子猫ちゃんの異世界珍道中
第68話、魔石の秘密
僕はミカちゃん達の居る場所まで戻りました。
勿論、あの大きな犬? と子供達も一緒です。
「子猫ちゃん、その狐さん達はどうしたにゃ?」
ミカちゃん、エリッサちゃん、フローゼ姫が一歩下がり、警戒した様子で僕に問いかけてきます。
「みゃぁ~みゃぁ~みゃぁ~!」
僕が知り合った経緯をミカちゃんに話していると――。
『ほぉ、猫獣人がお主の仲間なのか』
「にゃにゃ! 大きな狐さんが喋ったにゃ!」
犬では無く、狐という生き物の様です。
ミカちゃんも、この大きな狐の話が分るようです。
『我の言葉を理解出来るとは、流石は迷い人の仲間よのぉ』
『ミカちゃんは仲間じゃなくて友達ですよ!』
僕が狐に食って掛かると――。
『あはは。そっか。仲間ではなく友達か』
そう言いながら、背中に乗せてきたミノタウロスを地面に降ろします。
「それで子猫ちゃん、この狐さんはどうして此処にいるにゃ?」
敵意がない事を感じ取ったミカちゃんが、僕に尋ねます。
「みゃぁ~!」
僕が倒したミノタウロスを、子供達が食べていた話を掻い摘んで説明します。
「それで私達の食糧を運んでくれて、水場を教えて貰ったにゃ?」
僕は首肯します。
「ミカ殿、子猫ちゃんは何と言っておるのだ?」
「ミカさん、この大きな狐さん達は一体……」
エリッサちゃんと、フローゼ姫も険呑な雰囲気ではない事は、理解出来た様ですが、どうして僕と一緒なのか分らず困惑気味です。
「子猫ちゃんの話では、小川を探している途中で倒したミノタウロスをこの子供達が食べていたにゃ。それで大きい狐さんがそのお礼に水場を教えてくれて、余った食糧を運んでくれた。という訳にゃ」
ほぉ、そんな事が……とフローゼ姫が驚いています。
エリッサちゃんは、危険が無いと知って安堵すると、子狐達を微笑みながら眺めています。
『ほぉ、この娘もお主の仲間なのか……本当に昔の勇者の様だな』
エリッサちゃんを目を細めて認めると、親狐がそう言葉を漏らします。
『鎧を着たフローゼ姫も仲間にゃ』
僕がエリッサちゃんだけじゃなく、フローゼ姫もだと告げると――。
『鎧の娘は、お主がまだ仲間と認めておらんのだろう?』
どういう事でしょう?
フローゼ姫も狩りをする仲間の筈です。
僕が首を傾げていると――。
『勇者の仲間は皆、勇者の恩恵で魔法が使う事が出来る。その娘だけ使えないのはお主が仲間と認めておらんからじゃろう?』
僕は訳が分りません。
魔法を使え無いのは、魔石を食べていないからです。
勇者がどうとか関係有るのでしょうか?
