竜神の加護を持つ少年

石の森は近所です

35.カラドボルグ別名・・・

 朝、アレフ王子にどれにするか決ったかい?
そう聞かれ、知っている名前の物は神関連のやばい武器だったんで……。
まったく聞いた事の無い、自分の戦い方に合いそうな剣を選んだ。


「ほう、中々いい剣ではないか!」


へー、竜神のクロでもいい剣だと思ったんだ?
まさか怪しい、曰くとか……無いよね?
俺……アニメと漫画見て知っているんだから!
カドゥケウスとゲイボルグだけは選んじゃ駄目だって!


一応、無敵状態?の俺でもやっぱね……。
戦いだけってのは――避けたい訳よ。


「コータ殿は、何か狙って選んだ様にしか思えないね」


はい?何を狙っていると言うんですか?
そんなに、この剣……やばいの?
今から変えていい?
駄目?そうなんだ……。


「じゃ王都闘技場で、試し切りとかやってみるかい?僕も見てみたいしね」


コータ殿の本当の……。
アレフ王子が何か言っていたが――後半聞こえなかった。
何か悪口ですか?ったく……。
男に、ウインクとか貰っても嬉しくないし!


そしてやって参りました円形闘技場。
なんか思っていたのと違う……。
これってさ、野球場のように座席の方が盛り上がっていると思うじゃん?
普通そうだよね?
でもここ、穴掘って掘る過程で段差作って座席にしてあるんだよ!


いったい雨降ったら、何処に雨水逃がすんだろう?
気になったんで、王子に聞いてみたら側溝に落ちた水は浄水施設に魔道具で
流され、ろ過された後で下水と洗濯用の小川に流すらしい。
魔法って便利だね!


「それじゃ、的は何にしようか?」


剣なのに……的ってどういう事でしょう?
だって俺が選んだのはただの、剣だよ!
剣って言えば、近接戦闘の武器じゃない?
そうだよね?


「確かに、普通の剣ならばそうであろうのぉ」
「何?これ……普通じゃ無い訳?」
「コータは鑑定で、見て決めたのであろう?ならば知っておる筈だが?」


はい?ちょっと待ってもらって再度、武器を鑑定する。


●名前・・・・カラドボルグ(剣)


 攻撃力・・・2000+装備者の力×5倍 


 属性・・・・光


 性能・・・・シャイニングブラスター


いやぁ、確かに凄いね!
攻撃力2000に俺の力の5倍?だよ!
俺の力が、300だとしたら2000+1500で3500!!


すげー……俺。
本当にこの世界で無双出来そうな気がしてきた。
でも俺、自分のステータス見られないからな。
あーでも、娘達のステータスでも力とか見れていなかったわ。


それに武器単体の攻撃2000って?
普通の、俺が昨日まで持っていた武器は?
いくつの数字だったんだろ?糞……見ておくんだった。


後は……属性? これってあれでしょ?
その人の、得意属性と合わさった時に、効果が何%上がるとか……。
後は……性能?
これは――なんだろ?
光輝いて……目眩ましとか?


おぉーなんか勇者みたいじゃない!
そーいえば……アレフ王子が勇者候補じゃん!
アレフ王子を支持すれば、少なくとも俺が担ぎ上げられるおそれは無いな。


さて……なんだか分からないけど、
アレフ王子の護衛騎士が200m先?に的を用意したみたいだ。
なんだ……あの的……。
なんか動いているんですけど……豚?


「あれ?アレフ王子、あの的動いていますよ?」
「そりゃーね。動かなかったら試し撃ちにならないでしょ?」


はい?
切るじゃなくて撃つの?
まさか……剣が勝手に飛んで行って戻ってくるとか、無いよね?ぇ?


