子猫ちゃんの異世界珍道中
第87話、私達に任せるにゃ!
僕達の目的とは何の話でしょう?
僕達は、この国が何を考えてエルフを襲っているのかを知る為に来ただけです。
でも既に僕達の目的は達成されています。
僕がこのギルマスの考えを先読みしている間に、ミカちゃんが答えます。
「私達は道に迷ってここに来ただけにゃ」
そういえば最初の設定はそれでしたね。
ミカちゃんの答えを聞きギルマスの表情が若干曇ります。
「それはおかしいわね。貴女のプレートはアンドレア王国の物だったと報告を受けているわよ。そんな遠くの国から迷ってここに来たと言われてもね」
このギルマスはミカちゃんの話が作り話だと思った様です。
「本当にゃ! 森で狩りをしていたらゲートに落ちて気づいたらルフランの大地だったにゃ」
そこからの説明はエルフの大樹で話した内容と全く同じです。
その時に、千年狐さんに子供を託され場所を聞いて道に迷ったと説明します。
「そう。あなた達がエルフの代理でこの国を調査に来たと思ったのだけれど、勘違いだった様ね」
そう言葉を告げると僕達に頭を下げました。
ん……もしかして悪い人じゃないのかも?
そう思ったのも一瞬でした。
「くふっ、あなた達がエルフの代理ならビックウッドローズの討伐を依頼しようと思ったのだけれど。違うのなら無理かしらね」
意味がわかりません。
何故、エルフの代理なら討伐を依頼して、違うと駄目なんでしょう?
それにこのギルマスはエルフに対し、嫌悪の感情を持っている様に思えます。
「みゃぁ~?」
「うふ、あたしがエルフを嫌いな理由かい? それはあたしがエルフだからさ」
全く理解出来ません。
この人はダークエルフで、エルフじゃない。あれ? あたしがエルフ??
僕が疑問符を浮かべているのに気づいた様で、自分の身の上話を語りだしました。
「あたしの生まれは、これでもアルフヘイムなのよ」
アルフヘイム……エルフの長が治める大樹の上階を住処とする一族ですね。
でもこのギルマスは色がまったく違います。
それを察したように話は続きます。
「生まれた時は真っ白な、純粋なエルフだったのよ。でもね、まだ8歳の時分に病気を患ってね……その後遺症で皮膚の色が変質したのよ。両親はそれでもあたしを可愛がろうとしてくれていたわ。でも長が――長の一存であたしはアルフヘイムを追い出された。最初はスヴァルトアールヴヘイムのドワーフの老夫婦に養子に出されたの。その夫婦が亡くなると、皆掌を返したようにあたしを追い出したわ。全て長の指示でね。当時13歳だったあたしは、砂漠へ逃げた。そしてこの国に辿り着き、昨日亡くなった国王の曽祖父に養われたの。それからあたしはこの国の為に出きる事は何でもやった。でもね、今回のビックウッドローズ討伐だけは無理だった……。あたしが生まれた170年前は既に種族戦争が終わった後で、魔力が低い子が殆どなの。Bランクまでは倒せてもAランクなんて化け物は無理ね」
「貴女が不遇の身の上で苦労してきたのは理解した。だが、それがエルフと何の関係があるのだ?」
皆も不思議に思っている今回の件とエルフの関係性をフローゼ姫が問います。
すると、思いも寄らない答えが返ってきました。
「ここの門を覆っている大木はエルフの森から刈り取ったんだけどね、この街の現状を知った上で、奴等は 伐採をする事を一切認めなかったのさ。お陰で大勢死んだ。その仕返しも含めてエルフを殺してやったけどね」
エルフの言い分と、このギルマスの話が噛み合いません。
エルフの長は、森林伐採に突然やってきて止めに入ったエルフを虐殺したと言っていました。
どっちが真実なのでしょうか?
何れにせよ、大木でも防ぎきれなかった事で、団子虫を倒さない限りはこの街に未来は無いですね。
エルフに依頼しても魔力が低いものしか居ない現状で、Aランクの魔物を討伐するのは無理です。
次に街に入られたらまた大勢食い殺されそうですね。
何か言い方法は無いかと考えていると――。
「私達が退治するにゃ!」
あは。流石ミカちゃんお人よしですね!
