「どうしてです?」
「みんな、せっかく作ってくれたし、また作り直すと大変じゃない?」
「……?」
あれ? 伝わらない? 価値観が違うんだろうか? 壊れたらまた作ればいい?
「ともかく、見つけ次第珊瑚色射手が先制で」
「うん、そうだね。それから瑠璃色魔法衣もね」
「そのあと、灰銀色盗賊に動いてほしいな」
私がひとこと言ったあと、みんながどんどん進めていった。私いらなくない?
「船で来るようです」
二日後。どこから来たのかわからないが、すぐに情報が入った。にしても、船。被害が出にくいから……。
「ねぇ、私が全部爆発させてもいい?」
「……え?」
人間は魔法でさくっと回収すればいい。もうちょっと魔法の訓練がしたいのだけれど、いい相手がいないのだ。
「お願い! もっと魔法撃って強くなりたいの!」
「…………」
少し時間は掛かったけど……。えへへ。許可もらったよ。これでやっちゃえる!
「でも、無理したら怒りますよ?」
あ、怖い怖い。今回はスカーレットだけじゃなくてクララもルアンナも怖い。
「さぁて? そろそろだね」
敵船はもう見えるようになった。魔法道具使ってるけど。双眼鏡。もどき?
私はずっと練習していた暴風の応用編をして。空を飛んでみましょう。
「あ、行けるね。でも、不安定かぁ……」
仕方ないな。マリアに擬態魔法も教わったんだ。まあ、滅多にできないらしいけど。
擬態魔法は、召喚魔法の応用。召喚魔法も珍しいくらいだから当然ね。
この前、擬態に向くというにコウモリを仲間にしてみた。
コウモリのよくいるところに誰にも見つからないようそっと部屋を抜け出して行き、毎日毎日話しかけた。
いつの間にかみんな寄ってくるようになったから、なんとなく名前つけてやったら、仲間になったわけだ。
「アイリス。出ておいで?」
アイリス、菖蒲だ。花言葉は良き便りなど。
(空飛ぶんだよね? まっかせなさーい!)
私の背中には黒い羽。口に小さな牙ができた。何回も練習して、やっと飛べるようになった。今はもう自由に飛べる。さて、行こうか?
私は船の上で止まり、右の手のひらを下に向け、静かにそっと言う。
「滝、万雷」
さて、もう地獄は始まってるんだよ? みなさん。
慌てふためく声を聞くのはなんと愉快か。この距離じゃ聞こえないけど。気分の話。
こういうので大事なのは、雰囲気でしょ?
まだ船は一つも壊していない。これはデモンストレーション。
だってほら、これで壊したら人救えないでしょ?
まずは草壁で海面を覆う。何故か珊瑚だけど、まあいいか。
さて、珊瑚は保護して、大きいの行ってみよう。大噴火!
自分で撃った魔法なのに、防御魔法が怪しかった。珊瑚も防御魔法ごとブッ飛ぶかと思った。
「うわっ、アイリス、大丈夫?」
(平気。それより、珊瑚崩れそうだけど、人大丈夫?)
…………。平気、かな? とりあえずまとめて眠らせて送ることにしよう。
催眠魔法は学校で習った。送るのは前の戦いで散々やった。問題ない。
「では、私は帰ろっかな。大した人数いなかったね。十万ってとこかな?」
人は殺さない。全て綺麗に送り返してやるべきだ。ふふふ、全員戦意喪失してりゃいいんだけどね。
「ソフィア様、早すぎます」
ぐっ……。みんなして、第一声にそりゃないだろ。せっかく私が働いてきたのに。
「私たちの仕事なくなっちゃったじゃないですか」
「俺たち、何のためにいるんですか」
「だって、じゃあ、言うから……。ごめんね、黙ってて…………」
みんなはキョトンとして私の顔を見た。「どういうこと?」といった感じに。
でも、こうでもしないと、話、聞いてくれないでしょ?
「お母様が言ってたけど、おそらくは魔王が復活したわ。倒すなら、私とリリ、リナ、マリしかいない。でも、私、まだ魔王と戦えるほど強くないから。もっと力つけないとだから……。今のうちに、鍛えておきたくて」
あっさりペリュトンに殺されかけちゃうくらいだもん。まだ弱い。もっと強くならないと。みんなを守るには、まだまだ足りない。
「そういうことでしたか。じゃあ、練習として私達と戦ってみます? 九人がかりなら、倒せますかね?」
「ううん、クララにルアンナにアラーナにナタリア、フェリとレオンとヴェリとサウル、ニコライ。それから、スカーレットとジェイドとインディゴ。十二人でしょ」
「ちょ! それは絶対勝てないでしょ?!」
あ……。何にしろ、みんな私に優しいな。いつか、私が戦う時も、きっと、協力してくれるよね……?
どうやら大きな国ってわけではないようだけど、準備は整えないと。
三月の半ば。いきなり来た挑戦状に戸惑うけれど、仕方ない。戦いましょう!
