金髪、青目の美人エルフに転生!
第四十八話 マリンのいた村
私は少女について歩いていた。尻尾がパタパタ揺れるのを眺めつつ。
これ可愛いな。ふにふにしてて、触りたい……。けど、きっと驚かれるだろうから止めておこう。
「あのさ、名前、聞き損ねちゃったんだけど」
私が少女に声をかけると、向こうから可愛らしい声が帰ってきた。
「そういえば、言ってなかったね、ミーシャだよ」
ミーシャはトコトコとどこかへ向かって歩いている。素晴らしい方向感覚。ずっと同じような草原だっていうのに、明らかに一箇所に向かっている。
「ソフィア様。ここが私たちの村。この奥だよ」
いつの間にか目の前には村が。ちょっとびっくり。全然気付かなかったな……。
「おかえり、ミーシャ。この方は?」
「さっき、魔物に襲われちゃって、私を助けてくれたの」
出迎えてくれたお姉さんは、明らかに戸惑ったような顔をした。
「す、直ぐに村長様を呼びますので、客室へ、どうぞ」
え? 早いな。ミーシャの方を見ると、私の手を引いて歩き出した。
大きな家だ。木造で、割と洋風。廊下を歩いていると、ミーシャはあるところで足を止めた。
ミーシャの連れてきてくれた部屋は、おしゃれなテーブルと椅子のある特に変わったところのない部屋。
「すぐにおじいちゃん、来ると思うよ。ちょっと待ってね」
「待たなくて良い。私が村長だ」
後ろから声がし、振り返る。なるほど。何処となくミーシャに似ている気がする。
尊重を見ると、ミーシャはニッコリと笑ったまま椅子に座った。その隣に、村長が座る。
「何があったのか、聞かせてもらおうか」
「じゃあ、まず私から、ね」
今日は、知ってると思うけど、木の実を取りに行ったんだ。
いつもなら、滅多に魔物もいないし、普通に行って帰って来れる場所でしょ。
でも、今日はそうじゃなかったの。帰ろうと思って森を出たら、おっきなドラゴンがいて。
あんなに剣は練習したけど、実際に魔物、それもドラゴンなんかにあったら、何もできない。
とにかく悲鳴あげて、逃げ回ってたら、いきなりドラゴンが倒れたの。私、ちゃんと見た。何か、石みたいのが飛んでいくのを。
私が振り向いたら、お姉さんが転がってて、近寄ったら、エルフで。
どうしよう、と思ってたら、魔法使ったから、このお姉さんが私を助けてくれたんだって、確信したの。
それで、とりあえず連れてこよう、と思ったんだ。
「といった感じかな。お姉ちゃんも、何か言いたいことある?」
私は首を横に振った。私の付け足せるような情報なんてない。
「でも、実は、私、お礼がしたくて、此処を訪れたんです。マリンを、知っていますか?」
村長は少し考えるような素振りをしたあと、大きく頷いた。
「ああ、私たちが召喚してしまった人間か。私の血を飲ませたら、ケット・シーになったな」
「そうです。今、私たちのところにいるんです。一応住民です。助けてくれて、ありがとうございます」
これでいいだろうか。伝わっただろうか。村長の顔を見ると、私の顔を見ていることがわかった。
「ところで、名前は? マリンは今、どこに?」
「ソフィア=レルフです。今、レルフィアにいますよ」
「ソフィア様?! おい、ミーシャ、どういうことだ?!」
「どういうことってさ、さっき言ったよね、おじいちゃん?」
あ、またやってしまった。どうしたものか。このままでは大騒ぎになるだろう?
「なにかお礼をしなくては……」
「いえ! いりませんよ。マリンを助けてくれたお礼をするつもりだったんですもの。ね?」
「そういうわけには……」
そんなこと言っても、お礼するつもりで来たのにお礼されて帰るのは困るよ。どうしようか、これ……。
「とりあえず、宝物庫に来てくれ。欲しいものでもあればいいのだが」
では、行くだけ。頑なに動かずここにいても、村長さん、困るよね。
立ちあがってみると、軽い眩暈を感じた。おかしいな。なんでだろう? 肩掛けカバンからメガネを手探りで取り出す。
ソフィア=レルフ
体力 1000/3000 魔力 3500/4500 ダメージ 0%
攻撃力 850 魔法攻撃力 3000
魔力の減りがおかしい。いろいろ実験してみたところ、初級で10、中級で40、上級で200、超上級で500くらい魔力を使うという感じだ。
赤石弾は超上級。減ってても400くらいなはずなのに。って、ん?