僕は勇者では無いですが、聞いてみましょう。
『魔石を食べれば魔法は使える様になるよ? でも皆に教えたら悪い人も強くなるかも知れないので秘密にしているよ』
僕が魔石の秘密を話して聞かせると、
『魔石など食べても普通は腹を壊すだけだぞ! 恐らくお主が認めた者だけがその効果を発揮するのだ』
「それは本当なのかにゃ?」
『ああ。間違いない。お譲ちゃんの連れの猫が認めない限りは魔石を食べても魔法は覚えぬ筈じゃ』
親狐が教えてくれた話が本当なら、今の状態でフローゼ姫が魔石を食べると魔法を覚えますね。
でも、フローゼ姫が誰か他の人に教えても……効果は出ない。
まさか僕が原因だとは思ってもみませんでした。
「やっぱり子猫ちゃんのお陰だったにゃ!」
ミカちゃんが破顔して喜んでくれています。
『それでどうするのだ? 皆で水場まで行くならミノタウロスを運ぶのを手伝うが……』
流石にこんな大きな獲物を、少女達だけで運ぶのは大変です。
僕はミカちゃんに、水場まで移動出来るか確認します。
「みゃぁ~?」
「皆にも聞いてみるにゃ。子猫ちゃんが教えて貰った水場がこの先にあるにゃ。そっちで野営しようと言っていますにゃ」
ミカちゃんの提案を聞きつけ、フローゼ姫、エリッサちゃんが頷きます。
穴に落ちてから、水を飲んでいませんからね。
水場があれば、食べ物も確保出来ているから安心ですね。
こうして僕達は、親狐に案内されて水場へと向かったのでした。
水場は森の中にありました。
お花畑をあれから暫く歩き、日が暮れる前になんとか辿り着きました。
針葉樹の木に囲まれた中に岩場がいくつかあり、
その中に岩場に囲まれるように、湧き水で出来た泉がありました。
「ふぅ~生き返るな!」
「ここのお水は美味しいにゃ!」
「本当ですわね。冷たくて気持いいです」
皆にも喜んで貰えたようで、僕も安心です。
親狐と子供達も今日はここを寝床にするらしく、一緒にいます。
一息ついたら、ミノタウロスを焼いて食べようとフローゼ姫が言っていました。
何でも、この牛さんはとても美味しい肉が取れるらしいので、僕もミカちゃんも楽しみです。
エリッサちゃんは、動物を殺してその場で食べるのは初めてらしく、ちょっと引き気味です。
ミカちゃんと、フローゼ姫が焚き火をする場所を作ってくれて、枯れ木や枯葉を集めてきてくれたので、僕が火を点けます。
肉を程よい大きさに切り分け、木の串に刺して焼きます。
肉が大きい為、外側が焼けてきたらナイフで切って、若葉をお皿にして食べます。
やっぱり街で食べたお肉の方が美味しいですね。
調味料が無いからでしょうか?
「みゃぁ~」
僕があんまり美味しくないねと言葉を漏らすと――。
「仕方ないにゃ。食べられるだけいいにゃ」
ミカちゃんが薄く切ったお肉を頬張りながら言います。
「味は薄味だが、中々肉汁が美味いな」
「……本当に薄味ですわね」
フローゼ姫は騎士として良く野営もするらしく、美味しいと感想を告げますが、エリッサちゃんにはやはり物足りないようです。
僕達だけで食べきれる量では無いので、子供狐と親狐さんにも御裾分けします。
『それで君の名前はなんて言うんだい?』
僕が親狐に尋ねると――。
『我に名など無い。昔からこの辺りに住んでいる主の様な存在だからな』
どうやら主さんと言うらしいです。
『なんで主さんは僕の言葉が分るんだい?』
ミカちゃんは最初、僕と出合った時には僕の言葉が分りませんでした。
でも、一緒に暮らす内にいつの間にか言葉を理解して貰えました。
この主さんも同じなのでしょうか?
