子猫ちゃんの異世界珍道中

石の森は近所です

第21話、討伐報酬!

街の中に入った僕達は、真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かいました。


冒険者ギルドは、24時間やっていて夜中でも誰か1名は常駐しているそうです。
僕達が扉を開けて中に入ると、他の冒険者はもう居ません。


僕達が最後だった様です。


「おう、話は聞いてるぜ!スライムとゴブリンの討伐を受けたんだって?」


ちょっと強面のおじさんが、カウンターに座っていました。


ミカちゃんが、手さげ袋から、討伐証明の魔石と、ゴブリンの耳を取り出すと――。
「おい、ちょっと待て!今、箱を用意する!」


おじさんは、慌てて部屋の奥に行き、木の箱を持ってきました。


ミカちゃんは、その箱の中に、スライムの魔石8個。ゴブリンの耳を36個入れていきました。


「こりゃ~大したものだな。お譲ちゃん1人で倒したのか?」


「違うにゃ、子猫ちゃんと2人にゃ!」


「あはは。そうか……それにしてもすげぇ~こんなに持ってきた冒険者は、スタンピード以来だな」


だいぶ昔の話だそうです。


ミカちゃんも。それ、なに?という顔をしています。


おじさんは、数の多さに驚きながらも、報酬の計算を紙に書いて始めました。


「悪いぃ~な。ちょっと多すぎて計算が面倒でよ」


「いいですにゃ!待ちますにゃ」


しばらく、2人で待っていると――。


「おう!待たせたな。まず、討伐だけの料金からな。ゴブリンとスライムの報酬が、銀貨2枚ずつ。スライムの魔石が1個銀貨1枚で銀貨8枚。ゴブリンの超過分は1匹につき銅貨30枚。超過が31体なんで銀貨9枚と銅貨30枚だ。スライムの超過分も銅貨30枚な。全部合わせると、銀貨22枚と銅貨20枚だな」


「そんなに貰えるにゃ?」


「あぁ、これは正当な討伐報酬と魔石の買い取りだからな」


「ありがとうですにゃ~!」


「大金だから掏られたり、落としたりして無くさない様にな!」


「はいですにゃ!」


ミカちゃんは貰ったお金を手さげ袋に入れ、冒険者ギルドを後にしました。


「お腹いっぱい食べられるにゃ~!」


「みゃぁ~!」


ミカちゃんがとても笑顔なので、僕はそれだけで嬉しいです。


「先に、泊る場所を探すにゃ!」


そう言って街を歩きます。


でも、守衛さんに聞いた宿が暗くて何処だか分りません。


お店で、開いている所は少なく――。


明るい光が漏れているお店で、聞く事にしました。


何かの看板が掛けられていますが、文字が暗くて見えません。


ドアを開け、中を覗くと――食堂の様です。


「すみませんにゃ~」


「あら、こんな遅くに珍しいお客様ね!」


ちょっと横に大きなおばさんが、そう言ってミカちゃんと会話します。


「宿を探しているにゃ、何処にあるか知っていますかにゃ?」


「あら、宿ならここも宿屋よ!部屋なら開いているから泊っていくかい?前金で1泊銅貨20枚で朝食と晩飯付きだよ。見ての通り、食堂も兼ねているからね」


「じゃ~一応5泊お願いするにゃ~!」


そう言って、ミカちゃんは銀色の、僕の掌よりも大きなコインをおばさんに渡しました。
「まいどありぃ!晩飯は食うだろ?」


「はいですにゃ!この子猫ちゃんにもお願いしますにゃ!」


「子猫も一緒なのかい?普通ならペットはお断りなんだけどね。トイレの始末とかちゃんと責任を持ってくれるならいいよ。後、食事の方は大盛りで出すから分けて食べな!」


「わかりましたにゃ~!」


「じゃ~奥のテーブルに座って待っていな。今食事の用意をしてくるからね」


「はいですにゃ!」


おばさんは、奥に入って行きました。


僕とミカちゃんは、言われた席に着いて食事を待ちます。


少しするとおばさんが、両手に大きなお盆を持ってやってきました。


「これ全部食べられそうかい?多かったら減らすけど……」


「多分、大丈夫ですにゃ!」


「そうかい?じゃ、しっかり食っておくれ!」


テーブルに置かれた、大きな3枚の皿には、山盛りの料理が盛られていました。


僕は布巾で足を拭いてもらい、テーブルに上がり、


ミカちゃんと同じ料理を頑張って食べました。


骨と違って、お腹に溜まって苦しかったですが……食べきりました。


「おお、頑張って食べきったじゃないか!食べきったお譲ちゃんにはサービスだ!これから5日間の湯浴み代は無料でいいよ。後で部屋にお湯を運ぶからね」
「助かりますにゃ!」


「部屋は奥の階段を上がって、突き当りだよ。これが部屋の鍵だ。無くさない様にね」
「分りましたにゃ!」


おばさんは木の複雑な切り込みの入った物をミカちゃんに渡し、テーブルの上の皿を回収して奥へと戻っていきました。


「さぁ、子猫ちゃん。お部屋にいくにゃ!」


「みゃぁ~!」


僕達は、階段をゆっくり上がっていきました。











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