金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第二十六話  トレアの言葉と桃色魔法衣

 気が付けば。また、あの雲の上のようなところにいた。


「トレア? いるの?」
「ふふふ。ごめんごめん、また呼んじゃってね。一ヶ月くらいなのに」
「気にしなくていいんですよ? それより、ご用件は?」
 私は見えないトレアに聞いてみた。


「うん、あの執事とメイド、いいね、って」
 執事とメイド……、ジェイドたちのことだ。
 いつの間にか、ジェイドとインディゴは綺麗なスーツ、スカーレットは丈の短いスカートのメイド服を着ていた。白と黒モノクロが羽によく合っている。


「メイドでも執事でもないですよ。少なくとも私の認識では」
「そう……。まあいいや。彼ら、結構強いね」
「ありがとう。私の優秀な部下ですから」


 まあ、ジェイドの強さを見ると、スカーレットもインディゴも強さは想像できる。私より強いかもしれないな……。


「まあ、ソフィアちゃんの魔力は彼らよりもずっと多いけどね。それより忘れないで。あと数日で、森の外のある街が攻めてくるから。準備して。私は、飽く迄あなたの味方ですから」
 眩しい光があたりに満ち溢れ、私は思わず目を瞑った。










 次に目を開けた時は、私の部屋だった。
「……、朝か」


 しばらくぼんやりしていたが、さっきの言葉を思い出して目を大きく開く。
 ベッドから飛び降りると、私はすぐにローブを着てジェイドのもとに走っていった。










「へぇ、街が攻めてくるんですか?」
「面白がってないでよ。まだ人数は少ないのよ?」
「人数を大量に手に入れるチャンスじゃないですか」
 にやっと笑って私に言った。


「ちょっと、どういうこと?」
「殺さないで引き込めばいい」
 なんて簡単に言うんだろう。って、あれ?


「インディゴ? 居たの?」
「今、来ました」
 見ると、となりにはスカーレットもいる。朝の稽古でもしてきたのかもしれない。


「では、今すぐみんなに伝えましょう。集めることは可能ですか?」
「大丈夫。ジェイド、クララとルアンナにホールに人を集めるよう言ってきて」
「了解です」
 クララとルアンナはあの寮を管理している者だ。つまりは寮長、か。彼女達に言えば、すぐに集める事が出来るだろう。










「――、ということなの」
 私が言うと、みんなは張り切っている様子だった。逆に不安になる。大丈夫かな。


「で、一応ちゃんと稽古はしてね。死んだら許さないんだから。でも、殺さないでね」
『仰せのままに、ソフィア様!』










 私はすぐに桃色魔法衣ピンクローブの人たちの強化に取りかかった。
「とりあえず、あなたたちは遠距離でしょ? 魔法の飛距離を長くしようか」


 飛距離を長くすることで、相手の届かないところから攻撃できれば、それがいい。
 遠く飛ばすため、少し威力を落としてもらう。


「威力を落とすことに専念して! 弱く、弱くと念じなさい!」
 弱くできれば、飛距離の調整もなんてことはない。原理は同じだから。
「それができたら、勢いよく飛ばすということ。勢いよく飛ぶところをイメージしなさい!」


 こんな感じで、魔法の訓練をしていった……。










「もうダメです、魔力ないです」
「はぁい、よく頑張ったね。暴風ストーミーウィンド吹雪スノウストーム


 魔法の応用編。弱い暴風ストーミーウィンドに、吹雪スノウストームを混ぜることで、冷たい風をお送りします。
 なんか、私が雑用やってるみたいじゃない? おかしいなぁ……。


「みんな、思ってたより頑張ったね。みんなの名前が聞きたいな」
 みんなは顔を輝かせた。名前を名乗るこのがそんなに嬉しいことだろうか?
 あ、ちょっと待った、無理だ、覚えられない。二十人だぞ? メモとっておこうか……。


 とりあえず、リーダーっぽいのは、腰までの長い金髪に明るい茶色の目をしたアリアンだ。


 じゃあ、金髪の子から最初に行こう。
 セミロングの髪、黄色い目をしたハーティ。
 長い三つ編みに緑の目のクラリス。
 低いところでの二つ結び、また緑の目のフローラだ。


 次は茶髪で行こう。
 ポニーテール、茶色の目をしたエティ。
 ロングで、グレーの目のエファー。
 ほんのり紫混じりのセミロングに、やっぱり紫の混じった茶色の目のデリア。
 オレンジ混じりのショートで黄色い目をしたファニー。
 明るい茶色は、三つ編みと緑の目のルシアンナ。
 フェリオスみたいな色のツンテールと青い目のダイアナだ。


 白髪なら、ショートに青めのイザドラ、長いポニーに桃色の目を持つキャシーだ。


ベージュなら、薄めのロングにベージュの目のシャンテル、グレー混じりの横縛りでグレーの目のリリアン、同じような髪色のボブ、ベージュの目を持つベスだ。


 そのほかは、薄桃のサイドテールに桃の目のゲルダ、薄い青のポニーに青めのマーガレッタ、オリーブの天パセミロングに緑の目のエドナ、ラベンダーの短めツインテに青い目のメロディ。最後は、アッシュの髪を後ろで少しだけまとめかた髪型に、グレーの目を持つジャスミンだ。


 大丈夫だった? ってか、もう誰が誰だかわからない。大変だな、これ。聞かなきゃよかったかも。


「しばらく間違えても、ごめん」
「大丈夫です。最初からみんなは覚えられないでしょうから」


 いや、これはやばい。髪型変えられたら一発アウト。誰だかわからないだろう。
「ごめん、名前で呼べないかもしれない」


 そう言うと、彼女達は可笑しそうに微笑み、良いですよ、と言った。
 ……まあ、努力はしよう。

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