赤い記憶~リーナが魔王を倒して彼の隣を手に入れるまで~
第43話 シルヴェストル
(危ないッ?!)
その時、大きな銃声が鳴り響いた。ドラゴンの意識はそちらに向き、その隙にベルさんは逃げ出す事が出来た。
でも、今の銃声……。一体誰が?
「ベルちゃん! 大丈夫だった?!」
「シルヴェストル……? どうして……?」
「ベルちゃんたちがドラゴン討伐に向かったって。多分大丈夫だろうけれど、何かあったらって、こっちに来てみて」
茶色い髪の男の子。魔服も含めて、何処からどう見ても銃使いだ。黒い銃をくるりと回すと、もう一度構える。銃口は、しっかりとドラゴンに向いている。
私は見た事がない。けど、誰かに似てる?
「ベルちゃん、戦闘に戻って。早く倒そう」
「うん……。わかってる」
人出が増え、少し楽になった。上手く気を逸らしてくれるおかげで、攻撃がしやすいんだ。
こうして、ドラゴンを倒す事が出来た私達は、みな、同じ疑問を抱いていたらしい。
「で、君は誰?」
「えっ、べル姉の弟?!」
「ラザールくんの一個下かな? シルヴェストル・ドレイク」
「はい、シルヴェストルです」
「な、長いなぁ。短くならない?」
「えっ? あ……。じゃあ、シルヴェールとかどう?」
「あ、うん、それでいい」
ベルさんとラザールお兄様の間で、そんな会話がなされる。
折角なのでパーティに入らないかと言うと、友達と組んでるから、と言われた。まあ、そりゃそうだ。これくらいの年で、これだけ銃の扱いが上手いのであれば、パーティに入ってない事の方が珍しいくらいだもん。
彼からは、優しく、少し中性的な印象を受ける。でも、銃を構えた時の表情は、ちょっと印象違ったな。
「にしても、リーナさんの使い魔、凄いですね」
「え?! い、いや、そんなこと……」
「何言ってるのよ、リーナ、凄かったわ」
「でも……」
あれは、制限付き。シルヴェストルくんには悪いけれど、そんなに凄いものでは……。
「って言うかさ! あれ、いつの間に持ってたの? 僕知らないんだけど」
「えっ、あっ、その……。自分で、買いましたから……」
「言ってくれればよかったのに……」
「迷惑は、掛けられない、です。自分の事くらい……」
「もう。気にしないで良いんだから」
そうなのかもしれない。でも……。
やっぱり、気になるから。私、みんなの足手纏いなんじゃないかなって、いつも……。
部屋に帰ってから、ミアに問いただされた。
「なんで教えてくれなかったの?!」
(だ、だって、あんな制限ばっかなの、かっこ悪いかなって……)
「そんなわけないじゃん! うう~、あんな強いんじゃ勝てない~」
(でも、魔力使い過ぎて不便なんだよ)
「あ、そういうのもあるね……」
ベッドに横になると、レアが心配そうな顔をする。
「もしかして、お疲れでした? 私達……」
(え? あ、帰らないで良いんだよ? そんな大きな負担じゃないから)
「そう、ですか? ならいいのですが」
ん、でも、ちょっとだけ疲れたな。でも、それも心地いい。
ノートの解読は後で進めようかな。今日はもう、寝てしまおう……。
「リーナちゃん?」
「え?」
「えっと、あ……。どうかした?」
「?」
「もうすぐ、九時だけど……」
ガバッと起きあがり、時計を見る。本当だ。心配させちゃったかな。ちょっと疲れてたからで、別に何かあったわけではなく……。
昨日の超大型獣五体召喚は流石に疲れた。随分ぐっすり眠ったらしい。こういう事、結構珍しいんだよね。
「下で待ってるよ?」
「はい、すぐ行きます!」
「おはよう、リーナちゃん」
「お、おはようございます」
いつも通りのダイニング。みんな待っててくれたんだ……。
ラザールお兄様は不意に「あ」と声を漏らすと、私の方を向いて口を開く。
「ミルヴィナ、結婚準備始めたって」
「へえ……、えええっ、結構、早い……」
「ミネルヴァも上手く行きそうだしな、そろそろ良いだろ?」
「行っちゃうん、ですか?」
ミルヴィナさんとは、とても仲が良い。居なくなってしまうのは、とても寂しい……。