尋ねてみます。
『我はこの地が戦乱の最中だった頃に、迷い人と共に旅をした事がある。其れゆえに、お主達の言葉が分るのだ。今はお主の言葉が分らない娘2人も、一緒に旅をしていればその内に会話が出来る様になるだろう。それが迷い人の持つ特異な能力の一つだからじゃ』
この主さんの言っている事が本当なら、このまま旅を続ければエリッサちゃんとも、フローゼ姫とも会話が出来る様になるようです。
主さんと一緒に旅をしていた迷い人は、どうしたのか聞いてみます。
『主さんと一緒に旅をした迷い人はどうしたんだい?』
僕が小首をかしげ尋ねると……。
『はは、迷い人でも所詮は人なのだ。とうの昔に寿命を迎え神の元へ召されたわ……』
そう寂しそうに語ると、主さんは目を伏せました。
迷い人でも寿命には勝てない。
僕の寿命はどの位あるんでしょう……。
せめてミカちゃんと一生一緒に過ごせたらいいのですが……。
他の皆は、疲れて居る様で、船を漕ぎ出します。
明日もある事ですし、火の番をしながら睡眠を取る事にしました。
勿論、あの大きな犬? と子供達も一緒です。
「子猫ちゃん、その狐さん達はどうしたにゃ?」
ミカちゃん、エリッサちゃん、フローゼ姫が一歩下がり、警戒した様子で僕に問いかけてきます。
「みゃぁ~みゃぁ~みゃぁ~!」
僕が知り合った経緯をミカちゃんに話していると――。
『ほぉ、猫獣人がお主の仲間なのか』
「にゃにゃ! 大きな狐さんが喋ったにゃ!」
犬では無く、狐という生き物の様です。
ミカちゃんも、この大きな狐の話が分るようです。
『我の言葉を理解出来るとは、流石は迷い人の仲間よのぉ』
『ミカちゃんは仲間じゃなくて友達ですよ!』
僕が狐に食って掛かると――。
『あはは。そっか。仲間ではなく友達か』
そう言いながら、背中に乗せてきたミノタウロスを地面に降ろします。
「それで子猫ちゃん、この狐さんはどうして此処にいるにゃ?」
敵意がない事を感じ取ったミカちゃんが、僕に尋ねます。
「みゃぁ~!」
僕が倒したミノタウロスを、子供達が食べていた話を掻い摘んで説明します。
「それで私達の食糧を運んでくれて、水場を教えて貰ったにゃ?」
僕は首肯します。
「ミカ殿、子猫ちゃんは何と言っておるのだ?」
「ミカさん、この大きな狐さん達は一体……」
エリッサちゃんと、フローゼ姫も険呑な雰囲気ではない事は、理解出来た様ですが、どうして僕と一緒なのか分らず困惑気味です。
「子猫ちゃんの話では、小川を探している途中で倒したミノタウロスをこの子供達が食べていたにゃ。それで大きい狐さんがそのお礼に水場を教えてくれて、余った食糧を運んでくれた。という訳にゃ」
ほぉ、そんな事が……とフローゼ姫が驚いています。
エリッサちゃんは、危険が無いと知って安堵すると、子狐達を微笑みながら眺めています。
『ほぉ、この娘もお主の仲間なのか……本当に昔の勇者の様だな』
エリッサちゃんを目を細めて認めると、親狐がそう言葉を漏らします。
『鎧を着たフローゼ姫も仲間にゃ』
僕がエリッサちゃんだけじゃなく、フローゼ姫もだと告げると――。
『鎧の娘は、お主がまだ仲間と認めておらんのだろう?』
どういう事でしょう?
フローゼ姫も狩りをする仲間の筈です。
僕が首を傾げていると――。
『勇者の仲間は皆、勇者の恩恵で魔法が使う事が出来る。その娘だけ使えないのはお主が仲間と認めておらんからじゃろう?』
僕は訳が分りません。
魔法を使え無いのは、魔石を食べていないからです。
勇者がどうとか関係有るのでしょうか?
