剣神勇者は女の子と魔王を倒します

鏡田りりか

第28話  ティナ

『え、まあ、会ってみないと分かんないけど・・・。どんな子?』
「割りと可愛い白狐の妖孤。名前はティナだ」
『妖孤?! え、狐? 獣人?! で、ティナよね? ・・・良いわよ』
「えぇ?!」


 狐に食いついた? え、エディって動物好きだっけ? こんなに反応するとは。
『で、メリーはなんて言ってるの?』
「私はどうでもいいよ、増えたら冒険楽しくなるね。だと」
『そう。とにかく、その任務終わったら家に連れて来て!』
「ああはいはい」


 割と快い返事だったな・・・。確かに家に獣人はいない。けど、そういう問題か?
 そうしていたらメイドが、朝食が出来た、と呼びに来たので、俺はスマホを置いた。


「おはよう、ユーリ」
「ああおはよう、メリー」
「おはようございます」


 メリーとティナは二人でシャワーを浴びに行っていた。俺が起きたらもう起き手紙が置いてあるだけで、本人の姿がなかった。いつから居なかったのやら。
 どうやら仲良くなったらしく、楽しそうに何かを話していた。


「ああそうだ。エディはティナに会いたいらしい」
「何でですか?」
「それは、俺にもよく分からないな」
「へぇ? 分かりました。そのまま家に・・・」
「可能性はなくはないな」
「! 本当ですか?!」


 エディが本気で気に入ったら嫌でも帰して貰えないだろうな。俺はティナを眺める。
 妖孤は異性を惑わす種族。ティナも相当良い体つきをしている。着物を着ていると分からないが、ほら、こうやってワンピースなんて着てると、うちの嫁の誰より大・・・
「ったぁ?!」
「ユーリ、一体どこ見てるの?」
「メ、メリッサさん。妖孤って、こういう種族ですから」
「でもね・・・。うん、まあそうなんだよねぇ」
 ・・・? な、なんだろう・・・。




 朝食が終わって、何をしようか、と考えていた俺はメリーに捕まった。
 そのまま部屋に連れて行かれ、何が起きているのか分からないまま椅子に座らせられた。


「えっと・・・。さっきのこと、怒ってる?」
「いやぁ? 別に。妖孤って、意識しないでも異性を惑わすらしいし、仕方ないんじゃない?」
「じゃ、一体何を・・・?」


 メリーはゾクッとするほど満面の笑みを浮かべる。残念ながら逃げる事が出来なかった。
 何をするのか、と思えば、俺はベッドに連行されていた。メリーは俺を押さえつけて離さない。何故か動けない。メリーの能力を上げて俺の能力を下げているのか? ともかく、この状態から逃げないと、という警告が頭の中で鳴り響く。


「え、ちょ、待て! 朝から何をしようと・・・」
「うん、流石にボクは疲れるからやりたくないな。でも、ユーリは自業自得だよ」
「は?! ど、どういう事だ?」
「つまりね。ティナ、おいで」


 ガチャリと扉が開いた。入ってきたのは当然狐耳の少女。なんの校則もないのに、俺の体は全く動かなかった。メリーは窓に近づいてカーテンを閉める。部屋が一気に暗くなる。
 いや、これは、どういう事なんだ? 何故ティナが・・・?


「さっきリリィちゃんと話したんだよ。したらさ、『うん、エディから聞いたよ。良いよ』だって」
「な、何故?!」
「え、もしかして、ティナちゃんの姓、知らないの?」
「・・・え?」
「ラティマー」


 ・・・? 聞いたこと、あったか? んん・・・? ああ!
 そうか、ラティマーって、白狐の長だ。そして、ラティマーの女性は代々非常に美しい。男の人の憧れだとか。


「悪い、今分かった。ティナ・ラティマー。白狐の長で、絶世の美女」
「そう言われると、ちょっと恥ずかしいです・・・。でも、それは私で間違ってはいない、のかな」
「らしいよ。ティナちゃんがユーリの事好きなのに、これで振るとか多分無理」
「・・・ってことは、良いよって言うのは、それ以外返答できないってことか?」
「うん」「はい」