「いや、それはない。飽く迄仕事は止めないつもりだからな。此処には残る」
「じゃあ、どう……?」
「ジェラルドがこっちに来る事になった」
「嘘?!」
まさか、そういう形になるなんて思わなかった……。
まあ、部屋は余ってるわけだけど……。ん? ミルヴィナさんと一緒に、かな? 幸せなら何でもいいか。ああ、でも、ミネルヴァさん、どうするのかな。
「リーナちゃん、今日はゆっくり休みな」
「ふぇ?」
「昨日の、疲れたでしょ? だから」
「ああ……」
「流石にあんなに大きい魔物と戦ったのは初めてで、みんなも疲れてるみたいだし」
「そう、ですね」
(終わった)
『第一章 終』と言う文字を見て、私はそっと息を吐いた。ただ、終わったのはたったの一章で、ノートで数ページだ。全然進まない。
以外にも時間のかかる作業の様で、この様子では全部終わるのは何時になるのかな……。あ、でも、そのうち慣れて早くなるかもしれないし。
でも、これが全部で五冊。あまりにも途方のない作業……。
小さく溜息をついて、内容を纏めたノートに目を移す。
大昔。まだ、魔族は魔族で、白や黒の様に分かれてはいなかった。
分かれるきっかけになったのは白黒戦争と呼ばれるある内戦。魔法は人の為に使うものだ、と主張した人たちは白魔法を極め、白魔族に、自分の為に使うものだ、と主張した人たちは黒魔法を極め、黒魔族になった。
でも。全員がどちらかに行った訳じゃなかった。どちらの味方もしなかった人も、もちろんいた。彼らが『赤魔族』、『ロート』なのだ。
白黒戦争は激しくなり、収拾がつかなくなってしまっていた。その時。赤魔族が動き出す。結局、どちらも自らの為に、魔法を使っていた。そうでなく、いつもみんなの為に、と魔法を使っていた赤魔族達の魔法は、誰にも劣らなかった。
そうして白黒戦争は終わりを告げたけれど、白魔族と黒魔族に分かれたままになった。
(そう。昔はみんな、一緒だったの)
争いは……。何と醜いものなんだろう。沢山の人が犠牲になったし、街も滅茶苦茶になった。大切なものが、沢山なくなってしまった。
意味が分からない。なんで、それでも尚、人は争いを繰り返すの? どうして、こういう事になるって、理解出来ないの?
私は、嫌だ。こんな風に、人同士が争って。大切なものを全部失うような目に会うのは。みんなが悲しむような目に会うのは。そうして、そう言う姿を見るのは。
(それで、どうして、赤魔族の事、みんな知らないの?)
それは、次の章を読まないといけないんだろう。時間が掛かるけれど、仕方がない。
とにかく。ロートというのが、赤魔族の事だと言うのが分かった。でも、赤魔族なんて、聞いた事ないけれど。
あと、なんで赤になったんだろう。その辺も、もっと読んでいかないと。
「リーナ様、いらっしゃいますか?」
「アンジェラさん?」
「はい。お茶しませんか? 女の子だけで」
「! 行きます!」
女子会なんて初めて。集まったのは私とアンジェラさん、ミルヴィナにミネルヴァさん。スティルルームメイドのみんなで作ってくれたらしいお菓子を食べながらお喋りをするらしい。けど、私だけ明らかに異質なんだけど。年齢。おかしいって。
「あー、実は、ラザールの事なんだが」
「? ラザールお兄様?」
「許嫁を破棄したいって。しきりに言っていたらしい」
「嘘っ?!」
「だから、なんというか」
「いけそう」
そっか、ラザールお兄様も、多分、一緒なんだ。なら、きっといける。タイミングさえ、あれば……。
私がちょっとだけ俯くと、三人は顔を見合わせてくすりと笑う。
「な、なんですか?」
「いやぁ? 若いなぁ、と思いまして」
「アンジェラさん……」
「お似合いだと思いますよ。相性、良いと思います」
「ミネルヴァさん……」
「まあ、何というか、好きな人と結ばれるのが一番いいからな。頑張れ」
「ミルヴィナ……」
そう……。いやでも、これじゃコイバナって言うか、私の事を三人が面白がってる様に見えるんだけど、違う?