でもそれしか手は残って無いかも知れませんね。
ミカちゃんの発言を、信じられない者を見た様な驚きと困惑の表情で見つめて聞いていたギルマスでしたが、流石に見ず知らずの者を巻き込む訳には……と、俯いてしまいました。
普通に考えてBランクは倒せても、Aランクは別物と言いますからね。
僕達はCランクの冒険者です。
尚更、無理だと思われているのでしょう。
「何とかなるにゃ! 私と子猫ちゃんは鬼を倒した事があるにゃ!」
オーガを退治したと聞かされ、目を見開いて驚くギルマスを他所に、エリッサちゃんとフローゼ姫も口添えします。
「私達も居ますからね!」
「あぁ、妾達全員で掛かれば退治出来るぞ!」
Aランクでもオーガは再生能力に特化した魔物でしたからね。
同じAランクでも、再生能力が無ければ何とか成りそうな予感はします。
僕達全員の顔をゆっくりと見回したギルマスが、眉を下げ今にも泣き出しそうな面持ちで言います。
「すまない。宜しく頼む」
僕達は、この国が何を考えてエルフを襲っているのかを知る為に来ただけです。
でも既に僕達の目的は達成されています。
僕がこのギルマスの考えを先読みしている間に、ミカちゃんが答えます。
「私達は道に迷ってここに来ただけにゃ」
そういえば最初の設定はそれでしたね。
ミカちゃんの答えを聞きギルマスの表情が若干曇ります。
「それはおかしいわね。貴女のプレートはアンドレア王国の物だったと報告を受けているわよ。そんな遠くの国から迷ってここに来たと言われてもね」
このギルマスはミカちゃんの話が作り話だと思った様です。
「本当にゃ! 森で狩りをしていたらゲートに落ちて気づいたらルフランの大地だったにゃ」
そこからの説明はエルフの大樹で話した内容と全く同じです。
その時に、千年狐さんに子供を託され場所を聞いて道に迷ったと説明します。
「そう。あなた達がエルフの代理でこの国を調査に来たと思ったのだけれど、勘違いだった様ね」
そう言葉を告げると僕達に頭を下げました。
ん……もしかして悪い人じゃないのかも?
そう思ったのも一瞬でした。
「くふっ、あなた達がエルフの代理ならビックウッドローズの討伐を依頼しようと思ったのだけれど。違うのなら無理かしらね」
意味がわかりません。
何故、エルフの代理なら討伐を依頼して、違うと駄目なんでしょう?
それにこのギルマスはエルフに対し、嫌悪の感情を持っている様に思えます。
「みゃぁ~?」
「うふ、あたしがエルフを嫌いな理由かい? それはあたしがエルフだからさ」
全く理解出来ません。
この人はダークエルフで、エルフじゃない。あれ? あたしがエルフ??
僕が疑問符を浮かべているのに気づいた様で、自分の身の上話を語りだしました。
「あたしの生まれは、これでもアルフヘイムなのよ」
アルフヘイム……エルフの長が治める大樹の上階を住処とする一族ですね。
でもこのギルマスは色がまったく違います。
それを察したように話は続きます。
「生まれた時は真っ白な、純粋なエルフだったのよ。でもね、まだ8歳の時分に病気を患ってね……その後遺症で皮膚の色が変質したのよ。両親はそれでもあたしを可愛がろうとしてくれていたわ。でも長が――長の一存であたしはアルフヘイムを追い出された。最初はスヴァルトアールヴヘイムのドワーフの老夫婦に養子に出されたの。その夫婦が亡くなると、皆掌を返したようにあたしを追い出したわ。全て長の指示でね。当時13歳だったあたしは、砂漠へ逃げた。そしてこの国に辿り着き、昨日亡くなった国王の曽祖父に養われたの。それからあたしはこの国の為に出きる事は何でもやった。でもね、今回のビックウッドローズ討伐だけは無理だった……。あたしが生まれた170年前は既に種族戦争が終わった後で、魔力が低い子が殆どなの。Bランクまでは倒せてもAランクなんて化け物は無理ね」
「貴女が不遇の身の上で苦労してきたのは理解した。だが、それがエルフと何の関係があるのだ?」
皆も不思議に思っている今回の件とエルフの関係性をフローゼ姫が問います。
すると、思いも寄らない答えが返ってきました。
「ここの門を覆っている大木はエルフの森から刈り取ったんだけどね、この街の現状を知った上で、奴等は 伐採をする事を一切認めなかったのさ。お陰で大勢死んだ。その仕返しも含めてエルフを殺してやったけどね」
エルフの言い分と、このギルマスの話が噛み合いません。
エルフの長は、森林伐採に突然やってきて止めに入ったエルフを虐殺したと言っていました。
どっちが真実なのでしょうか?
何れにせよ、大木でも防ぎきれなかった事で、団子虫を倒さない限りはこの街に未来は無いですね。
エルフに依頼しても魔力が低いものしか居ない現状で、Aランクの魔物を討伐するのは無理です。
次に街に入られたらまた大勢食い殺されそうですね。
何か言い方法は無いかと考えていると――。
「私達が退治するにゃ!」
あは。流石ミカちゃんお人よしですね!
でもそれしか手は残って無いかも知れませんね。
ミカちゃんの発言を、信じられない者を見た様な驚きと困惑の表情で見つめて聞いていたギルマスでしたが、流石に見ず知らずの者を巻き込む訳には……と、俯いてしまいました。
普通に考えてBランクは倒せても、Aランクは別物と言いますからね。
僕達はCランクの冒険者です。
尚更、無理だと思われているのでしょう。
「何とかなるにゃ! 私と子猫ちゃんは鬼を倒した事があるにゃ!」
オーガを退治したと聞かされ、目を見開いて驚くギルマスを他所に、エリッサちゃんとフローゼ姫も口添えします。
「私達も居ますからね!」
「あぁ、妾達全員で掛かれば退治出来るぞ!」
Aランクでもオーガは再生能力に特化した魔物でしたからね。
同じAランクでも、再生能力が無ければ何とか成りそうな予感はします。
僕達全員の顔をゆっくりと見回したギルマスが、眉を下げ今にも泣き出しそうな面持ちで言います。
「すまない。宜しく頼む」
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