「だから、みんな練習はしっかりやってね?」
「海から来る可能性が大きいけど、空から来ないとも言い切れないよね?」
クララがみんなに同意を求めるように言った。リーダー会議で、クララはいつも誰よりも多く発言してくれる。
「そうだね、今は魔法も発達してるし、空飛ぶ鳥を仲間にしてるかもしれないし、魔法道具を使ってる可能性もあるね」
クララが言ったことにルアンナは同意のようだ。
「うーん、国壊されるようなことだけは避けたいんだけどなぁ……」
私が言うと、みんなが「え?」というようにこちらを向いた。
「どうしてです?」
「みんな、せっかく作ってくれたし、また作り直すと大変じゃない?」
「……?」
あれ? 伝わらない? 価値観が違うんだろうか? 壊れたらまた作ればいい?
「ともかく、見つけ次第珊瑚色射手が先制で」
「うん、そうだね。それから瑠璃色魔法衣もね」
「そのあと、灰銀色盗賊に動いてほしいな」
私がひとこと言ったあと、みんながどんどん進めていった。私いらなくない?
「船で来るようです」
二日後。どこから来たのかわからないが、すぐに情報が入った。にしても、船。被害が出にくいから……。
「ねぇ、私が全部爆発させてもいい?」
「……え?」
人間は魔法でさくっと回収すればいい。もうちょっと魔法の訓練がしたいのだけれど、いい相手がいないのだ。
「お願い! もっと魔法撃って強くなりたいの!」
「…………」
少し時間は掛かったけど……。えへへ。許可もらったよ。これでやっちゃえる!
「でも、無理したら怒りますよ?」
あ、怖い怖い。今回はスカーレットだけじゃなくてクララもルアンナも怖い。
「さぁて? そろそろだね」
敵船はもう見えるようになった。魔法道具使ってるけど。双眼鏡。もどき?
私はずっと練習していた暴風の応用編をして。空を飛んでみましょう。
「あ、行けるね。でも、不安定かぁ……」
仕方ないな。マリアに擬態魔法も教わったんだ。まあ、滅多にできないらしいけど。
擬態魔法は、召喚魔法の応用。召喚魔法も珍しいくらいだから当然ね。
この前、擬態に向くというにコウモリを仲間にしてみた。
コウモリのよくいるところに誰にも見つからないようそっと部屋を抜け出して行き、毎日毎日話しかけた。
いつの間にかみんな寄ってくるようになったから、なんとなく名前つけてやったら、仲間になったわけだ。
「アイリス。出ておいで?」
アイリス、菖蒲だ。花言葉は良き便りなど。
(空飛ぶんだよね? まっかせなさーい!)
私の背中には黒い羽。口に小さな牙ができた。何回も練習して、やっと飛べるようになった。今はもう自由に飛べる。さて、行こうか?
私は船の上で止まり、右の手のひらを下に向け、静かにそっと言う。
「滝、万雷」
さて、もう地獄は始まってるんだよ? みなさん。
慌てふためく声を聞くのはなんと愉快か。この距離じゃ聞こえないけど。気分の話。
こういうので大事なのは、雰囲気でしょ?
まだ船は一つも壊していない。これはデモンストレーション。
だってほら、これで壊したら人救えないでしょ?
まずは草壁で海面を覆う。何故か珊瑚だけど、まあいいか。
さて、珊瑚は保護して、大きいの行ってみよう。大噴火!
自分で撃った魔法なのに、防御魔法が怪しかった。珊瑚も防御魔法ごとブッ飛ぶかと思った。
「うわっ、アイリス、大丈夫?」
(平気。それより、珊瑚崩れそうだけど、人大丈夫?)
…………。平気、かな? とりあえずまとめて眠らせて送ることにしよう。
催眠魔法は学校で習った。送るのは前の戦いで散々やった。問題ない。
「では、私は帰ろっかな。大した人数いなかったね。十万ってとこかな?」
人は殺さない。全て綺麗に送り返してやるべきだ。ふふふ、全員戦意喪失してりゃいいんだけどね。
「ソフィア様、早すぎます」
ぐっ……。みんなして、第一声にそりゃないだろ。せっかく私が働いてきたのに。
「私たちの仕事なくなっちゃったじゃないですか」
「俺たち、何のためにいるんですか」
「だって、じゃあ、言うから……。ごめんね、黙ってて…………」
みんなはキョトンとして私の顔を見た。「どういうこと?」といった感じに。
でも、こうでもしないと、話、聞いてくれないでしょ?
「お母様が言ってたけど、おそらくは魔王が復活したわ。倒すなら、私とリリ、リナ、マリしかいない。でも、私、まだ魔王と戦えるほど強くないから。もっと力つけないとだから……。今のうちに、鍛えておきたくて」
あっさりペリュトンに殺されかけちゃうくらいだもん。まだ弱い。もっと強くならないと。みんなを守るには、まだまだ足りない。
「そういうことでしたか。じゃあ、練習として私達と戦ってみます? 九人がかりなら、倒せますかね?」
「ううん、クララにルアンナにアラーナにナタリア、フェリとレオンとヴェリとサウル、ニコライ。それから、スカーレットとジェイドとインディゴ。十二人でしょ」
「ちょ! それは絶対勝てないでしょ?!」
あ……。何にしろ、みんな私に優しいな。いつか、私が戦う時も、きっと、協力してくれるよね……?
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