「じゃ準備はいいかい?」


あの動いているの、何かまだ聞いてないんだけど……。


「あーあれは今朝、王都近郊に迷い込んできたオークだよ。だから気にしないで安心して」
「あーオークですか……」


はい、オークきましたわぁ。
オーガがいるんだから、居ても可笑しくないよね! 
女性の敵!そう考えたらちょっと気持ちが楽になったわ。


さて。一丁!行きますか!
名前呼んで、剣を振ればいいのかな?やってみよう!


「しゃいにんぐぶらすたぁー!」


かっこよく大声で叫びながら、剣を袈裟懸けに切り降ろしたが……。


――何も起きなかった。


あれ?


ちょっ……めっちゃ恥ずかしい。
俺の顔、今絶対に真っ赤だわー……。穴があったら入りたい。


「ははは…………」


ちょっと……第一王子!
そんな乾いた声で苦笑いしないでよ!
こっちだって、めっちゃ恥ずかしいんだからさ!


「コータ……何をやっておるのじゃ?」


クロはクロで、ピクシードラゴンサイズの小さく円らな瞳を点にしているし……。


「え?だって……発動のさせ方、知らんし……」
「コータ殿は、魔剣を持つのは初めてかい?なら仕方ないねー」


なんです?その暖かい子供を見るような視線は……。


「コータよ、魔剣は声を出すのでなく、剣に魔力を流せば良いのだ!」


魔力操作って、俺やってないよね?
魔法の訓練していたのは女性陣だし……。
思い出したわ!
俺、空飛ぶイメージしていて、頭痛くなって止めたんだった。
と言う事は?
まったく操作出来ないって事か……。
こんなんで全開とかやって大丈夫なの?
王都消失とかしても俺、保障できないよ?
まぁ、そんな事ありえないか。
某、人気長者TVアニメのお猿さんが亀の名前の気だっけ?
それぶっ放す奴?でも無いしね……。


「じゃ、もう一度行きます!」
「しっかりね!」


しっかりじゃねーよ!糞王子。
こんな実験しなければ、大恥かかなかったのに……。
俺は剣に、アニメの真似して中腰になり突きの姿勢のまま気を溜め込む。
なんかごっそり体力が減った気がした。――その瞬間。


「コータよせ!」


クロが、何か言ったが集中し過ぎていて分らない。
そのまま気を、一気に打ち出した。
目の前が真っ白に光り、とっさに剣を上に向けたが少し遅かったみたいだ。


「どばぁぁぁーん!」


物凄い爆音と共に、闘技場の最上部が吹っ飛んだ――。
闘技場内にいたオークは……無事だったようだ……あれ?


「ばかもの!」


クロから、思いっきり怒鳴られる。
だって、あんな威力……想像出来る?
出来ないっしょ?普通……俺人間だし。


あれじゃ、まるで……某宇宙もののアニメで、地球の危機を回避する為に、遠くの惑星に放射能除去装置を取りに行った船最強の武器じゃん!


「コータはその剣に気づいたのでは無かったのか?」


え?ちゃんと銘と性能は確認したけど……。
近接の火力は高い武器だよね?違ったけど――。


「お主が選んだのは、あの中で最上級の武器だぞ!」


ええー?だって俺、色んなゲームとか漫画、アニメ見てきたけど――こんな名前の武器知らないよ?


「知らぬ筈は無いだろう!その剣こそ別名……聖剣エクスカリバー。
遥か昔アーサー王の使っておった剣じゃ!」


有名どころか。
知らぬ者を探す方が難しいぞ!とか……言ってんじゃねーよ!
そんならちゃんとそう書いておけ!!
作者、絶対俺に恨みあるんだろ?
こんなフラグの立て方卑怯だよ!
コータは聖剣を手に入れた!!とかゲームテロップに出ちゃったじゃないかよ!


OH!アレフ王子の執事が、青い顔して飛び込んできたわ。
その後ろからは……あれ謁見の間で見た大臣じゃないの?
そして、こんな事を言われた――。


「コータ殿、少しお時間いいですかな?勿論……闘技場の修理費の事で……」


せめて褒美の金貨1000枚で足りればいいな……と思いながら大臣に連行されていった。

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