子猫ちゃんの異世界珍道中
第76話、エルフの事情
何故人間と一緒にと言われても、友達だからとしか答えられません。
「みゃぁ~?」
僕は人間と一緒だと何か問題でも?
そう尋ねます。
すると一瞬眉間に皺を寄せたセロナが大声で言い放ちます。
「問題だと? 問題は大有りじゃ! 山積みなのじゃ!」
あまりの剣幕に、エリッサちゃんが怯え、フローゼ姫まで眉間に皺を寄せます。
ミカちゃんは僕とセロナの会話を聞いていたので、疑問に感じたのか?
小首を傾げています。
「この長は何故怒っておるのだ?」
先に口を開いたのはフローゼ姫で、突然捲くし立てられた訳を聞きます。
「人間の娘よ、お主達人間は過去も現在も妾達エルフにどれだけ迷惑を掛ければ気が済むのじゃ?」
心当たりが無いフローゼ姫も小首を傾げて、隣に座るミカちゃんに顔を向けて言葉を漏らします。
「ミカ殿、この長の言っている事に心当たりが無いのだが……」
「私にも分らないにゃ!」
2人の会話を正面で聞いていたセロナは、
「恍けるのもいい加減にするのじゃ! 人間は先の戦争で散々エルフを虐殺し、今はエルフの森の木々を伐採し……お陰でユグドラシルの周囲には木が1本も生えてないのじゃ」
確かに千年狐さんからは、エルフの森があると聞いてきました。
そして、川向こうから見た木はこの大樹だけです。
人間が木々を伐採したからなどとは、分る筈もありません。
「みゃぁ~みゃぁ~!」
僕は苦情を言います。
人間でもそれはエリッサちゃんや、フローゼ姫が行った事ではありません。お門違いと言う物です。
それを話すと、頬をピクッと動かしセロナが声を出します。
「確かにその者がやった訳では無い。だが先の戦争は人間が徒党を組んでエルフを虐殺したのじゃ。忘れたとは言わせぬのじゃ!」
「種族を分けた戦があった事は、歴史の資料で読んで知っておるが、妾の国アンドレア王国はそんな戦に参戦しなかった初代曽祖父が建国した国だ! 全ての人間が同じとは思わないで欲しい」
セロナとフローゼ姫が一触即発の雰囲気になった所で、エリッサちゃんが口を開きます。
「それで木々を伐採されたとは、何の事ですの?」
僕達は森を目印に歩いてきました。
でも此処には――森はありません。
森の話を聞きましょう。
過去の話をぶり返しても、当事者は既に亡くなっていますから。
悔しそうに奥歯を噛締めると、セロナが語りだします。
「――ここ1年の話なのじゃ。武装した人間が大勢やってきて木々を伐採し出したのじゃ。最初は妾達も話し合いで解決しようとした。じゃが……話し合いに参加したエルフは護衛のドワーフ毎、皆殺しにされたのじゃ。あの種族間戦争以降――妾達の中で魔法を使える者が少なくなった。人間はあがなう術が妾達に無いと知り、数の暴力で攻め込んで来た。それで抵抗空しく木々を刈られたのじゃ。幸いにもこのユグドラシルは神木だけあって伐採する事は出来ない。其れゆえ妾達は地下の入り口だけを使用し普段は結界で神木を覆って隠れ住んでおるのじゃ。そんな時に、ゲートを通った知らせがあり妾達は異世界の勇者を待っておったのじゃ。勇者の力を借りられれば、弱体したエルフを昔の様に、繁栄させる事が出来るのじゃ」
エルフとは魔法が得意な種族だと前に聞きましたが、そんなに弱体化していたとは皆思ってもみなかった様です。
「私達を迎えに来た、そこのエルフは魔法が使えたにゃ?」
ミカちゃんが後ろを振り返り、跪いた格好の僕っ子を見ます。
「キャデナはエルフの若手で一番の使い手なのじゃ。他の者は――」
一番の使い手で、あの程度らしいです。
ちなみに潜航する船や、魔法陣は過去に作った遺物だそうです。
今のエルフの力では、工法は知っていても、それに使用する魔石を集める事さえ難しいと教えてくれました。
勇者の仲間は、皆魔法が使えるようになる。
それを期待して異世界からのゲートを残してあった様です。
セロナの話を聞き、場が暗い雰囲気に包まれます。
エリッサちゃんが小声で、御伽噺のエルフはもう居ないのですね。と漏らした声を聞きつけ、セロナは泣き出しそうな表情になっていました。
人間にそこまで酷い目に合わされれば――。
人間全体を恨んでいても仕方無い。
そんな空気が充満しています。
僕以外はですけれどね!