「ミーシャちゃん、私の撃った石、何色だったかとか、わかる?」
「緑じゃないかな? すごく綺麗だったの」
緑石弾。神級だ。どうやら、あまりに強く撃った為、違うものが出たようだ。
「どうかしたのか?」
「いいえ。大丈夫ですよ。さあ、行きましょう」
「すごい……」
私の言えることはそれだけだった。10畳くらいの大きさの部屋に、所狭しと煌びやかな物が置いてある。
それは、宝剣みたいな武器だったり、鎧や盾のような防具だったり、ネックレスやブレスレットのようなアクセサリーだったりする。
「どれでも、好きなものを持って行ってくれて構わない」
「そんな大層なことをした覚えはないのですが……?」
人一人助けただけで、こんなことになるの?
「あの娘は、私の次の村長だ。一番大切な娘なんだ」
どうやら、両親はダークエルフによって殺されてしまったらしい。
「私もそう長くないだろう。お礼は、出来るうちに、したいんだ」
う、受け取らないわけには行かない! 真剣に選ぼう。
武器、防具は十分あるから、アクセサリー類がいい。どんなものがローブと相性いいだろう。
私が見つけたのは金色に光るサークレット。赤い宝石のついた、かわいい形のもの。
なんとなく、雰囲気が、私の身近に居る、彼女に似ている気がした。
「それは、エルフ専用だ。魔力と、使う魔法の強さが大幅に上がるそうだ」
「こ、これ、もらっても、いい、ですか?」
「どうせ我々には使えない。問題ないぞ」
付けてみると、急にサークレットが光りだした。
「うわ! なんですか、これ?」
返事が返ってこない! 何だ、なんだ?!
「トレアの加護を受けしもの、よく聞きなさい。これはもともと、トレアのものです。分かった上で、使いなさいね」
トレアの、もの? それって、神のものって事?! ちょ、あ、消えちゃった。
でも、どうりで、トレアの雰囲気に似ていたわけだ……。
「村長さん、これ、どうしたんですか?」
「それは、私がここに来た時には既にこの部屋に置いてあったのだ。ただ、誰も使えなかった。ずいぶん前、エルフが使えたから、エルフが使えるのかと思ったのだが」
これを使えた人? それって、トレアの加護を受けた人? もしかして、私の先祖?
「まあ、いっか。ありがとうございます。大切に使いますね」
これ可愛いな。ふにふにしてて、触りたい……。けど、きっと驚かれるだろうから止めておこう。
「あのさ、名前、聞き損ねちゃったんだけど」
私が少女に声をかけると、向こうから可愛らしい声が帰ってきた。
「そういえば、言ってなかったね、ミーシャだよ」
ミーシャはトコトコとどこかへ向かって歩いている。素晴らしい方向感覚。ずっと同じような草原だっていうのに、明らかに一箇所に向かっている。
「ソフィア様。ここが私たちの村。この奥だよ」
いつの間にか目の前には村が。ちょっとびっくり。全然気付かなかったな……。
「おかえり、ミーシャ。この方は?」
「さっき、魔物に襲われちゃって、私を助けてくれたの」
出迎えてくれたお姉さんは、明らかに戸惑ったような顔をした。
「す、直ぐに村長様を呼びますので、客室へ、どうぞ」
え? 早いな。ミーシャの方を見ると、私の手を引いて歩き出した。
大きな家だ。木造で、割と洋風。廊下を歩いていると、ミーシャはあるところで足を止めた。
ミーシャの連れてきてくれた部屋は、おしゃれなテーブルと椅子のある特に変わったところのない部屋。
「すぐにおじいちゃん、来ると思うよ。ちょっと待ってね」
「待たなくて良い。私が村長だ」
後ろから声がし、振り返る。なるほど。何処となくミーシャに似ている気がする。
尊重を見ると、ミーシャはニッコリと笑ったまま椅子に座った。その隣に、村長が座る。
「何があったのか、聞かせてもらおうか」
「じゃあ、まず私から、ね」
今日は、知ってると思うけど、木の実を取りに行ったんだ。
いつもなら、滅多に魔物もいないし、普通に行って帰って来れる場所でしょ。
でも、今日はそうじゃなかったの。帰ろうと思って森を出たら、おっきなドラゴンがいて。
あんなに剣は練習したけど、実際に魔物、それもドラゴンなんかにあったら、何もできない。
とにかく悲鳴あげて、逃げ回ってたら、いきなりドラゴンが倒れたの。私、ちゃんと見た。何か、石みたいのが飛んでいくのを。
私が振り向いたら、お姉さんが転がってて、近寄ったら、エルフで。
どうしよう、と思ってたら、魔法使ったから、このお姉さんが私を助けてくれたんだって、確信したの。
それで、とりあえず連れてこよう、と思ったんだ。
「といった感じかな。お姉ちゃんも、何か言いたいことある?」
私は首を横に振った。私の付け足せるような情報なんてない。
「でも、実は、私、お礼がしたくて、此処を訪れたんです。マリンを、知っていますか?」
村長は少し考えるような素振りをしたあと、大きく頷いた。
「ああ、私たちが召喚してしまった人間か。私の血を飲ませたら、ケット・シーになったな」
「そうです。今、私たちのところにいるんです。一応住民です。助けてくれて、ありがとうございます」
これでいいだろうか。伝わっただろうか。村長の顔を見ると、私の顔を見ていることがわかった。
「ところで、名前は? マリンは今、どこに?」
「ソフィア=レルフです。今、レルフィアにいますよ」
「ソフィア様?! おい、ミーシャ、どういうことだ?!」
「どういうことってさ、さっき言ったよね、おじいちゃん?」
あ、またやってしまった。どうしたものか。このままでは大騒ぎになるだろう?