む、やっぱり楽しんでるのかな。みんな知ってるし。本人以外。意味分かんない。なんで気付かないかな。
「ミ、ミルヴィナはどうなの!」
「わ、私か? ジェラルドの話なら幾らでも出来るが」
「っ! 聞いてみたい、ミルヴィナのお惚気話!」
「う……。言っとくが、ジェラルドは私の物だ、渡さないからな」
そう言うと、ミルヴィナはジェラルドさんの事を話し始める。こんなところが良い、とか、あんなことしてくれる、とか。聞いてる方が恥ずかしくなるよ。そんなような事を、幸せそうに話してくれた。
「みんなは、どんなことして欲しいとか、あるのか?」
「私は年下が好きなの。顔真っ赤にしながら好きとか言ってくれたら嬉しい」
ミネルヴァさん、敬語使わなくなってる。ちょっと嬉しい。
「私は……。真面目な付き合い、でしょうか? その、遊びでなく、本当のお付き合いというのを、してみたかったです」
「なんで過去形なの?」
「私、もう、男の方と付き合うつもりはありませんから」
「女の子ならいの?」
「そう言う問題じゃないわ、って、ミネルヴァ! 何言ってるのよ」
「ふふ、敬語解けた」
「あ……」
ミネルヴァさんはしてやったり、という表情で笑う。アンジェラさんは真っ赤な顔で抗議。
「で、リーナは?」
「私は……。正直、一緒に居るだけで、いっぱいです」
「ほら見ろ、この可愛い回答。全く、これだからリーナは!」
「ふええええっ?! 何か悪いこと言いました?!」
なんだか、結構楽しかった。みんなの普段見れない所が見れたし……。こういうの、偶にはいいなぁ。
その時、大きな銃声が鳴り響いた。ドラゴンの意識はそちらに向き、その隙にベルさんは逃げ出す事が出来た。
でも、今の銃声……。一体誰が?
「ベルちゃん! 大丈夫だった?!」
「シルヴェストル……? どうして……?」
「ベルちゃんたちがドラゴン討伐に向かったって。多分大丈夫だろうけれど、何かあったらって、こっちに来てみて」
茶色い髪の男の子。魔服も含めて、何処からどう見ても銃使いだ。黒い銃をくるりと回すと、もう一度構える。銃口は、しっかりとドラゴンに向いている。
私は見た事がない。けど、誰かに似てる?
