子猫ちゃんの異世界珍道中
第79話、砂漠の魔物1
「みゃぁ~!」
僕は皆に警戒するように伝えます。
フローゼ姫は腰の鞘から剣を抜き、ミカちゃん、エリッサちゃんは魔法の発動体勢を取ります。
僕も腰を下げていつでも飛びかかれる様に待機しました。
すると――。
砂煙が風で横に流され、砂から湧き出した魔物の姿が露になります。
「な、なんだ! あれは……」
フローゼ姫が、見た事の無い大きな魔物に驚き声を漏らします。
「大きなミミズにゃ!」
ミミズはお婆さんの家の花壇にも居ましたが、僕の尻尾よりも細かったですよ!
目の前にいるのは、馬車をも丸呑みに出来る程に巨大な化け物です。
危険を感じ、掌に魔力を纏わせ爪を飛ばします。
爪が巨大ミミズの胴体を貫通しますが、動きが変わりません。
僕達に向かい体をうねらせ接近してきます。
「子猫ちゃんの攻撃が効かないにゃ!」
「行きますわ! えいっ!」
ミカちゃんが、僕の攻撃でも動きが鈍る事が無い巨大ミミズに驚き、エリッサちゃんが待機状態だった魔法を発動させます。
炎が巨大ミミズに辺り、一瞬それを包み込んだ様に見えます。
巨大ミミズがうねって砂を被ると、一瞬で炎が消えてしまいました。
「にゃ! 炎は直ぐに消されるにゃ!」
ミカちゃんも炎の魔法を用意していた様で、それを解除し違う魔法を準備し始めます。
「妾のこれならどうだ!」
フローゼ姫は覚えたての魔法を放つと――巨大ミミズの胴体に穴を穿ち、緑色の体液が飛び散ります。
ですがまだ動きは変わりません。
どれだけタフなんでしょうか?
僕が掌を向け魔法を放つと――。
空から隕石が降り注ぎ、巨大ミミズの頭に当ります。
周囲に肉が腐った様な、異臭を撒き散らしピクピク動いた後完全に動きは停止しました。
僕達は絶命した巨大ミミズに接近します。
近くに寄るとその大きさがはっきりと分ります。
長さが10m、太さも1.5mはあります。
人間でも簡単に、丸呑みにされてしまう程の大きさですね。
「子猫ちゃんのお陰で助かったにゃ!」
「炎の魔法を一瞬で消された時には――焦ってしまいましたわ」
僕はみんなが感想を述べている間に、魔石を探して爪で体を切り裂きます。
魔石は頭部と胴体の間にありました。
「この魔石は大きいにゃ。でも鬼さんの方がもう少し大きかったにゃ!」
そうですね。鬼さんは本当に大きかったですから。
それでこの死体をどうしましょう?
さっきの隕石で分った事ですが、この巨大ミミズは焼くと異臭がします。
とても燃やす気は起きません。
「これどうするにゃ? 燃やすのは……嫌だにゃ」
「とても嫌な臭いでしたもの」
「うむ……鼻が曲がるという意味では腐った豆以上だな」
フローゼ姫……納豆の匂いが本当に嫌いなんですね。
僕達が巨大ミミズの死体の処理を考えていると、周囲の土が盛り上がり始めます。
「逃げるにゃ!」
ミカちゃんの掛声を合図に、僕達は巨大ミミズから離れ、馬車まで戻ります。
荷物が大きいとこんな時に不利ですね。
巨大ミミズを囲む様に盛り上がった土の中から、両手に鋏を持ち、尻尾が鋭く尖った魔物が9匹出現しました。
その魔物達は、巨大ミミズに集り肉を貪る様に食い始めます。
「私達が処理をしなくて済んだにゃ!」
いや、ミカちゃん……そんな問題ですか?
ミミズの後は僕達が狙われるかも知れませんよ?
「みゃぁ~」
僕がどうするか相談していると、子狐さんが掌をその魔物に向けています。
まさか――。
掌に氷の刃が浮かぶと、ミミズを貪っている魔物の1匹に当ります。
氷は確かに魔物に当りましたが、外殻が余程硬いのか?
傷すら付いていません。
まずいですね……氷の刃を当てられた魔物がこっちに視線を向けています。
「アーン!」
アーンじゃないですよ!
完全にターゲットが移ってしまったじゃないですか!