僕には無関係な話です。
「みゃぁ~みゃぁ~みゃぁ~!」
戦争は行った者が悪く、森林伐採も同じです。
エリッサちゃんや、フローゼ姫が侮蔑の篭った視線を投げかけられる理由にはなりません。
僕がそう言うと、
「分っておるのじゃ。……じゃが妾達にはそれしか出来ないのじゃ」
同情を誘う作戦ですか?
僕がそんな事を考えていると、ミカちゃんが喋りだします。
「子猫ちゃん、エルフさん達に何かしてあげられる事は無いかにゃ?」
ミカちゃんならそう言うと思っていました。
でも僕達に何が出きるのでしょうか?
「みゃぁ~?」
「まずはその人族が何を考えて森林伐採を行ったのかと、今後エルフに手出ししない様にするのが先決かのぉ?」
成程……フローゼ姫の考えではそうなんですね。
「エルフさん達がまた森を作っても、人間が伐採したら徒労に終わるにゃ。そうならない様にしないといけないにゃ」
さすがミカちゃんです!
えっ、誰です?
2人共似た事を言っているとか思っている人は……。
良いんですよ。
ミカちゃんの言葉が重要なんですから!
さてミカちゃんも乗り気ですから、僕に出きる事はしましょう。
「みゃぁ~?」
僕は人間と一緒だと何か問題でも?
そう尋ねます。
すると一瞬眉間に皺を寄せたセロナが大声で言い放ちます。
「問題だと? 問題は大有りじゃ! 山積みなのじゃ!」
あまりの剣幕に、エリッサちゃんが怯え、フローゼ姫まで眉間に皺を寄せます。
ミカちゃんは僕とセロナの会話を聞いていたので、疑問に感じたのか?
小首を傾げています。
「この長は何故怒っておるのだ?」
先に口を開いたのはフローゼ姫で、突然捲くし立てられた訳を聞きます。
「人間の娘よ、お主達人間は過去も現在も妾達エルフにどれだけ迷惑を掛ければ気が済むのじゃ?」
心当たりが無いフローゼ姫も小首を傾げて、隣に座るミカちゃんに顔を向けて言葉を漏らします。
「ミカ殿、この長の言っている事に心当たりが無いのだが……」
「私にも分らないにゃ!」
2人の会話を正面で聞いていたセロナは、
「恍けるのもいい加減にするのじゃ! 人間は先の戦争で散々エルフを虐殺し、今はエルフの森の木々を伐採し……お陰でユグドラシルの周囲には木が1本も生えてないのじゃ」
確かに千年狐さんからは、エルフの森があると聞いてきました。
そして、川向こうから見た木はこの大樹だけです。
人間が木々を伐採したからなどとは、分る筈もありません。
「みゃぁ~みゃぁ~!」
僕は苦情を言います。
人間でもそれはエリッサちゃんや、フローゼ姫が行った事ではありません。お門違いと言う物です。
それを話すと、頬をピクッと動かしセロナが声を出します。
「確かにその者がやった訳では無い。だが先の戦争は人間が徒党を組んでエルフを虐殺したのじゃ。忘れたとは言わせぬのじゃ!」
「種族を分けた戦があった事は、歴史の資料で読んで知っておるが、妾の国アンドレア王国はそんな戦に参戦しなかった初代曽祖父が建国した国だ! 全ての人間が同じとは思わないで欲しい」
セロナとフローゼ姫が一触即発の雰囲気になった所で、エリッサちゃんが口を開きます。
「それで木々を伐採されたとは、何の事ですの?」
僕達は森を目印に歩いてきました。
でも此処には――森はありません。
森の話を聞きましょう。
