子猫ちゃんの異世界珍道中
第186話、無事な知らせと魔族の関与
ご婦人はキリングさんの所まで来ると小包を手渡しています。
僕の嗅覚を侮って貰っては困ります。
あれは――鳥の手羽先ですね!
僕のそんな予想をよそにキリングさんは小包を急いで開きます。
朝食はまだだったのでしょうか?
僕達とは別の館に止まっていたので分かりませんが……。
ご婦人が去ってから小包を開きだしたキリングさんの動向を皆は訝しむ様に見つめています。だから中身は鳥の手羽先ですって!
小包を開くと僕の予想通りに木の皮で丁寧に包まれた鳥の手羽先と、羊皮紙が出てきました。
あれ?
さっきのご婦人からのラブレターか何かでしょうか?
いつの間に――そんな事を考えていると、一通り手紙に目を通したキリングさんがその手紙を王子に渡しました。
えっ、ラブレターを回し読みとかどういう神経しているんでしょう?
僕以外の皆の視線も冷めたものになっています。
当然ですよね。
デリカシーの無い人は嫌われますからね!
と思っていると、王子から今度はフローゼ姫に羊皮紙が渡りました。
はぁ?
もしかしてラブレターじゃ無いんでしょうか……。
するとその羊皮紙に目を通したフローゼ姫の口から驚きの声が上がります。
「なに!」
他の女性陣が大声を上げたフローゼ姫を注視します。
「いったいどうしたんですの?」
「そうにゃ。恋文の回し読みはいけないにゃ」
あは。ミカちゃんも僕と同じ考えだったようです。
フローゼ姫はそれどころでは無いと言った様子で口を開きます。
「すまぬ。驚かせてしまったな」
「それで何が書いてあったんですの?」
「そうにゃ。そんなに驚かれたら気になるにゃ」
一通り皆を見渡した後、くふふ、と含み笑いを漏らしフローゼ姫は羊皮紙の内容を話し出します。
「これはガンバラ王国の王が寄越した文だ。これによると先日スレイブストーン渓谷というエルストラン皇国とガンバラ王国の国境において戦乱の火蓋が切って落とされたとある。皇国側には先日サースドレインに来た――迷い人と金髪の少女が混ざっていたとある。それをミランダと……ボルグ・ハイネ、グレゴリー・サースドレインの3名で撃ち払ったらしい」
「お父様が……」
「騎士団長と子爵様は分かるけど……ミランダって誰だっけ?」
「子猫ちゃん、あれにゃ――消火が得意な迷い人の元仲間にゃ!」
「何であの人が騎士団長とかと一緒にいるんです?」
「それは――数奇なめぐりあわせにゃ!」
誰にとって数奇なのかはこの際置いておくとして――。
フローゼ姫もエリッサちゃんも騎士団長と子爵様の無事を聞いて嬉しそうです。
それにしてもサースドレインに再侵攻してこないと思っていたら、ガンバラ王国の方に行っていましたか。
でもこれで渚さんの弟子が、そう多くはない事がほぼ確定しましたね。
「まて、続きがある」
フローゼ姫とエリッサちゃんが喜びを分かち合っていると、王子が横から口を挟んできました。
本当に無粋な奴ですね。
今、いい所なのに――。
「ん、まだ何か朗報があるのか?」
フローゼ姫が笑みを漏らしながら問いかけると、
「ええ。朗報では……父が実際に戦闘を行ったボルグ殿にその時の様子を伺った所、金髪に赤眼の少女は――魔族だという事が判明致しました」
今まで満面の笑みを浮かべていたエリッサちゃんも、フローゼ姫も今の王子の一言で素に戻り、固まってしまします。
魔族という事は、ルフランの大地が荒廃した荒地だった時に人族と魔族が争いその屍を養分として一面花畑となったあの魔族ですね。
皇国に魔族が居た事がそんなに驚くほどの事なんでしょうか?
「何で皆固まってるにゃ?」
「魔族と言っても大昔に人族と戦って大勢死んだあの魔族でしょ?」
僕もミカちゃんも魔族に関しての知識はありません。
2人に問いかけてみると――。
「伝承では魔族は――魔法のエキスパートにして精神魔法を得意としている一族だ。ルフランの大地を真っ赤に染めたのも実際は魔族側よりも人族の方が遥かに多かったのだ」
フローゼ姫の話を聞いて、このアンドレア国の民に掛けられた洗脳も恐らく魔族の仕業と言い切れます。
まさか――渚さんの様子が時折おかしかったのも。
僕がそんな事を考えていると、王子の話はこれで終わりでは無かった様で、
「現在、撤退した皇国軍を追ってガンバラ王国の全軍と、ボルグ殿達が皇国方面へ進軍中らしい。僕達にもアンドレア側から攻め込んで欲しいと要請がきている」
「なに!」
「そ、そんな――」
「にゃにゃ!」
「呑気にここで話し込んでいる場合じゃないじゃないですか!」
この王子本当に使えませんね。
子爵様と騎士団長が生きていた知らせは喜ばしいものですが――。
一番大事な事を最後に持ってくるのは如何なものかと思います。
王子達を見送りに来て出陣の準備すらまだ出来ていません。
急遽、出陣の用意をする為に僕達は急いで子爵城に戻ったのでした。
僕の嗅覚を侮って貰っては困ります。
あれは――鳥の手羽先ですね!