他の8匹がミミズを一心不乱に貪る中、1匹だけ足を動かしこちらに接近してきます。
「すみません。この子が……」
エリッサちゃんが子狐さんに代わり、謝罪を口にしていますが、今はそんな事を言っている場合ではありません。
僕は取って置きの魔法を準備します。
掌の周囲に黒い煙が漂い、それは接近してきた魔物を包み込みます。
両手の鋏を空中で震わせ、抵抗していますが無駄です。
苦しそうに悶えた後、グシャと鈍い音と共に潰れて絶命しました。
子狐さんがエリッサちゃんの腕から飛び出し、僕に駆け寄ってきます。
何でしょう?
僕の隣に来ると、僕の横腹を小さな舌で舐めてくれます。
何で僕は舐められているのか分りませんが……少し気持いいですね。
「にゃは、子狐さんが子猫ちゃんに敬意を表しているにゃ」
尊敬されるのは、嫌じゃありません。
僕と子狐さんを見て皆が、和んでいると――。
仲間を殺された事に気づいた8匹が、こちらに視線を投げてきます。
あれ?
まだミミズは残っていますよ?
子狐さんの魔法では効果がありませんでした。
一斉に襲われたら流石にちょっと厳しいかもしれません。
僕は再度、掌に魔力を纏わせ、放ちます。
狙いは、こちらに向かってきている魔物の先頭です。
先程の魔物と同様に、黒い煙に包まれ、押し潰され絶命します。
ミカちゃんも、エリッサちゃん、フローゼ姫も数を減らそうと掌を翳しています。
「いくにゃ!」
ミカちゃんの放った魔法は、『ゴゴゴグワァーン』と轟音と共に魔物に当りますが、兵達に放った時とは違い当ったのは1匹だけです。
「えいっ!」
エリッサちゃんが使用した魔法は、魔物の周囲に水滴を付着させると一瞬で凍りつきます。
でも威力が弱かったのでしょうか?
凍ったと思った瞬間、バキンと氷は砕け何事も無かったかの様に歩き出します。
これはまずいですね……。
ミカちゃんの魔法で1匹は倒しました。
それでもまだ6匹も残っています。
僕は、念の為皆に結界魔法を掛けてまわります。
僕は皆に警戒するように伝えます。
フローゼ姫は腰の鞘から剣を抜き、ミカちゃん、エリッサちゃんは魔法の発動体勢を取ります。
僕も腰を下げていつでも飛びかかれる様に待機しました。
すると――。
砂煙が風で横に流され、砂から湧き出した魔物の姿が露になります。
「な、なんだ! あれは……」
フローゼ姫が、見た事の無い大きな魔物に驚き声を漏らします。
「大きなミミズにゃ!」
ミミズはお婆さんの家の花壇にも居ましたが、僕の尻尾よりも細かったですよ!
目の前にいるのは、馬車をも丸呑みに出来る程に巨大な化け物です。
危険を感じ、掌に魔力を纏わせ爪を飛ばします。
爪が巨大ミミズの胴体を貫通しますが、動きが変わりません。
僕達に向かい体をうねらせ接近してきます。
「子猫ちゃんの攻撃が効かないにゃ!」
「行きますわ! えいっ!」
ミカちゃんが、僕の攻撃でも動きが鈍る事が無い巨大ミミズに驚き、エリッサちゃんが待機状態だった魔法を発動させます。
炎が巨大ミミズに辺り、一瞬それを包み込んだ様に見えます。
巨大ミミズがうねって砂を被ると、一瞬で炎が消えてしまいました。
「にゃ! 炎は直ぐに消されるにゃ!」
ミカちゃんも炎の魔法を用意していた様で、それを解除し違う魔法を準備し始めます。
「妾のこれならどうだ!」
フローゼ姫は覚えたての魔法を放つと――巨大ミミズの胴体に穴を穿ち、緑色の体液が飛び散ります。
ですがまだ動きは変わりません。
どれだけタフなんでしょうか?
