幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
40話目 そうだ、ピクニックに行こう
そして俺はある一つの決断を下す。思えば最初からそうしていれば良かったのかもしれないが、決断したからと言って特に変わるようなことは無いので別段構わない。
俺の日課、そしてシャルにとっても既に日課になっている食後の訓練を終え、いつもより一品増えた昼食を食べ終えた俺はシャルにこう宣言した。
「シャル! 今日は一つお知らせがあります!」
「はい! 師匠!」
「午後の訓練はお休みにしてピクニックにします!」
もののついでだ! ドラ助も連れて行くぞ!
「ぴくにっく……、ですか?」
しかし一度外に出れば死の危険が付きまとうこの世界に、ピクニックなんていう呑気なものは存在しないため、シャルはピクニックの意味が分からず俺の言葉を繰り返す。しょうがないにゃあ……、説明してあげるよ。
「そう、ピクニックというのはだな、お弁当を用意して自然の中へと赴き、自然を感じながら楽しく食事をしたりすることなのだ!」
ふふふ、晴れやかな気分になったせいか何だかテンションがおかしなことになってきたけど、これはこれで楽しいのでそのままいくぜ!
「えっと、それっていつもと何が違うんですか?」
しかしシャルは俺の説明ではいまいち良さが伝わらなかったのか、小首を傾げてそう俺に尋ねた。
シャルにしてみれば毎日森の中へと行きその恵みを頂くことで自然を感じているし、毎食師匠と楽しく話しながら食事をしているためいつもとの違いがよくわからなかったのだ。
そしてその言葉を聞いた、テンションの高い俺は若干涙が出そうになる。いつも楽しいと思ってくれてるなんておっちゃんは嬉しいでぇ。何て素直で優しい子なんやぁ。だがしかし、せっかく安全にピクニック出来る環境にあるというのにそれをしないというのは非常にもったいない。何事も経験するのが大事なんだよ!
「楽しさはやってみればわかる! はずだ! そういうわけでお弁当を準備したら早速出かけるぞ!」
「よくわからないけどわかりました師匠!」
その返事、素晴らしい!
そんなわけで昼食を食べたばかりだというのにも拘わらず俺とシャルは弁当作りに精を出す。シャルが喜んでくれるか想像してニコニコしている俺に釣られて、シャルまでニコニコしながら一緒に料理を作る。
そうそう、これだよこれ! こういうのもピクニックの醍醐味だと思うんですよ僕ぁ!
唐揚げにハンバーグに卵焼き、タコさんウインナーに物体Yにお握りと装備は万端。水筒にはたっぷりのジュースとおやつは三百円分、バナナはおやつに入りませんけど持っていきません! ついでだし、ということでドラ助用の特大弁当も作ってたらたっぷり三時間かかってしまったが、まだまだ日は高いので問題はあるまい。
いざ行かん、ピクニック!
「そういうわけでドラ助召喚! カモン! ドラ助!」
今はいつものようにいじるのも面倒なので、無駄なことは一切せずにドラ助を召喚する。俺の魔法が発動して我が家の庭の中心に空間の歪みが発生し、ドラ助がズルリとそこから出てきた。
「グオアアアアアア!!」
いきなり呼び出されたためか、ビビリなドラ助は現れると同時に盛大に叫んだ。そんなんだからお前はただのトカゲなんだよ! 直後、わっさわっさと羽を動かして逃げようとしたので、俺は早々に背中に飛び乗ってドラ助を押さえ込む。知らなかったのか? 魔法使いからは逃げられないんだぞ?
とはいえ前回の呼び出しで多少は慣れたのか、一度押さえ込めばドラ助もすぐに大人しくなり、羽ばたくのをやめると地に伏した。最初からそうしていればいいんだよ。
俺はドラ助の背中から飛び降り、こいつの正面に立つとふんぞり返って思いっきり見下してやる。意味? 無い。
「グルルルルル……」
そんな俺を半目がちにドラ助は睨むと低く唸る。『一体何の用なんだよ……』って感じかね。よろしい、本日の用件を伝えようではないか。
「喜べドラ助、今日は一緒に遊ぶために呼び出したのだ。特に無茶振りをするつもりはない」
だが俺の言葉を聞いたドラ助は明らかに嫌そうな顔をして、首をやや手前に引いた。俺の言葉が全く信じられないらしい。やれやれ、こいつはやはりいつも通りだな。今日は特別な日だというのに相変わらずな様子のドラ助に俺が呆れていると、シャルはドラ助に近寄って優しく言葉を掛ける。
「ドラ助、今日は『ピクニック』? っていうのに一緒に行くの。よろしくね?」
彼女自身ピクニックの意味が分かっていないため、最後の『ク』をやや上がりがちに発音し、念押しをするように『ね?』と両手を合わせて可愛らしくお願いしてドラ助を陥落させにかかる。やだこの子、今日はいつもよりもあざといじゃないの。
そんなあざといシャルには流石のドラ助も、というよりもこの一か月でドラ助はシャルにかなり懐いているためあっさりと陥落し、『しょ、しょうがないのう!』と言った具合に『プイ!』と顔を背けて鼻息を荒くする。
なんだろう、こいつは本当にドラゴンなのだろうか。やはりトカゲ科ドラゴン種とかではないのだろうか。
ま、まあいい、足は確保出来たし、今度こそピクニックに出発と行こうではないか。
俺の日課、そしてシャルにとっても既に日課になっている食後の訓練を終え、いつもより一品増えた昼食を食べ終えた俺はシャルにこう宣言した。
「シャル! 今日は一つお知らせがあります!」
「はい! 師匠!」
「午後の訓練はお休みにしてピクニックにします!」
もののついでだ! ドラ助も連れて行くぞ!