僕のそんな予想をよそにキリングさんは小包を急いで開きます。
朝食はまだだったのでしょうか?
僕達とは別の館に止まっていたので分かりませんが……。
ご婦人が去ってから小包を開きだしたキリングさんの動向を皆は訝しむ様に見つめています。だから中身は鳥の手羽先ですって!
小包を開くと僕の予想通りに木の皮で丁寧に包まれた鳥の手羽先と、羊皮紙が出てきました。
あれ?
さっきのご婦人からのラブレターか何かでしょうか?
いつの間に――そんな事を考えていると、一通り手紙に目を通したキリングさんがその手紙を王子に渡しました。
えっ、ラブレターを回し読みとかどういう神経しているんでしょう?
僕以外の皆の視線も冷めたものになっています。
当然ですよね。
デリカシーの無い人は嫌われますからね!
と思っていると、王子から今度はフローゼ姫に羊皮紙が渡りました。
はぁ?
もしかしてラブレターじゃ無いんでしょうか……。
するとその羊皮紙に目を通したフローゼ姫の口から驚きの声が上がります。
「なに!」
他の女性陣が大声を上げたフローゼ姫を注視します。
「いったいどうしたんですの?」
「そうにゃ。恋文の回し読みはいけないにゃ」
あは。ミカちゃんも僕と同じ考えだったようです。
フローゼ姫はそれどころでは無いと言った様子で口を開きます。
「すまぬ。驚かせてしまったな」
「それで何が書いてあったんですの?」
「そうにゃ。そんなに驚かれたら気になるにゃ」
一通り皆を見渡した後、くふふ、と含み笑いを漏らしフローゼ姫は羊皮紙の内容を話し出します。
「これはガンバラ王国の王が寄越した文だ。これによると先日スレイブストーン渓谷というエルストラン皇国とガンバラ王国の国境において戦乱の火蓋が切って落とされたとある。皇国側には先日サースドレインに来た――迷い人と金髪の少女が混ざっていたとある。それをミランダと……ボルグ・ハイネ、グレゴリー・サースドレインの3名で撃ち払ったらしい」
「お父様が……」
「騎士団長と子爵様は分かるけど……ミランダって誰だっけ?」
「子猫ちゃん、あれにゃ――消火が得意な迷い人の元仲間にゃ!」
「何であの人が騎士団長とかと一緒にいるんです?」
「それは――数奇なめぐりあわせにゃ!」
誰にとって数奇なのかはこの際置いておくとして――。
フローゼ姫もエリッサちゃんも騎士団長と子爵様の無事を聞いて嬉しそうです。
それにしてもサースドレインに再侵攻してこないと思っていたら、ガンバラ王国の方に行っていましたか。
でもこれで渚さんの弟子が、そう多くはない事がほぼ確定しましたね。
「まて、続きがある」
フローゼ姫とエリッサちゃんが喜びを分かち合っていると、王子が横から口を挟んできました。
本当に無粋な奴ですね。
今、いい所なのに――。
「ん、まだ何か朗報があるのか?」
フローゼ姫が笑みを漏らしながら問いかけると、
「ええ。朗報では……父が実際に戦闘を行ったボルグ殿にその時の様子を伺った所、金髪に赤眼の少女は――魔族だという事が判明致しました」
今まで満面の笑みを浮かべていたエリッサちゃんも、フローゼ姫も今の王子の一言で素に戻り、固まってしまします。
魔族という事は、ルフランの大地が荒廃した荒地だった時に人族と魔族が争いその屍を養分として一面花畑となったあの魔族ですね。
皇国に魔族が居た事がそんなに驚くほどの事なんでしょうか?
「何で皆固まってるにゃ?」
「魔族と言っても大昔に人族と戦って大勢死んだあの魔族でしょ?」
僕もミカちゃんも魔族に関しての知識はありません。
2人に問いかけてみると――。
「伝承では魔族は――魔法のエキスパートにして精神魔法を得意としている一族だ。ルフランの大地を真っ赤に染めたのも実際は魔族側よりも人族の方が遥かに多かったのだ」
フローゼ姫の話を聞いて、このアンドレア国の民に掛けられた洗脳も恐らく魔族の仕業と言い切れます。
まさか――渚さんの様子が時折おかしかったのも。
僕がそんな事を考えていると、王子の話はこれで終わりでは無かった様で、
「現在、撤退した皇国軍を追ってガンバラ王国の全軍と、ボルグ殿達が皇国方面へ進軍中らしい。僕達にもアンドレア側から攻め込んで欲しいと要請がきている」
「なに!」
「そ、そんな――」
「にゃにゃ!」
「呑気にここで話し込んでいる場合じゃないじゃないですか!」
この王子本当に使えませんね。
子爵様と騎士団長が生きていた知らせは喜ばしいものですが――。
一番大事な事を最後に持ってくるのは如何なものかと思います。
王子達を見送りに来て出陣の準備すらまだ出来ていません。
急遽、出陣の用意をする為に僕達は急いで子爵城に戻ったのでした。
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