は、魔王?そんなのうちのブラコン妹の方が100倍危ないんだが
20話 抱きつかれすぎて
「いや、本当に違うんだって!」
必至に誤解を解くべく説明するのだが、ユリアとレイラは依然として不満げな顔を崩さない。
「そんな、隠す必要ないじゃないですか⋯⋯。それとも私達みたいな昨日会ったばかりの他人には話したくないのですか?」
何か癇に障ったのか、明らかにふてく顔のユリア。
普段どちらかといえば大人びた雰囲気を持つユリアがこうしてツンとしている姿は年相応、いや幼く見え可愛らしい。
「いやいや、本当に二人には感謝してるって、しきれないくらいだし、本当に違うんだって!」
「えーだって明らかに特別な関係にしか見えないんだけどなぁー」
すると今度はレイラが対照的にニヤニヤと笑顔を浮かべ言ってくる。
「おーにーいちゃーん〜! 何私以外とイチャイチャしてるの?」
そこでクレアが両頬をぷくぅっと膨らませてジト目を向けてきた。
クレアは本気で怒っているのだろうが、クリクリとした瞳、シミひとつないであろう綺麗な肌、それにほんのり朱色に染まっている頬その全てが全くもって怖くなさすぎた。
(やっぱり⋯⋯か、可愛い⋯⋯)
ハクヤが、惚けていると突然腕に柔らかな何かが押し付けられる。
眼前でクレアが口を開けて固まっていた。
(だ、誰だ!?)
視線を向けると晴天の空のように透き通ったスカイブルーの髪が目に移る。
ほのかに香る甘い香りが鼻腔をくすぐり、それが誰か分かった途端に頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
(レ、レイラ!? なんで?! どうして!?)
悲痛の叫びすらも、パクパクと口が動くだけで言葉にならない。
クレアはいまだに固まり、ユリア、周りの冒険者すらもその唐突な状況に固まっていた。
「二人が特別な関係じゃないなら、私がこんなことしても問題無いよね?」
小悪魔的な笑顔を見せてくるレイラは上目遣いが加わり暴力的なまでにハクヤの理性を揺さぶってくる。
すると突然、もう片方の手に更なる柔らかな感触が⋯⋯。
ただでさえあり得ないぐらいに鼓動している心臓がさらに跳ね上がる。
それはユリアだった。
こちらはまるで太陽の暖かな光の様な金髪、そしてレイラと同じ甘い匂いが漂う。
「ふふふ⋯⋯そうですね。 なら私も」
こちらの少女は皆異性に抱きつく事に恥じらいなどは無いのだろうか⋯⋯視点のずれかかる瞳で二人に視線を向けると、顔は朱色に染まっていた。
両サイドから柔らかな感触が押し付けられる。
これは夢なのでは無いかと疑ってしまうが、あまりにリアルすぎた。
「な、ななな何やってるの! お兄ちゃん!」
そこでようやく我にかえったのかクレアが声を張り上げた。
「いや、俺!?」
「何デレてるんですか、私にはそんなに動揺してくれないじゃないですか! 酷いです! 残酷です! 大罪人です!!」
そんなわけのわからない事を叫ぶと、抱きつく様にして、胸に頭を埋めてくる。
そこでワーワーと騒ぎ出す三人。
「あのー⋯⋯やめてくれませんかね⋯⋯? あのー⋯⋯」
聞こえてないかの様に騒ぎ続ける三人組。
まるでクレアが三人に増えたかの様な様にとうとうハクヤの中で何かがプツリときれた。
「おまえらなぁ! 女の子が人前でこんな事軽々とするな! とりあえず離れろ!」
今日一の叫び声が響き渡る。
三人はビクッと肩を跳ねあげ、さささっと前に並んだ。
ようやく我に返り、前を向くとクレアは申し訳無さそうに俯き、二人は抱き合って涙さえ浮かべていた。
(しくじったわ⋯⋯)
「なんか、ごめん⋯⋯」
そこでちょうど結果が出たらしくお姉さんが戻ってくる。
しかしどうも様子がおかしい、どこか力が抜けたような風でフラフラと歩いてくるのである。
「ど、どうしたんですか? レナさん」
ユリアが心配そうに尋ねるが目を少し向けるだけでほとんど反応がない。
(このお姉さんレナって名前なんだ⋯⋯)
レナさんは明後日の方向に顔を向けぼそりと呟いた。
「いやぁ世界って広いんですね⋯⋯」
そんな何処かで聞いた事があるような事を言い出す。