「ベルちゃん、戦闘に戻って。早く倒そう」
「うん……。わかってる」
人出が増え、少し楽になった。上手く気を逸らしてくれるおかげで、攻撃がしやすいんだ。
こうして、ドラゴンを倒す事が出来た私達は、みな、同じ疑問を抱いていたらしい。
「で、君は誰?」
「えっ、べル姉の弟?!」
「ラザールくんの一個下かな? シルヴェストル・ドレイク」
「はい、シルヴェストルです」
「な、長いなぁ。短くならない?」
「えっ? あ……。じゃあ、シルヴェールとかどう?」
「あ、うん、それでいい」
ベルさんとラザールお兄様の間で、そんな会話がなされる。
折角なのでパーティに入らないかと言うと、友達と組んでるから、と言われた。まあ、そりゃそうだ。これくらいの年で、これだけ銃の扱いが上手いのであれば、パーティに入ってない事の方が珍しいくらいだもん。
彼からは、優しく、少し中性的な印象を受ける。でも、銃を構えた時の表情は、ちょっと印象違ったな。
「にしても、リーナさんの使い魔、凄いですね」
「え?! い、いや、そんなこと……」
「何言ってるのよ、リーナ、凄かったわ」
「でも……」
あれは、制限付き。シルヴェストルくんには悪いけれど、そんなに凄いものでは……。
「って言うかさ! あれ、いつの間に持ってたの? 僕知らないんだけど」
「えっ、あっ、その……。自分で、買いましたから……」
「言ってくれればよかったのに……」
「迷惑は、掛けられない、です。自分の事くらい……」
「もう。気にしないで良いんだから」
そうなのかもしれない。でも……。
やっぱり、気になるから。私、みんなの足手纏いなんじゃないかなって、いつも……。
部屋に帰ってから、ミアに問いただされた。
「なんで教えてくれなかったの?!」
(だ、だって、あんな制限ばっかなの、かっこ悪いかなって……)
「そんなわけないじゃん! うう~、あんな強いんじゃ勝てない~」
(でも、魔力使い過ぎて不便なんだよ)
「あ、そういうのもあるね……」
ベッドに横になると、レアが心配そうな顔をする。
「もしかして、お疲れでした? 私達……」
(え? あ、帰らないで良いんだよ? そんな大きな負担じゃないから)
「そう、ですか? ならいいのですが」
ん、でも、ちょっとだけ疲れたな。でも、それも心地いい。
ノートの解読は後で進めようかな。今日はもう、寝てしまおう……。
「リーナちゃん?」
「え?」
「えっと、あ……。どうかした?」
「?」
「もうすぐ、九時だけど……」
ガバッと起きあがり、時計を見る。本当だ。心配させちゃったかな。ちょっと疲れてたからで、別に何かあったわけではなく……。
昨日の超大型獣五体召喚は流石に疲れた。随分ぐっすり眠ったらしい。こういう事、結構珍しいんだよね。
「下で待ってるよ?」
「はい、すぐ行きます!」
「おはよう、リーナちゃん」
「お、おはようございます」
いつも通りのダイニング。みんな待っててくれたんだ……。
ラザールお兄様は不意に「あ」と声を漏らすと、私の方を向いて口を開く。
「ミルヴィナ、結婚準備始めたって」
「へえ……、えええっ、結構、早い……」
「ミネルヴァも上手く行きそうだしな、そろそろ良いだろ?」
「行っちゃうん、ですか?」
ミルヴィナさんとは、とても仲が良い。居なくなってしまうのは、とても寂しい……。
「いや、それはない。飽く迄仕事は止めないつもりだからな。此処には残る」
「じゃあ、どう……?」
「ジェラルドがこっちに来る事になった」
「嘘?!」
まさか、そういう形になるなんて思わなかった……。
まあ、部屋は余ってるわけだけど……。ん? ミルヴィナさんと一緒に、かな? 幸せなら何でもいいか。ああ、でも、ミネルヴァさん、どうするのかな。
「リーナちゃん、今日はゆっくり休みな」
「ふぇ?」
「昨日の、疲れたでしょ? だから」
「ああ……」
「流石にあんなに大きい魔物と戦ったのは初めてで、みんなも疲れてるみたいだし」
「そう、ですね」
(終わった)
『第一章 終』と言う文字を見て、私はそっと息を吐いた。ただ、終わったのはたったの一章で、ノートで数ページだ。全然進まない。
以外にも時間のかかる作業の様で、この様子では全部終わるのは何時になるのかな……。あ、でも、そのうち慣れて早くなるかもしれないし。
でも、これが全部で五冊。あまりにも途方のない作業……。
小さく溜息をついて、内容を纏めたノートに目を移す。
大昔。まだ、魔族は魔族で、白や黒の様に分かれてはいなかった。
分かれるきっかけになったのは白黒戦争と呼ばれるある内戦。魔法は人の為に使うものだ、と主張した人たちは白魔法を極め、白魔族に、自分の為に使うものだ、と主張した人たちは黒魔法を極め、黒魔族になった。
でも。全員がどちらかに行った訳じゃなかった。どちらの味方もしなかった人も、もちろんいた。彼らが『赤魔族』、『ロート』なのだ。
白黒戦争は激しくなり、収拾がつかなくなってしまっていた。その時。赤魔族が動き出す。結局、どちらも自らの為に、魔法を使っていた。そうでなく、いつもみんなの為に、と魔法を使っていた赤魔族達の魔法は、誰にも劣らなかった。
そうして白黒戦争は終わりを告げたけれど、白魔族と黒魔族に分かれたままになった。
(そう。昔はみんな、一緒だったの)
争いは……。何と醜いものなんだろう。沢山の人が犠牲になったし、街も滅茶苦茶になった。大切なものが、沢山なくなってしまった。
意味が分からない。なんで、それでも尚、人は争いを繰り返すの? どうして、こういう事になるって、理解出来ないの?