過去の話をぶり返しても、当事者は既に亡くなっていますから。
悔しそうに奥歯を噛締めると、セロナが語りだします。
「――ここ1年の話なのじゃ。武装した人間が大勢やってきて木々を伐採し出したのじゃ。最初は妾達も話し合いで解決しようとした。じゃが……話し合いに参加したエルフは護衛のドワーフ毎、皆殺しにされたのじゃ。あの種族間戦争以降――妾達の中で魔法を使える者が少なくなった。人間はあがなう術が妾達に無いと知り、数の暴力で攻め込んで来た。それで抵抗空しく木々を刈られたのじゃ。幸いにもこのユグドラシルは神木だけあって伐採する事は出来ない。其れゆえ妾達は地下の入り口だけを使用し普段は結界で神木を覆って隠れ住んでおるのじゃ。そんな時に、ゲートを通った知らせがあり妾達は異世界の勇者を待っておったのじゃ。勇者の力を借りられれば、弱体したエルフを昔の様に、繁栄させる事が出来るのじゃ」
エルフとは魔法が得意な種族だと前に聞きましたが、そんなに弱体化していたとは皆思ってもみなかった様です。
「私達を迎えに来た、そこのエルフは魔法が使えたにゃ?」
ミカちゃんが後ろを振り返り、跪いた格好の僕っ子を見ます。
「キャデナはエルフの若手で一番の使い手なのじゃ。他の者は――」
一番の使い手で、あの程度らしいです。
ちなみに潜航する船や、魔法陣は過去に作った遺物だそうです。
今のエルフの力では、工法は知っていても、それに使用する魔石を集める事さえ難しいと教えてくれました。
勇者の仲間は、皆魔法が使えるようになる。
それを期待して異世界からのゲートを残してあった様です。
セロナの話を聞き、場が暗い雰囲気に包まれます。
エリッサちゃんが小声で、御伽噺のエルフはもう居ないのですね。と漏らした声を聞きつけ、セロナは泣き出しそうな表情になっていました。
人間にそこまで酷い目に合わされれば――。
人間全体を恨んでいても仕方無い。
そんな空気が充満しています。
僕以外はですけれどね!
僕には無関係な話です。
「みゃぁ~みゃぁ~みゃぁ~!」
戦争は行った者が悪く、森林伐採も同じです。
エリッサちゃんや、フローゼ姫が侮蔑の篭った視線を投げかけられる理由にはなりません。
僕がそう言うと、
「分っておるのじゃ。……じゃが妾達にはそれしか出来ないのじゃ」
同情を誘う作戦ですか?
僕がそんな事を考えていると、ミカちゃんが喋りだします。
「子猫ちゃん、エルフさん達に何かしてあげられる事は無いかにゃ?」
ミカちゃんならそう言うと思っていました。
でも僕達に何が出きるのでしょうか?
「みゃぁ~?」
「まずはその人族が何を考えて森林伐採を行ったのかと、今後エルフに手出ししない様にするのが先決かのぉ?」
成程……フローゼ姫の考えではそうなんですね。
「エルフさん達がまた森を作っても、人間が伐採したら徒労に終わるにゃ。そうならない様にしないといけないにゃ」
さすがミカちゃんです!
えっ、誰です?
2人共似た事を言っているとか思っている人は……。
良いんですよ。
ミカちゃんの言葉が重要なんですから!
さてミカちゃんも乗り気ですから、僕に出きる事はしましょう。
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