「大丈夫? レナッチ!」
今度はレイラがそう言うと、レナさんに近づき肩を揺らした。
するとビクッと肩が上がると目に光が戻ってくる。
「ん?み、皆さんなんでそんなに私を見てるんですか?」
レナさんは周りをキョロキョロと見ながらそんな疑問を口にしてくる。
「いや、レナさんが戻ってきたと思ったら少し様子がおかしかったから」
そこまで言うとレナさんは何かを思い出したように早足でハクヤに近づいてきた。
「あなた何者なんですか!」
そして第一声。
「⋯⋯⋯⋯へ?」
いきなりの問いにハクヤが間の抜けた声を返す。
「まぁ、そこはまだいいです⋯⋯と、とりあえず今から言う事をきちんと聞いてください!」
「は、はぁ⋯⋯」
(まさか⋯⋯凄い力持ってたりして⋯⋯)
なぜか嫌な予感が脳裏をかすめる。
ハクヤとしては、クレアと静かに暮らせればそれで良いのだ。
正直、冒険や魔王討伐などそんな危険な事はしたくないし、クレアには絶対させたくないのだ、
「あなたのステータスは本っ当に規格外です! クレアさんをも超えています。 軽くレベル35にも匹敵する程のステータスです」
「「は⋯⋯⋯⋯? はぁぁぁぁぁああぁぁぁあああ!!」」
突然の告白に全員が再び固まり、そして叫び声をあげた、ただ一人を除いて。
その1人はさも当然のように腕組みをして爽やかな笑顔を作っていた。
「言ったでしょ! 私のお兄ちゃんは私なんか比べ物にならないぐらい強いんだって!」
ざまぁみろと言わんばかりそう言い放つ。
(本当に俺にそんな力がある⋯⋯? でもスレイムには全く効かなかったぞ⋯⋯)
そう根本的な疑問が残っていたのだ。
そんなに二人が強いなら、いくら素手だったとはいえ、スライムごとき余裕てま倒せそうなものである。
だが実際は無傷だった。
「なぁ、本当に俺にそんな力があるんですか? そんなに力があるなら普通殴ってもそれなりのダメージがあるはずだど思うんですけど⋯⋯?」
疑問をストレートにぶつける。
「はい、ここら辺のモンスターなら一撃で倒せるほどですがどうしてです?」
さも当然の様に答えてくれる、やはりそうなのだ。
「スレイムの時はピンピンしてましたよ?」
「「え⋯⋯?」」
ハクヤとクレア以外の全員が驚きの声をあげた。
「ハ、ハクヤ⋯⋯スレイムが打撃無効っていう固有スキルを持ってる事も知らなかったの?」
レイラが信じられないっといった表情を向けてくる。
それはステータスの事といい、普通なら誰でも知ってる一般常識すらも知らない両方のせいなのだろう。
ハクヤはただ、「ごめん」と気まずげな笑顔を返すしかなかった。
必至に誤解を解くべく説明するのだが、ユリアとレイラは依然として不満げな顔を崩さない。
「そんな、隠す必要ないじゃないですか⋯⋯。それとも私達みたいな昨日会ったばかりの他人には話したくないのですか?」
何か癇に障ったのか、明らかにふてく顔のユリア。
普段どちらかといえば大人びた雰囲気を持つユリアがこうしてツンとしている姿は年相応、いや幼く見え可愛らしい。
「いやいや、本当に二人には感謝してるって、しきれないくらいだし、本当に違うんだって!」
「えーだって明らかに特別な関係にしか見えないんだけどなぁー」
すると今度はレイラが対照的にニヤニヤと笑顔を浮かべ言ってくる。
「おーにーいちゃーん〜! 何私以外とイチャイチャしてるの?」
そこでクレアが両頬をぷくぅっと膨らませてジト目を向けてきた。
クレアは本気で怒っているのだろうが、クリクリとした瞳、シミひとつないであろう綺麗な肌、それにほんのり朱色に染まっている頬その全てが全くもって怖くなさすぎた。
(やっぱり⋯⋯か、可愛い⋯⋯)
ハクヤが、惚けていると突然腕に柔らかな何かが押し付けられる。
眼前でクレアが口を開けて固まっていた。
(だ、誰だ!?)
視線を向けると晴天の空のように透き通ったスカイブルーの髪が目に移る。
ほのかに香る甘い香りが鼻腔をくすぐり、それが誰か分かった途端に頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
(レ、レイラ!? なんで?! どうして!?)
