子猫ちゃんの異世界珍道中
第43話、捕縛隊
エリッサちゃんの魔法お披露目会から、3日後。
サースドレイン子爵領に国王からの命令書を持った兵士が、やってきました。その兵士は国王が裁可した書状を持っており、その中身は、直ちにオードレイク伯爵の身柄を拘束し、王の下に連れて来る事とありました。
「う~ん、陛下の判断は理解できるが、王家から騎士が出せないとは予想外だったな」
王からの書簡を受け取ったサースドレイン子爵は、書斎に置かれている革張りの豪華なリクライニングチェアにゆったりと腰を落として、その書簡に目を通していました。外は夕闇が支配し始め、この部屋の中に置かれたいくつかの蝋燭が陽炎の様に揺れています。
子爵は机に置いてある呼鈴を鳴らし執事を呼ぶと――静かな屋敷内に鳴り響いた鈴の音を聞きつけ、執事がすぐにやってきました。
「フェルブスター、こんな時分に済まないが騎士隊まで遣いを頼まれてくれんか。用件は――明日の早朝、オードレイク伯爵領へ向けて50名の騎士で出立。伯爵の身柄を確保してきてもらいたい。今から命令書は書く。伯爵への使者はフェルブスターに頼みたい」
「畏まりました。いよいよで御座いますね」
「ああ。陛下から伯爵の身柄を拘束するように裁可が下った。これで伯爵も終わりだ」
翌日、早朝にフェルブスターさんを使者とした騎士隊50名がオードレイク伯爵領へ向け出立していきます。流石に50名全員の馬は用意出来なかった様で、行商人が使う2頭立ての馬車に5名編成で乗り込み。それが10台。それらがフェルブスターさんが乗る馬車を守る形で出発していきました。
ピリピリした空気を纏った騎士達を見つめながら、ミカちゃんが尋ねました。
「エリッサちゃん、あれは何なのかにゃ?」
「お父様の話では、オードレイク伯爵の身柄を拘束に行く騎士達だと窺いましたの」
ミカちゃんは大きな目をぱちくりさせながらその話を聞いています。
「それじゃ、あの悪い伯爵は捕まるのかにゃ」
「陛下からその様に命令が下ったと、お父様から聞きましたから――これが解決すれば一緒にお外に行けますね」
そう言ってエリッサちゃんは、嬉しそうに顔を輝かせ息を弾ませました。
予定では何事も無ければ4日あれば戻ってくると聞いていたのですが、戻ってきたのは6日後で、しかも50名居た騎士は半数にまで数を減らし、着ていた鎧は所々汚れや傷が付いており、如何にも戦闘から逃げてきた敗残兵の様な有様でした。騎士に背負われ、恐らく戦闘の最中に負傷したのでしょう。背中を切られ、血まみれの状態のフェルブスターさんが屋敷に運ばれてきました。
「フェルブスターしっかりしろ。一体何があった?」
顔面は蒼白で、辛うじて細く息をするだけのフェルブスターさんを見下ろしサースドレイン子爵が声を掛けますが、全く反応がありません。僕と、ミカちゃんがフェルブスターさんに近づきます。
「ミカ殿、一体なにを……」
「話は後ですにゃ」
僕は浅い怪我の部分を舐め、ミカちゃんは背中の傷に掌を翳します。すると、ぽわんと青く光り、じっくり見てみると切られた部分が逆再生の様に元に戻って行きます。
「おぉ、これは回復魔法か!」
ミカちゃんと僕の回復魔法で、フェルブスターさんの命は辛うじて繋ぎとめる事は出来ましたが、だいぶ血を失っていた様でその日は意識が戻りませんでした。
サースドレイン子爵領に国王からの命令書を持った兵士が、やってきました。その兵士は国王が裁可した書状を持っており、その中身は、直ちにオードレイク伯爵の身柄を拘束し、王の下に連れて来る事とありました。
「う~ん、陛下の判断は理解できるが、王家から騎士が出せないとは予想外だったな」
王からの書簡を受け取ったサースドレイン子爵は、書斎に置かれている革張りの豪華なリクライニングチェアにゆったりと腰を落として、その書簡に目を通していました。外は夕闇が支配し始め、この部屋の中に置かれたいくつかの蝋燭が陽炎の様に揺れています。
子爵は机に置いてある呼鈴を鳴らし執事を呼ぶと――静かな屋敷内に鳴り響いた鈴の音を聞きつけ、執事がすぐにやってきました。
「フェルブスター、こんな時分に済まないが騎士隊まで遣いを頼まれてくれんか。用件は――明日の早朝、オードレイク伯爵領へ向けて50名の騎士で出立。伯爵の身柄を確保してきてもらいたい。今から命令書は書く。伯爵への使者はフェルブスターに頼みたい」
「畏まりました。いよいよで御座いますね」
「ああ。陛下から伯爵の身柄を拘束するように裁可が下った。これで伯爵も終わりだ」
翌日、早朝にフェルブスターさんを使者とした騎士隊50名がオードレイク伯爵領へ向け出立していきます。流石に50名全員の馬は用意出来なかった様で、行商人が使う2頭立ての馬車に5名編成で乗り込み。それが10台。それらがフェルブスターさんが乗る馬車を守る形で出発していきました。
ピリピリした空気を纏った騎士達を見つめながら、ミカちゃんが尋ねました。
「エリッサちゃん、あれは何なのかにゃ?」
「お父様の話では、オードレイク伯爵の身柄を拘束に行く騎士達だと窺いましたの」
ミカちゃんは大きな目をぱちくりさせながらその話を聞いています。
「それじゃ、あの悪い伯爵は捕まるのかにゃ」
「陛下からその様に命令が下ったと、お父様から聞きましたから――これが解決すれば一緒にお外に行けますね」
そう言ってエリッサちゃんは、嬉しそうに顔を輝かせ息を弾ませました。
予定では何事も無ければ4日あれば戻ってくると聞いていたのですが、戻ってきたのは6日後で、しかも50名居た騎士は半数にまで数を減らし、着ていた鎧は所々汚れや傷が付いており、如何にも戦闘から逃げてきた敗残兵の様な有様でした。騎士に背負われ、恐らく戦闘の最中に負傷したのでしょう。背中を切られ、血まみれの状態のフェルブスターさんが屋敷に運ばれてきました。
「フェルブスターしっかりしろ。一体何があった?」
顔面は蒼白で、辛うじて細く息をするだけのフェルブスターさんを見下ろしサースドレイン子爵が声を掛けますが、全く反応がありません。僕と、ミカちゃんがフェルブスターさんに近づきます。
「ミカ殿、一体なにを……」
「話は後ですにゃ」
僕は浅い怪我の部分を舐め、ミカちゃんは背中の傷に掌を翳します。すると、ぽわんと青く光り、じっくり見てみると切られた部分が逆再生の様に元に戻って行きます。
「おぉ、これは回復魔法か!」
ミカちゃんと僕の回復魔法で、フェルブスターさんの命は辛うじて繋ぎとめる事は出来ましたが、だいぶ血を失っていた様でその日は意識が戻りませんでした。
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