 そうだったのか。それでみんな口を揃えて良いと・・・。まあ、俺も、嫌いじゃ、ない。ティナ、可愛いと思う。寧ろ、好きだと・・・、思う。
 ティナの赤い瞳が俺をしっかり捕らえた。少し潤んでいるが、綺麗な瞳だ。真っ白のふわふわな髪も、可愛い。グラマーな体、とても魅力的だ。その上狐耳に尻尾・・・。ああ、ダメだ。


「でもね、ユーリ。今日夜、絶対ボクとやるからね? 絶対だよ?」
「ああ、分かった。ごめんな、メリー」
「もう。謝らなくて、良いんだよ。じゃ、ボクは魔法の練習でもしてるから」


 メリーは部屋を出て行った。部屋には俺とティナしかいない。ティナは長めの薄いTシャツ一枚だ。俺はティナを抱き上げてベッドに座らせた。顔が赤いのはどのせいだろうか?
 まず、頬にそっと触れた。とても熱い。頭を撫でた後、肩に手をまわして自分の方に引き寄せた。鼓動が速いな。緊張しているのか?


「緊張する必要はない。安心して、な」
「は、はい。・・・あ、そうじゃなくて。嬉しいんです、こうやって、二人で出来て・・・」
「そうか。あっ!」


 次の瞬間、唇を奪われていた。何だ、結構やる気なんだな。俺はティナに「やるぞ」と囁いた。ティナの返事はもちろん「お願いします」。
 Tシャツの上からそっと胸に触れる。ティナはびくりと肩を揺らした。慌てて手を離すと、ティナは「あ、」と残念そうな顔をする。とりあえず続行。
 Tシャツを脱がすと、上は下着どちらもつけていなかった。分かってたけど。透けてたし。あぁ、相当大きいな。二人でベッドに横になる。恥ずかしそうに笑う顔が可愛い。


 やっぱり慣れていないからか? 少し触っただけなのに甘い声を出した。やべ、こっちが先に・・・。
「ど、どうか、しました?」
「い、いや、悪い。ティナが可愛いな、と思って」
「・・・っ?!」


 これは・・・。相当良い感じだぞ。既に相当だし。今すぐにでも入れられる感じだ。
 が。ちょっと興味があるんで、これをやってみたい。


「あ、あああっ?!」
「やっぱり、感じるんだな」
「ちょ、ま、って、あ、あ、あ!」


 耳の裏と、尻尾。胸以上に感じるらしい。もうすでに死にそうだな。今から本番のつもりだったんだが。っていうか、普通、今からじゃないのか?
 い、いやでも、初めてだし、全部やってあげたいし。俺がやって貰うのはメリーで良いしな。いやでも・・・。って、ちょっと待て、まず、ティナが大丈夫なのか?


「なあティナ。・・・、大丈夫か?」
「はっ、はいっ。え、えと、今から、何する、ん、ですか?」
「ほら、こうやって」


 うわこれ、壊れてるんじゃないのか? 大丈夫か? こんなの、初めて見た。ティナは予め避妊薬は飲んできたと言っていた。それが確認できれば大丈夫だな。俺はティナを抱きしめ、囁いた。


「少し痛いかもしれない」
「! え・・・」
「痛かったら、足をピンと伸ばして俺の足をぎゅっと、だ」
「あ、はい」


 この後、ティナは死んだ。




「ああ・・・。ユリエルさん、あんなのなしですよぉ・・・」
「おい、ティナ、生きてるかー?」
「はいぃ~。だいじょーぶです・・・」
「大丈夫には見えないな」


 俺が苦笑いすると、ティナはへにゃっと笑った。頭をぽふぽふと撫でる。ティナは俺に抱きついて顔を胸に埋めた。何でこんなに可愛いんだろうな。やっぱり、みんな違う。新鮮で、とても楽しかった。いやいや、他の子が悪いってわけじゃないんだ。ただ、初めてはやはり楽しいものがあるというか。
 そうこうしていると、メリーが部屋に入ってきた。毛布を掛けた状態の俺たちを見て小さく笑う。


「ほら、お二人さん。流石に長すぎるよ。もう二時間経ってる。不思議がられるよ」
『え?!』
「・・・気づいてなかったんだ。ほら、とにかく服着て」


 俺は急いで服を着、ティナもワンピースを着た。やっぱり少し着物っぽいかもしれない。
 メリーは本当に魔法の練習をしてきたのだろう。薄ら汗をかいていた。色っぽい。ああ、今ヤったって言うのに・・・。