私は、嫌だ。こんな風に、人同士が争って。大切なものを全部失うような目に会うのは。みんなが悲しむような目に会うのは。そうして、そう言う姿を見るのは。
(それで、どうして、赤魔族の事、みんな知らないの?)
それは、次の章を読まないといけないんだろう。時間が掛かるけれど、仕方がない。
とにかく。ロートというのが、赤魔族の事だと言うのが分かった。でも、赤魔族なんて、聞いた事ないけれど。
あと、なんで赤になったんだろう。その辺も、もっと読んでいかないと。
「リーナ様、いらっしゃいますか?」
「アンジェラさん?」
「はい。お茶しませんか? 女の子だけで」
「! 行きます!」
女子会なんて初めて。集まったのは私とアンジェラさん、ミルヴィナにミネルヴァさん。スティルルームメイドのみんなで作ってくれたらしいお菓子を食べながらお喋りをするらしい。けど、私だけ明らかに異質なんだけど。年齢。おかしいって。
「あー、実は、ラザールの事なんだが」
「? ラザールお兄様?」
「許嫁を破棄したいって。しきりに言っていたらしい」
「嘘っ?!」
「だから、なんというか」
「いけそう」
そっか、ラザールお兄様も、多分、一緒なんだ。なら、きっといける。タイミングさえ、あれば……。
私がちょっとだけ俯くと、三人は顔を見合わせてくすりと笑う。
「な、なんですか?」
「いやぁ? 若いなぁ、と思いまして」
「アンジェラさん……」
「お似合いだと思いますよ。相性、良いと思います」
「ミネルヴァさん……」
「まあ、何というか、好きな人と結ばれるのが一番いいからな。頑張れ」
「ミルヴィナ……」
そう……。いやでも、これじゃコイバナって言うか、私の事を三人が面白がってる様に見えるんだけど、違う?
む、やっぱり楽しんでるのかな。みんな知ってるし。本人以外。意味分かんない。なんで気付かないかな。
「ミ、ミルヴィナはどうなの!」
「わ、私か? ジェラルドの話なら幾らでも出来るが」
「っ! 聞いてみたい、ミルヴィナのお惚気話!」
「う……。言っとくが、ジェラルドは私の物だ、渡さないからな」
そう言うと、ミルヴィナはジェラルドさんの事を話し始める。こんなところが良い、とか、あんなことしてくれる、とか。聞いてる方が恥ずかしくなるよ。そんなような事を、幸せそうに話してくれた。
「みんなは、どんなことして欲しいとか、あるのか?」
「私は年下が好きなの。顔真っ赤にしながら好きとか言ってくれたら嬉しい」
ミネルヴァさん、敬語使わなくなってる。ちょっと嬉しい。
「私は……。真面目な付き合い、でしょうか? その、遊びでなく、本当のお付き合いというのを、してみたかったです」
「なんで過去形なの?」
「私、もう、男の方と付き合うつもりはありませんから」
「女の子ならいの?」
「そう言う問題じゃないわ、って、ミネルヴァ! 何言ってるのよ」
「ふふ、敬語解けた」
「あ……」
ミネルヴァさんはしてやったり、という表情で笑う。アンジェラさんは真っ赤な顔で抗議。
「で、リーナは?」
「私は……。正直、一緒に居るだけで、いっぱいです」
「ほら見ろ、この可愛い回答。全く、これだからリーナは!」
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