子猫ちゃんの異世界珍道中
第32話、連行
どの位、時間が経ったのでしょうか。
ミカちゃんが、上半身だけ起して周囲を見回します。
「にゃ、あのおじさん達は何処にいったにゃ?」
僕は、尻尾でおじさん達だったものを指し示しました。
すると――。
「子猫ちゃん、またやっちゃったにゃ。でも人を簡単に殺したらダメにゃ」
僕は、反論します。
「みゃぁ~みゃぁ~!」
僕がおじさん達を殺さなかったら、今頃、ミカちゃんは連れ去られていたかも知れないのですよ。
「子猫ちゃんが助けてくれたのは嬉しいにゃ。でもあのおじさん達はまだ人を殺した訳では無いにゃ。あの人達にも家族は居た筈にゃ」
確かに、盗賊達と違って、あのおじさん達は誰かを殺した訳ではありません。でも、ああしなければこれからもミカちゃんを狙って来るに違いありません。
「子猫ちゃんの気持は嬉しいにゃ。でも私は子猫ちゃんに――人殺しをさせたくないにゃ」
僕は、訳がわからなくなって来ました。
ミカちゃんは、自分の格好も気にせずに、ただジッと僕の目を見つめています。
すると、騒ぎを聞きつけた街の警備兵が3人、路地に入ってきました。
「おい、ここで何があった。あれは何だ!」
「おい、こっちに死体があるぞ、こっちにもだ――」
ミカちゃんは、壁の上でまだ尻餅を付いたままです。
僕は、警備兵のおじさん達からミカちゃんを守る様に前に出ます。
「子猫ちゃん!ダメにゃ」
知っています。この人達は、悪い人じゃない。それは僕にも分ります。
「おい!そこの猫獣人のお譲ちゃん。これは何だと聞いているのだ!」
「分りませんにゃ。私は――マタタビを嗅がされてここで……お陰でこんな格好ですにゃ」
ミカちゃんは、おどけたように自分のボロボロになったピンクの服を見せます。
「だが……人間がこんな姿になるなんて、俺も初めて見たものでな。悪いが、現場にいたお譲ちゃんをこのまま放置も出来ないんだ。大人しく警備隊の庁舎まで来てくれねぇか?」
「分りましたにゃ」
『おい、お前達は応援を呼んで来い。あと、台車もな』警備兵のおじさんは、仲間の人達にそう命令すると、ミカちゃんに近づいてきました。
「ん、猫?……この子猫はお前のペットか?」
「友達ですにゃ」
「そうか。このまま放置して糞尿を垂れ流されたら困る。一緒に連れて来い」
「分りましたにゃ」
ミカちゃん、僕、警備兵のおじさんは街を歩いて警備隊庁舎と言う所に行く事になりました。道ですれ違う街の人達は、ミカちゃんのボロボロの格好を見て、侮蔑の篭った視線を投げかけていました。さっきはあんなに可愛らしい子だと温かな視線を送っていたのに……。
警備隊庁舎にいく通り道に、冒険者ギルドはありました。ギルドの前を通り過ぎた時にそれは起きました。
「おい、警備の旦那。これはどうした事だ!」
警備兵のおじさんに声をかけたのは……いつもカウンターで僕達の相手をしてくれている強面のおじさんでした。
「あっ、ギルドマスター。実は……と言う訳なんです」
「はぁ?じゃ何か、うちの新人がその3人を殺したっていうのか!」
「いえ、まだそうとは決まってはおりません」
おじさんは、ミカちゃんと僕を、鋭い視線で見つめると警備兵のおじさんに言いました。
「わかった。取調べには俺も立ち会うぞ!」
ミカちゃんが、上半身だけ起して周囲を見回します。
「にゃ、あのおじさん達は何処にいったにゃ?」
僕は、尻尾でおじさん達だったものを指し示しました。
すると――。
「子猫ちゃん、またやっちゃったにゃ。でも人を簡単に殺したらダメにゃ」
僕は、反論します。
「みゃぁ~みゃぁ~!」
僕がおじさん達を殺さなかったら、今頃、ミカちゃんは連れ去られていたかも知れないのですよ。
「子猫ちゃんが助けてくれたのは嬉しいにゃ。でもあのおじさん達はまだ人を殺した訳では無いにゃ。あの人達にも家族は居た筈にゃ」
確かに、盗賊達と違って、あのおじさん達は誰かを殺した訳ではありません。でも、ああしなければこれからもミカちゃんを狙って来るに違いありません。
「子猫ちゃんの気持は嬉しいにゃ。でも私は子猫ちゃんに――人殺しをさせたくないにゃ」
僕は、訳がわからなくなって来ました。
ミカちゃんは、自分の格好も気にせずに、ただジッと僕の目を見つめています。
すると、騒ぎを聞きつけた街の警備兵が3人、路地に入ってきました。
「おい、ここで何があった。あれは何だ!」
「おい、こっちに死体があるぞ、こっちにもだ――」
ミカちゃんは、壁の上でまだ尻餅を付いたままです。
僕は、警備兵のおじさん達からミカちゃんを守る様に前に出ます。
「子猫ちゃん!ダメにゃ」
知っています。この人達は、悪い人じゃない。それは僕にも分ります。
「おい!そこの猫獣人のお譲ちゃん。これは何だと聞いているのだ!」
「分りませんにゃ。私は――マタタビを嗅がされてここで……お陰でこんな格好ですにゃ」
ミカちゃんは、おどけたように自分のボロボロになったピンクの服を見せます。
「だが……人間がこんな姿になるなんて、俺も初めて見たものでな。悪いが、現場にいたお譲ちゃんをこのまま放置も出来ないんだ。大人しく警備隊の庁舎まで来てくれねぇか?」
「分りましたにゃ」
『おい、お前達は応援を呼んで来い。あと、台車もな』警備兵のおじさんは、仲間の人達にそう命令すると、ミカちゃんに近づいてきました。
「ん、猫?……この子猫はお前のペットか?」
「友達ですにゃ」
「そうか。このまま放置して糞尿を垂れ流されたら困る。一緒に連れて来い」
「分りましたにゃ」
ミカちゃん、僕、警備兵のおじさんは街を歩いて警備隊庁舎と言う所に行く事になりました。道ですれ違う街の人達は、ミカちゃんのボロボロの格好を見て、侮蔑の篭った視線を投げかけていました。さっきはあんなに可愛らしい子だと温かな視線を送っていたのに……。
警備隊庁舎にいく通り道に、冒険者ギルドはありました。ギルドの前を通り過ぎた時にそれは起きました。
「おい、警備の旦那。これはどうした事だ!」
警備兵のおじさんに声をかけたのは……いつもカウンターで僕達の相手をしてくれている強面のおじさんでした。
「あっ、ギルドマスター。実は……と言う訳なんです」
「はぁ?じゃ何か、うちの新人がその3人を殺したっていうのか!」
「いえ、まだそうとは決まってはおりません」
おじさんは、ミカちゃんと僕を、鋭い視線で見つめると警備兵のおじさんに言いました。
「わかった。取調べには俺も立ち会うぞ!」
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