異世界に行ったら、女になったり男になったりで大混乱!? 〜普通じゃない美少女達とドタバタ異世界ライフ!〜

プチパン

二話

 目の前にはバスタオルを首元で抑え、大事な部分を隠しただけの少女、いや美少女と言って良いほどに可愛らしい女性が居た。
 その少女はタオルを押さえてない方の手で一度、腰についてしまうほどに長そうな白色とも銀髪とも見える髪をすいて見せる。
 その一動一動の全てが美しく神秘的でこれこそが夢、そう思えた。


(うんうん、そうこなくっちゃ。この子が俺の夢のヒロイン、うん、中々に可愛いじゃないか)


 普段の癖からか瞬時に品定めしてしまうレイは明らかにジロジロとその少女を凝視していた。
 普通なら叫ばれたり、殴られたりしようものだろうが、これはあくまで夢なのだ。
 目線を下げるとタオルの上からでも分かる形の整った胸、蘇る先程の感触になんともむず痒いものを感じレイは更に目線を落とす。


「どうしたんですか?」


 少女がそんな事を聞いてくるがどうしてそんなに平然としてられるかが分からない、普通の少女いや女性のほとんどは同年代に見える異性と裸で鉢合わせなど何かしらの反応を起こすはずだろう、夢だからなのか?


(俺は咄嗟のアクシデントでポロリし、羞恥に震えるツンデレ美少女の方がタイプだったはずなんだけどな⋯⋯)


 レイは邪念を捨てるべく、頭を振ると決心して少女に再び目線を戻す。


「あ、あの⋯⋯もしかして俺、貴女のむむ胸とか! ももんでし、しまいましたか⋯⋯!?」


 回らない呂律を必死に回すレイ。


(くそ! コミュ障がこんな所で災いを!!)


「俺? 随分可愛らしい一人称⋯⋯。はて、私はそんな事された覚えは無いのですけど」


 レイが顔を上げると何を思ったかぽっと顔を赤らめニコッと微笑みかけてくる。
 怒っていないのだろうか⋯⋯。
 もしかしてこの夢の世界設定では普段から当たり前に男女が裸を見せ合う習慣、いや服という概念が存在していないのか⋯⋯!?


「そ、そんなの嫌だ!」


 咄嗟に叫んでしまった口を押さえ、姿勢のためか少し高い位置にある少女の顔を恐る恐る見上げると、目をパチクリとさせていた。


「よく分かりませんが⋯⋯貴女・・⋯⋯」


 突然真剣そうな表情をする少女に、不吉なものを感じゴクリと生唾を飲む。


「可愛すぎます! どこの誰だかは存じあげませんが、私の専属メイドになりませんか!?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」


 今にも襲わんとばかりに前のめりになり、目を輝かせる少女の反応が意味不明すぎて、ショート寸前のレイ。


「ちょ、ちょっと待ってくれないか!? お、俺は男だぞ!」
「可愛らしい設定ですのね。ますます貴女が気に入りました! その声音、その美しい身体、そして美しく長い黒髪、どう見たって女性ですよ?」


 ふふふっと笑う少女。
 この少女は何を言ってるのだろう、レイが知る自分は、そんなイケボでもなく、特に逞しい身体をしてるわけでもない、ましてや髪なんかはたしかに黒だがどちらかと言えばショートである。
 まぁ、夢なのだからそんな設定でも面白いかもしれないのだが今までそんな発想は無かったから自分でもびっくりだ。


「いつのまにか俺の妄想スキルのレベルが上がっていたなんて⋯⋯自分で自分が怖──」
「何をぶつぶつ言ってるんですか? 自分が女の人であることを知らないなんて設定なんですか? これがマニアック⋯⋯なんです、か?」


 初めておもちゃを貰った子供のように目を輝かせている少女は首を傾げてくる。
 レイは先程の体制のまま胸に置いていた手を動かしてみて、戦慄した。
 もにゅ、もにゅもにゅ。
 そう、あるのだ。自分にあるはずがなく俺ら男性が愛してやまない物、そう、ぱいおつが確かに今レイの体に君臨しているのだ。


「な、なんじゃこりゃー!!」


 当然のごとく今日一番の叫び声を上げるレイ、そしてそれに対してもはっとしてしまう。
 今確かに自分が出した叫び声、だがそれは初めて聞く声だったのだ。
 先程までは、突然の窮地やら水の音やらで気づかなかったのだが、確かにそれは可愛らしい少女の声そのものだったのだ。
 今にも意識を失いそうになりながら、「そ、それなら⋯⋯」そう言って最後の希望にと自分の股に手を持っていき愕然とする。


「な、ない⋯⋯」
「随分と凝ってますのね⋯⋯あぁこんなに可愛らしくて面白い方は初めてですわ」


 身をよじる様にして抱きついてくる少女、だが今のレイには抵抗するほどの力も気力も残っていなかった。
 途端に逆上せが襲ってきてか失いそうになる意識の中、少女に抱きとめられる感触が身体中に広がる。


「どうしちゃったんだよぉ〜」


 なんて弱音を吐きながら、レイは大粒の涙を流し意識を落とした。

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