幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について

スプマリ

137話目 マッピング作業

 旅と称して出発したものの、やる事は極めて簡単である。まずは今住んでいる大陸中を走り回り、でっちあげた地図魔法でマッピングを行いながら捜索を行う。但し人里の中には流石にドラゴンはいないだろうという推測と、人里の中を目立たずに素早く移動するのが面倒という点から人里は今回は立ち寄らない。

 以上を簡単に言えば、音速を何段階か超えて大陸を爆走してドラゴンを探すお仕事である。そりゃあ人里にも近寄れないって話だ。尚、この大陸で生息が確認できなかった場合、別の大陸に移動するものとする。そうなると別の大陸を探すところからスタートである。うわぁ面倒くせえ。

 元々森の近くの街にしか住んでおらず、千年間ろくに森の外の情報を集めなかったことも合わさり外の地形などはサッパリ分からない。一先ずは真っすぐに突っ走って海を目指す。もしも惑星全てがでかい大陸だったら一周して今の地点に戻ってくるが、そんな可能性は今は考慮しないでおく。

 走り始めて5時間弱、走りで世界一周してしまうというのはやはり杞憂に過ぎず何とか海にたどり着くことが出来た。むしろ大体音と二倍の速さで走ったのに5時間も掛かったことが驚きだ。さて、休憩としてシャルが作った弁当をここで食べてもいいのだが、初日からすっぽかすのも不味かろう。海を見ながら飯を食いたかったが、転移魔法で一旦帰宅することにする。

「あ、師匠おかえりー」
「おう、ただいま」

 転移したら目の前にシャルが居た。ずっとここで待ってたのだろうか。ちゃんと戻ってきてよかった。あと右手に握っている包丁から血が滴っている。深い意味は無いだろうが怖い。ちゃんと戻ってきてよかった。

 昼休憩を終え、俺は再び大陸の端へと移動するが、端へ移動するだけで半日も掛かってしまったという事実は存外重く、俺はしばし立ち尽くしてしまう。

 大まかにだが森から端まで1万kmということであり、森が大陸のどの位置にあるのかにも依るが大陸自体が相当な大きさであることが伺える。コイツをくまなく探索するだけで何日かかるのか考えたくもない。

 じゃあ走る速さを上げればいいじゃない、と思うかもしれないが、目的はマッピングではなくドラゴンの捜索であり、気配を探りながら走れる速度の限界がこれくらいなのだ。マッピングだけなら準光速で突っ走っておしまいに出来る。

 どう走ってマップを埋めるのが効率が良いか、というかマッピングはこれ正確に出来てるんだろうか、これで本当にドラゴン見つかるんか? とか、色々と頭に浮かんできたが考えるだけ無駄と思い、とりあえず大陸の端からマップを埋めることにして走り出した。

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