僕が掌を向け魔法を放つと――。
空から隕石が降り注ぎ、巨大ミミズの頭に当ります。
周囲に肉が腐った様な、異臭を撒き散らしピクピク動いた後完全に動きは停止しました。
僕達は絶命した巨大ミミズに接近します。
近くに寄るとその大きさがはっきりと分ります。
長さが10m、太さも1.5mはあります。
人間でも簡単に、丸呑みにされてしまう程の大きさですね。
「子猫ちゃんのお陰で助かったにゃ!」
「炎の魔法を一瞬で消された時には――焦ってしまいましたわ」
僕はみんなが感想を述べている間に、魔石を探して爪で体を切り裂きます。
魔石は頭部と胴体の間にありました。
「この魔石は大きいにゃ。でも鬼さんの方がもう少し大きかったにゃ!」
そうですね。鬼さんは本当に大きかったですから。
それでこの死体をどうしましょう?
さっきの隕石で分った事ですが、この巨大ミミズは焼くと異臭がします。
とても燃やす気は起きません。
「これどうするにゃ? 燃やすのは……嫌だにゃ」
「とても嫌な臭いでしたもの」
「うむ……鼻が曲がるという意味では腐った豆以上だな」
フローゼ姫……納豆の匂いが本当に嫌いなんですね。
僕達が巨大ミミズの死体の処理を考えていると、周囲の土が盛り上がり始めます。
「逃げるにゃ!」
ミカちゃんの掛声を合図に、僕達は巨大ミミズから離れ、馬車まで戻ります。
荷物が大きいとこんな時に不利ですね。
巨大ミミズを囲む様に盛り上がった土の中から、両手に鋏を持ち、尻尾が鋭く尖った魔物が9匹出現しました。
その魔物達は、巨大ミミズに集り肉を貪る様に食い始めます。
「私達が処理をしなくて済んだにゃ!」
いや、ミカちゃん……そんな問題ですか?
ミミズの後は僕達が狙われるかも知れませんよ?
「みゃぁ~」
僕がどうするか相談していると、子狐さんが掌をその魔物に向けています。
まさか――。
掌に氷の刃が浮かぶと、ミミズを貪っている魔物の1匹に当ります。
氷は確かに魔物に当りましたが、外殻が余程硬いのか?
傷すら付いていません。
まずいですね……氷の刃を当てられた魔物がこっちに視線を向けています。
「アーン!」
アーンじゃないですよ!
完全にターゲットが移ってしまったじゃないですか!
他の8匹がミミズを一心不乱に貪る中、1匹だけ足を動かしこちらに接近してきます。
「すみません。この子が……」
エリッサちゃんが子狐さんに代わり、謝罪を口にしていますが、今はそんな事を言っている場合ではありません。
僕は取って置きの魔法を準備します。
掌の周囲に黒い煙が漂い、それは接近してきた魔物を包み込みます。
両手の鋏を空中で震わせ、抵抗していますが無駄です。
苦しそうに悶えた後、グシャと鈍い音と共に潰れて絶命しました。
子狐さんがエリッサちゃんの腕から飛び出し、僕に駆け寄ってきます。
何でしょう?
僕の隣に来ると、僕の横腹を小さな舌で舐めてくれます。
何で僕は舐められているのか分りませんが……少し気持いいですね。
「にゃは、子狐さんが子猫ちゃんに敬意を表しているにゃ」
尊敬されるのは、嫌じゃありません。
僕と子狐さんを見て皆が、和んでいると――。
仲間を殺された事に気づいた8匹が、こちらに視線を投げてきます。
あれ?
まだミミズは残っていますよ?
子狐さんの魔法では効果がありませんでした。
一斉に襲われたら流石にちょっと厳しいかもしれません。
僕は再度、掌に魔力を纏わせ、放ちます。
狙いは、こちらに向かってきている魔物の先頭です。
先程の魔物と同様に、黒い煙に包まれ、押し潰され絶命します。
ミカちゃんも、エリッサちゃん、フローゼ姫も数を減らそうと掌を翳しています。
「いくにゃ!」
ミカちゃんの放った魔法は、『ゴゴゴグワァーン』と轟音と共に魔物に当りますが、兵達に放った時とは違い当ったのは1匹だけです。
「えいっ!」
エリッサちゃんが使用した魔法は、魔物の周囲に水滴を付着させると一瞬で凍りつきます。
でも威力が弱かったのでしょうか?
凍ったと思った瞬間、バキンと氷は砕け何事も無かったかの様に歩き出します。
これはまずいですね……。
ミカちゃんの魔法で1匹は倒しました。
それでもまだ6匹も残っています。
僕は、念の為皆に結界魔法を掛けてまわります。
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