「ぴくにっく……、ですか?」
しかし一度外に出れば死の危険が付きまとうこの世界に、ピクニックなんていう呑気なものは存在しないため、シャルはピクニックの意味が分からず俺の言葉を繰り返す。しょうがないにゃあ……、説明してあげるよ。
「そう、ピクニックというのはだな、お弁当を用意して自然の中へと赴き、自然を感じながら楽しく食事をしたりすることなのだ!」
ふふふ、晴れやかな気分になったせいか何だかテンションがおかしなことになってきたけど、これはこれで楽しいのでそのままいくぜ!
「えっと、それっていつもと何が違うんですか?」
しかしシャルは俺の説明ではいまいち良さが伝わらなかったのか、小首を傾げてそう俺に尋ねた。
シャルにしてみれば毎日森の中へと行きその恵みを頂くことで自然を感じているし、毎食師匠と楽しく話しながら食事をしているためいつもとの違いがよくわからなかったのだ。
そしてその言葉を聞いた、テンションの高い俺は若干涙が出そうになる。いつも楽しいと思ってくれてるなんておっちゃんは嬉しいでぇ。何て素直で優しい子なんやぁ。だがしかし、せっかく安全にピクニック出来る環境にあるというのにそれをしないというのは非常にもったいない。何事も経験するのが大事なんだよ!
「楽しさはやってみればわかる! はずだ! そういうわけでお弁当を準備したら早速出かけるぞ!」
「よくわからないけどわかりました師匠!」
その返事、素晴らしい!
そんなわけで昼食を食べたばかりだというのにも拘わらず俺とシャルは弁当作りに精を出す。シャルが喜んでくれるか想像してニコニコしている俺に釣られて、シャルまでニコニコしながら一緒に料理を作る。
そうそう、これだよこれ! こういうのもピクニックの醍醐味だと思うんですよ僕ぁ!
唐揚げにハンバーグに卵焼き、タコさんウインナーに物体Yにお握りと装備は万端。水筒にはたっぷりのジュースとおやつは三百円分、バナナはおやつに入りませんけど持っていきません! ついでだし、ということでドラ助用の特大弁当も作ってたらたっぷり三時間かかってしまったが、まだまだ日は高いので問題はあるまい。
いざ行かん、ピクニック!
「そういうわけでドラ助召喚! カモン! ドラ助!」
今はいつものようにいじるのも面倒なので、無駄なことは一切せずにドラ助を召喚する。俺の魔法が発動して我が家の庭の中心に空間の歪みが発生し、ドラ助がズルリとそこから出てきた。
「グオアアアアアア!!」
いきなり呼び出されたためか、ビビリなドラ助は現れると同時に盛大に叫んだ。そんなんだからお前はただのトカゲなんだよ! 直後、わっさわっさと羽を動かして逃げようとしたので、俺は早々に背中に飛び乗ってドラ助を押さえ込む。知らなかったのか? 魔法使いからは逃げられないんだぞ?
とはいえ前回の呼び出しで多少は慣れたのか、一度押さえ込めばドラ助もすぐに大人しくなり、羽ばたくのをやめると地に伏した。最初からそうしていればいいんだよ。
俺はドラ助の背中から飛び降り、こいつの正面に立つとふんぞり返って思いっきり見下してやる。意味? 無い。
「グルルルルル……」
そんな俺を半目がちにドラ助は睨むと低く唸る。『一体何の用なんだよ……』って感じかね。よろしい、本日の用件を伝えようではないか。
「喜べドラ助、今日は一緒に遊ぶために呼び出したのだ。特に無茶振りをするつもりはない」
だが俺の言葉を聞いたドラ助は明らかに嫌そうな顔をして、首をやや手前に引いた。俺の言葉が全く信じられないらしい。やれやれ、こいつはやはりいつも通りだな。今日は特別な日だというのに相変わらずな様子のドラ助に俺が呆れていると、シャルはドラ助に近寄って優しく言葉を掛ける。
「ドラ助、今日は『ピクニック』? っていうのに一緒に行くの。よろしくね?」
彼女自身ピクニックの意味が分かっていないため、最後の『ク』をやや上がりがちに発音し、念押しをするように『ね?』と両手を合わせて可愛らしくお願いしてドラ助を陥落させにかかる。やだこの子、今日はいつもよりもあざといじゃないの。
そんなあざといシャルには流石のドラ助も、というよりもこの一か月でドラ助はシャルにかなり懐いているためあっさりと陥落し、『しょ、しょうがないのう!』と言った具合に『プイ!』と顔を背けて鼻息を荒くする。
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