僕は勇者では無いですが、聞いてみましょう。
『魔石を食べれば魔法は使える様になるよ? でも皆に教えたら悪い人も強くなるかも知れないので秘密にしているよ』
僕が魔石の秘密を話して聞かせると、
『魔石など食べても普通は腹を壊すだけだぞ! 恐らくお主が認めた者だけがその効果を発揮するのだ』
「それは本当なのかにゃ?」
『ああ。間違いない。お譲ちゃんの連れの猫が認めない限りは魔石を食べても魔法は覚えぬ筈じゃ』
親狐が教えてくれた話が本当なら、今の状態でフローゼ姫が魔石を食べると魔法を覚えますね。
でも、フローゼ姫が誰か他の人に教えても……効果は出ない。
まさか僕が原因だとは思ってもみませんでした。
「やっぱり子猫ちゃんのお陰だったにゃ!」
ミカちゃんが破顔して喜んでくれています。
『それでどうするのだ? 皆で水場まで行くならミノタウロスを運ぶのを手伝うが……』
流石にこんな大きな獲物を、少女達だけで運ぶのは大変です。
僕はミカちゃんに、水場まで移動出来るか確認します。
「みゃぁ~?」
「皆にも聞いてみるにゃ。子猫ちゃんが教えて貰った水場がこの先にあるにゃ。そっちで野営しようと言っていますにゃ」
ミカちゃんの提案を聞きつけ、フローゼ姫、エリッサちゃんが頷きます。
穴に落ちてから、水を飲んでいませんからね。
水場があれば、食べ物も確保出来ているから安心ですね。
こうして僕達は、親狐に案内されて水場へと向かったのでした。
水場は森の中にありました。
お花畑をあれから暫く歩き、日が暮れる前になんとか辿り着きました。
針葉樹の木に囲まれた中に岩場がいくつかあり、
その中に岩場に囲まれるように、湧き水で出来た泉がありました。
「ふぅ~生き返るな!」
「ここのお水は美味しいにゃ!」
「本当ですわね。冷たくて気持いいです」
皆にも喜んで貰えたようで、僕も安心です。
親狐と子供達も今日はここを寝床にするらしく、一緒にいます。
一息ついたら、ミノタウロスを焼いて食べようとフローゼ姫が言っていました。
何でも、この牛さんはとても美味しい肉が取れるらしいので、僕もミカちゃんも楽しみです。
エリッサちゃんは、動物を殺してその場で食べるのは初めてらしく、ちょっと引き気味です。
ミカちゃんと、フローゼ姫が焚き火をする場所を作ってくれて、枯れ木や枯葉を集めてきてくれたので、僕が火を点けます。
肉を程よい大きさに切り分け、木の串に刺して焼きます。
肉が大きい為、外側が焼けてきたらナイフで切って、若葉をお皿にして食べます。
やっぱり街で食べたお肉の方が美味しいですね。
調味料が無いからでしょうか?
「みゃぁ~」
僕があんまり美味しくないねと言葉を漏らすと――。
「仕方ないにゃ。食べられるだけいいにゃ」
ミカちゃんが薄く切ったお肉を頬張りながら言います。
「味は薄味だが、中々肉汁が美味いな」
「……本当に薄味ですわね」
フローゼ姫は騎士として良く野営もするらしく、美味しいと感想を告げますが、エリッサちゃんにはやはり物足りないようです。
僕達だけで食べきれる量では無いので、子供狐と親狐さんにも御裾分けします。
『それで君の名前はなんて言うんだい?』
僕が親狐に尋ねると――。
『我に名など無い。昔からこの辺りに住んでいる主の様な存在だからな』
どうやら主さんと言うらしいです。
『なんで主さんは僕の言葉が分るんだい?』
ミカちゃんは最初、僕と出合った時には僕の言葉が分りませんでした。
でも、一緒に暮らす内にいつの間にか言葉を理解して貰えました。
この主さんも同じなのでしょうか?
尋ねてみます。
『我はこの地が戦乱の最中だった頃に、迷い人と共に旅をした事がある。其れゆえに、お主達の言葉が分るのだ。今はお主の言葉が分らない娘2人も、一緒に旅をしていればその内に会話が出来る様になるだろう。それが迷い人の持つ特異な能力の一つだからじゃ』
この主さんの言っている事が本当なら、このまま旅を続ければエリッサちゃんとも、フローゼ姫とも会話が出来る様になるようです。
主さんと一緒に旅をしていた迷い人は、どうしたのか聞いてみます。
『主さんと一緒に旅をした迷い人はどうしたんだい?』
僕が小首をかしげ尋ねると……。
『はは、迷い人でも所詮は人なのだ。とうの昔に寿命を迎え神の元へ召されたわ……』
そう寂しそうに語ると、主さんは目を伏せました。
迷い人でも寿命には勝てない。
僕の寿命はどの位あるんでしょう……。
せめてミカちゃんと一生一緒に過ごせたらいいのですが……。
他の皆は、疲れて居る様で、船を漕ぎ出します。
明日もある事ですし、火の番をしながら睡眠を取る事にしました。
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