は、魔王?そんなのうちのブラコン妹の方が100倍危ないんだが

プチパン

17話 どうやら妹は勇者並みっぽいです

「なんなんですか、これ⋯⋯ステータスが高い、なんてレベルではないです⋯⋯」


 顔を真っ青にし、パタパタと走ってきたお姉さんが手をかすかに震わせながらそんなことを呟いた。
 チラッとクレアを見て、また手元のカードに視線を戻す。


「全ステータスが駆け出し冒険者の平均ステータスを一回りいや二回りほど上回っています! 特に物理アタックと、光のステータスが群を抜いています⋯⋯20レベルに匹敵するほどです!」


 後ろでユリアとレイラが驚きの声を上げ、周りの冒険者達もなんだなんだと集まって来る。
 当の本人であるクレアは目をパチクリとさせている。


「ほ、本当に、私⋯⋯?」


 クレアは真偽を問うような視線を向けてきた。
 それに対し、ハクヤは爽やかな笑顔を返す。
 妹が、そこまで凄いのだ、兄としてもこれ程に鼻が高いものはない。


「凄いなクレア、流石だぞ。まるで伝説の勇者みたいだな。俺の分までよろしく頼みたい所だよ」
「勇者⋯⋯?」


 さらに数巡、呆けたような面を晒す、その間にもだんだんと野次馬が集まってくる。
 心配になり、声をかけようとした瞬間、はっとしたように顔を振ると、クレアが力強く拳を握った。


「それはダメだよお兄ちゃん! 確かに守ってあげるのもいいけど⋯⋯ あれ? それってお兄ちゃんが私を頼ってくれて私がお兄ちゃんの世話をしてあげるって事⋯⋯? えへへ⋯⋯⋯⋯」


 クレアは腕を体に回し、くねくねと揺れながらそんな危ない事を言い出した。
 もちろん、大勢の前である。
 過去のトラウマが蘇りそうになり、慌ててクレアを止めにかかる。


「クレア!? 人前で変な事言うなって!」


 全身から冷や汗が流れ出す。
 過去に数度このような発言でハクヤは死にたくなった事があるのだ。
 クレアが学校で堂々と妻宣言した時、近所でありもしない誤情報(人前で言うことを憚れるような内容)を体をくねらせながら呟いてたり、街中で「お兄ちゃんの為!」とか言ってスカートの下のパンツを脱ぎ出したりなど⋯⋯。
 言い出せば、キリがないのだ。
 その度に何故か、自分だけに非難の目が向けられるのだからたまったもんじゃない。
 その結果つけられたあだ名は、淫妹王いんまいおう通称シスシスキング又の名をシスキングなんて不名誉にも程がある名で呼ばれたものだ。
 トラウマになっても仕方のない事だろう。




「そーれでもぉ⋯⋯女の子は男の子に、特に好きな人には、守ってもらいたいもんなんだよぉ。おにーぃちゃん❤︎⋯⋯?」


 クレアが可愛らしく、人差し指を下唇に当てて見せてくる。




「そう思いません? そこのお二人さん?」


 クレアがレイラとユリアに顔を近づけ、何かを呟いた。


「そんな方居ませんよ〜。 あぁ、もしかしてハクヤさん⋯⋯まぁ、確かに優しい方だとは思ってますけど。まぁ、でもそうですねぇ⋯⋯」


 すると、ユリアの口元が僅かに釣りあがった。


「もし貴方の魅力が足りなくて、なびかない時は私が貰っちゃいましょうかね⋯⋯」


 ニコニコとそんな事を口に出すユリア、それに対しクレアは強く返されると思ってなかったのか、目をパチクリとさせ、口を開け閉めさせる。


「確かに良いやつだと思うけど⋯⋯私まだそういうのよく分かんないんだよね」


 今度はレイラが返す。


「まだ、大丈夫⋯⋯でしょうか⋯⋯」


  クレアは2人に疑う様な目を向ける。
  2人はそれぞれバラバラに反応していた。


「お前ら何話してんだ? 」


 ハクヤが聞くと、またも三人がそれぞれの反応を見せる。
 全くいつからそんなに仲良くなったのだろうか⋯⋯。
 女子のそういう力に素直に感嘆する。




「あ、あのぉ⋯⋯4人まだ話の途中なんですけど⋯⋯」


 そう言って肩を叩いてきた、ギルドのお姉さんは話の腰を折られた事からか、少し肩を落としている。


「あ、あぁ⋯⋯すまない。 クレアのステータスに驚いてしまって」


 うんうんとユリアとレイラも首を振った。





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