「楽しかった? ティナちゃん」
「はい。とっても。それは、ユリエルさんが、お上手だからでしょうか・・・?」
「それは大きいと思うよ。ユーリ上手だもんね」
「な、なんか数こなしてるから、って言いたそうだな」
「あれ、なんでわかったの?」
「わかるだろ。前も同じようなこと言ったぞ」


 メリーはペロッと舌を出した。今のは業とらしい。いつも無意識みたいだから何時業と言ってるのか分からなくてちょっと怖い。
 ともかく、メリーの誘いで一緒に庭に行くことにした。


「それで・・・。ティナちゃんって、何かできる?」
「・・・、え、私ですか?! い、いや、私は、何も・・・」
「でも、学校とかは行ってたんだろ?」
「いえ。私、幼いころ、舞で王様にスカウトされて。ずっとここで暮らしてて。舞しか、やってこなかったです」


 じゃあ、戦う術はないのか。不安だな・・・。
 というのも、あのディランが置いて行った手紙の宛先がティナだったのだ。どうしてもティナを連れていかなくてはいけないだろう。ただ、何も自分を守る術がないとなると、それはとても不安だ。


「魔法とかは・・・」
「えと、魔法っていうか・・・。狐の召喚と、自分が狐になる事なら、出来ます」
「なるほど、妖術かな。じゃあ、魔法もやってみよう」


 妖術が使えるからか、魔法の習得にあまり時間は掛からなかった。すぐにファイアを使えるようになったティナは、嬉しそうに声を上げた。
「私、魔法使えました!」
「よかった。えっと、明後日か。何とかなるかな」
 メリーは安心したようにそう言う。そうしている間にメイドが俺たちを呼びに来たので、城に戻った。




「ユーリ!」
「おわ、メリー?」
「約束、覚えてるかな?」
「そりゃ、忘れるわけないだろ」


 俺が言うと、メリーは嬉しそうに微笑んだ。今、ティナは自分の部屋に居る。俺とメリーは二人きり。
 俺が欠伸をすると、メリーは少し困ったように笑う。


「ごめん、ちょっと我儘かな。今日は止める?」
「いや、大丈夫だ。可愛いメリーの為だからな」
「・・・ふふ、まったくもう!」


 メリーは俺の唇を奪う。ティナとは違うのは此処から。ディープにまで発展するところだろう。それも、メリー自身から。
 俺の嫁の中で、一番積極的なのはメリーだ。逆に、一番消極的なのはリリィ。三人の中なら、エディが中間だろう。みんな違うから誰がいい、とは言えないが、ともかくメリーとの時が一番疲れるのは間違いない。しかもティナの後とか・・・。まあ、約束は約束!




「ねぇ、ユーリ・・・。一つ、訊いていいかな?」
「ん、なんだ?」
「もし・・・。ボクとエディ、リリィの中で、誰か一人しか救えないとしたら。一体誰を助ける?」


 え? 一体何を・・・。そう言おうと思ったら、メリーの瞳があまりに真剣で、何も言えなくなった。
 一体、どういう意味でこれを訊いているのだろう。メリーは、どんな答えを望んでいるのだろう。
 ・・・メリーが真剣なのなら。俺も、裏を読もうとなどせず、真剣に答えるべきなのだろう。


「そうだな・・・。メリーかもな?」
「それは、今ボクが訊いているから?」
「じゃない。ちゃんと、考えて出た結果だ」
「考えを、聞かせて貰おうか」


 考えがないはずはない。そうでなければ、こんなこと、迂闊に口にできるか。俺はメリーの頭をそっと撫でて話し始める。
「まず、エディを助けるという選択肢はない。なぜなら、エディは優しすぎるからだ。助けても、多分、メリーやリリィの事を考えて・・・。な、分かるだろ? リリィとは少し迷った。でも・・・。リリィはあれでいて、相当繊細だ。自分だけ助かる、なんていう状況、エディ同様、やっぱり耐えられないだろうな」
「・・・というと、ボクはその状況でも平気でいられる、と?」
「そうは言っていない。一番自殺しない望みがある、と言っているんだ。あ、あと・・・。メリーなら。俺が、慰める術を持っているんだぞ?」


 メリーは一瞬キョトンとしたが、泣いている様な、笑っているような表情で言った。
「もう、ユーリ。だから大好きだよ、本当に」

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