「なにかお礼をしなくては……」
「いえ! いりませんよ。マリンを助けてくれたお礼をするつもりだったんですもの。ね?」
「そういうわけには……」
そんなこと言っても、お礼するつもりで来たのにお礼されて帰るのは困るよ。どうしようか、これ……。
「とりあえず、宝物庫に来てくれ。欲しいものでもあればいいのだが」
では、行くだけ。頑なに動かずここにいても、村長さん、困るよね。
立ちあがってみると、軽い眩暈を感じた。おかしいな。なんでだろう? 肩掛けカバンからメガネを手探りで取り出す。
ソフィア=レルフ
体力 1000/3000 魔力 3500/4500 ダメージ 0%
攻撃力 850 魔法攻撃力 3000
魔力の減りがおかしい。いろいろ実験してみたところ、初級で10、中級で40、上級で200、超上級で500くらい魔力を使うという感じだ。
赤石弾は超上級。減ってても400くらいなはずなのに。って、ん?
「ミーシャちゃん、私の撃った石、何色だったかとか、わかる?」
「緑じゃないかな? すごく綺麗だったの」
緑石弾。神級だ。どうやら、あまりに強く撃った為、違うものが出たようだ。
「どうかしたのか?」
「いいえ。大丈夫ですよ。さあ、行きましょう」
「すごい……」
私の言えることはそれだけだった。10畳くらいの大きさの部屋に、所狭しと煌びやかな物が置いてある。
それは、宝剣みたいな武器だったり、鎧や盾のような防具だったり、ネックレスやブレスレットのようなアクセサリーだったりする。
「どれでも、好きなものを持って行ってくれて構わない」
「そんな大層なことをした覚えはないのですが……?」
人一人助けただけで、こんなことになるの?
「あの娘は、私の次の村長だ。一番大切な娘なんだ」
どうやら、両親はダークエルフによって殺されてしまったらしい。
「私もそう長くないだろう。お礼は、出来るうちに、したいんだ」
う、受け取らないわけには行かない! 真剣に選ぼう。
武器、防具は十分あるから、アクセサリー類がいい。どんなものがローブと相性いいだろう。
私が見つけたのは金色に光るサークレット。赤い宝石のついた、かわいい形のもの。
なんとなく、雰囲気が、私の身近に居る、彼女に似ている気がした。
「それは、エルフ専用だ。魔力と、使う魔法の強さが大幅に上がるそうだ」
「こ、これ、もらっても、いい、ですか?」
「どうせ我々には使えない。問題ないぞ」
付けてみると、急にサークレットが光りだした。
「うわ! なんですか、これ?」
返事が返ってこない! 何だ、なんだ?!
「トレアの加護を受けしもの、よく聞きなさい。これはもともと、トレアのものです。分かった上で、使いなさいね」
トレアの、もの? それって、神のものって事?! ちょ、あ、消えちゃった。
でも、どうりで、トレアの雰囲気に似ていたわけだ……。
「村長さん、これ、どうしたんですか?」
「それは、私がここに来た時には既にこの部屋に置いてあったのだ。ただ、誰も使えなかった。ずいぶん前、エルフが使えたから、エルフが使えるのかと思ったのだが」
これを使えた人? それって、トレアの加護を受けた人? もしかして、私の先祖?
「まあ、いっか。ありがとうございます。大切に使いますね」
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