悲痛の叫びすらも、パクパクと口が動くだけで言葉にならない。
クレアはいまだに固まり、ユリア、周りの冒険者すらもその唐突な状況に固まっていた。
「二人が特別な関係じゃないなら、私がこんなことしても問題無いよね?」
小悪魔的な笑顔を見せてくるレイラは上目遣いが加わり暴力的なまでにハクヤの理性を揺さぶってくる。
すると突然、もう片方の手に更なる柔らかな感触が⋯⋯。
ただでさえあり得ないぐらいに鼓動している心臓がさらに跳ね上がる。
それはユリアだった。
こちらはまるで太陽の暖かな光の様な金髪、そしてレイラと同じ甘い匂いが漂う。
「ふふふ⋯⋯そうですね。 なら私も」
こちらの少女は皆異性に抱きつく事に恥じらいなどは無いのだろうか⋯⋯視点のずれかかる瞳で二人に視線を向けると、顔は朱色に染まっていた。
両サイドから柔らかな感触が押し付けられる。
これは夢なのでは無いかと疑ってしまうが、あまりにリアルすぎた。
「な、ななな何やってるの! お兄ちゃん!」
そこでようやく我にかえったのかクレアが声を張り上げた。
「いや、俺!?」
「何デレてるんですか、私にはそんなに動揺してくれないじゃないですか! 酷いです! 残酷です! 大罪人です!!」
そんなわけのわからない事を叫ぶと、抱きつく様にして、胸に頭を埋めてくる。
そこでワーワーと騒ぎ出す三人。
「あのー⋯⋯やめてくれませんかね⋯⋯? あのー⋯⋯」
聞こえてないかの様に騒ぎ続ける三人組。
まるでクレアが三人に増えたかの様な様にとうとうハクヤの中で何かがプツリときれた。
「おまえらなぁ! 女の子が人前でこんな事軽々とするな! とりあえず離れろ!」
今日一の叫び声が響き渡る。
三人はビクッと肩を跳ねあげ、さささっと前に並んだ。
ようやく我に返り、前を向くとクレアは申し訳無さそうに俯き、二人は抱き合って涙さえ浮かべていた。
(しくじったわ⋯⋯)
「なんか、ごめん⋯⋯」
そこでちょうど結果が出たらしくお姉さんが戻ってくる。
しかしどうも様子がおかしい、どこか力が抜けたような風でフラフラと歩いてくるのである。
「ど、どうしたんですか? レナさん」
ユリアが心配そうに尋ねるが目を少し向けるだけでほとんど反応がない。
(このお姉さんレナって名前なんだ⋯⋯)
レナさんは明後日の方向に顔を向けぼそりと呟いた。
「いやぁ世界って広いんですね⋯⋯」
そんな何処かで聞いた事があるような事を言い出す。
「大丈夫? レナッチ!」
今度はレイラがそう言うと、レナさんに近づき肩を揺らした。
するとビクッと肩が上がると目に光が戻ってくる。
「ん?み、皆さんなんでそんなに私を見てるんですか?」
レナさんは周りをキョロキョロと見ながらそんな疑問を口にしてくる。
「いや、レナさんが戻ってきたと思ったら少し様子がおかしかったから」
そこまで言うとレナさんは何かを思い出したように早足でハクヤに近づいてきた。
「あなた何者なんですか!」
そして第一声。
「⋯⋯⋯⋯へ?」
いきなりの問いにハクヤが間の抜けた声を返す。
「まぁ、そこはまだいいです⋯⋯と、とりあえず今から言う事をきちんと聞いてください!」
「は、はぁ⋯⋯」
(まさか⋯⋯凄い力持ってたりして⋯⋯)
なぜか嫌な予感が脳裏をかすめる。
ハクヤとしては、クレアと静かに暮らせればそれで良いのだ。
正直、冒険や魔王討伐などそんな危険な事はしたくないし、クレアには絶対させたくないのだ、
「あなたのステータスは本っ当に規格外です! クレアさんをも超えています。 軽くレベル35にも匹敵する程のステータスです」
「「は⋯⋯⋯⋯? はぁぁぁぁぁああぁぁぁあああ!!」」
突然の告白に全員が再び固まり、そして叫び声をあげた、ただ一人を除いて。
その1人はさも当然のように腕組みをして爽やかな笑顔を作っていた。
「言ったでしょ! 私のお兄ちゃんは私なんか比べ物にならないぐらい強いんだって!」
ざまぁみろと言わんばかりそう言い放つ。
(本当に俺にそんな力がある⋯⋯? でもスレイムには全く効かなかったぞ⋯⋯)
そう根本的な疑問が残っていたのだ。
そんなに二人が強いなら、いくら素手だったとはいえ、スライムごとき余裕てま倒せそうなものである。
だが実際は無傷だった。
「なぁ、本当に俺にそんな力があるんですか? そんなに力があるなら普通殴ってもそれなりのダメージがあるはずだど思うんですけど⋯⋯?」
疑問をストレートにぶつける。
「はい、ここら辺のモンスターなら一撃で倒せるほどですがどうしてです?」
さも当然の様に答えてくれる、やはりそうなのだ。
「スレイムの時はピンピンしてましたよ?」
「「え⋯⋯?」」
ハクヤとクレア以外の全員が驚きの声をあげた。
「ハ、ハクヤ⋯⋯スレイムが打撃無効っていう固有スキルを持ってる事も知らなかったの?」
レイラが信じられないっといった表情を向けてくる。
それはステータスの事といい、普通なら誰でも知ってる一般常識すらも知らない両方のせいなのだろう。
ハクヤはただ、「ごめん」と気まずげな笑顔を返すしかなかった。
コメント
バジリス
面白いです!
続き楽しみにしてます!