マウンドで勝利を叫べ!〜勝ち続ける難しさ〜

カイリ

小4ー6 球唔の新発見。対リトルフィッシュ 中

 太陽がこんにちは! し、試合はさらに熱気と共に暑くなる。そしてリトルバード対リトルフィッシュの試合は二回に突入していた。


 五番の二国くんの打った打球がライト手前で落ち、一塁に出るが、六番フライ、七番ゴロ、八三振でアウトを取られ交代となった。


 一回よりも大男の球速が上がっている気がする……


 球唔は守備位置に駆け寄りながら大男見て考えていた。全員が守備位置に着き、五番の選手が打席に着く。


 球唔は美咲の出すサインを見る。低めの球のサインだった。球唔は頷き構える。大きく振りかぶり投げる。


「ふ!」


「ストライク!」


 ミットの乾いた音が鳴り響く、球唔の投げた球は低くストライクゾーンにはいり審判の判定はストライクとなった。相手はバットを一ミリも動かさず、球唔の球を見てきた。


次のサインを見る。アウト、ローのストライクゾーンに入れる球だった。球唔は頷き構え、大きく振りかぶり投げる。


「ん!」


「ファール!」


 球唔の投げた球は相手のバットに当たる、だが打球は線の外側に行き、判定はファール。相手は確実に球唔の球を捉え始めていた。


「ふーー」


 深呼吸した球唔は美咲のサインを見る。サインはアウト、ハイに遅い球だった。球唔は頷き構える。大きく振りかぶり、投げる。


「ふ!」


「ストライク! バッターアウト!


「しゃ!」


 先ほどよりも小さいがミットの音が鳴り響く。球唔の投げた球は相手のタイミングを外し、空振りさせた。そして見事三振をもぎ取った球唔はその場でミットを叩き吠える。


 六番バッターが打席に入る。その時、球唔は美咲とあいこんたくとを取っていた。


 美咲、ここからは打たせて取ろう。いいか?
 んーー。いいよ、守備を信じよ。
 よし、なら行くか
 うん!


 アイコンタクトを終えた球唔は美咲のサインを見る。低めの球のようだ。球唔は頷き構える。大きく振りかぶり、投げる。


「ふ!」


 球唔の球は相手のバッタにあたり、一、二塁間を抜ける。しかしライトがカバーに入り、ランナーを一塁で止める。


「ナイスカバー! ……仲間を信じろ」


 球唔が声を出し仲間を鼓舞した後に一人で呟く、美咲のサインはまた低めの球だった球唔は頷き構える。大きく振りかぶり投げる。


「ん!」


「ボール!」


 ミットのいい音が鳴る。だが球唔の球は低めを狙いすぎボールになる。カウントがボール先行になる。


 球唔は再び美咲のサインを見る。低めの球。球唔は頷き構える。大きく振りかぶり投げる。


「ふ!」


 球唔の投げた球は相手に打たれる。打球は三塁線を走る。


 サードポジションの選手が意地を見せ、飛びつき、球を捕球する。そのまま二塁から一塁に投げ併殺となった。


「ツーアウト! チェンジ!」


「ナイス! サード!」
「おう! 後ろは任せろ!」


 球唔は三塁守に声をかける、三塁選手は球唔の声かけに答える。


 仲間を……信じる。こうゆう野球もいい!


 球唔は新たな快感に浸りながら、ベンチに戻る。


 回は二回裏となり、リトルバードの攻撃になる。


 九番バッターの命くんは球を捉えたがものの、打球は内野フライとなり、アウトとなる。


 そこでリトルバードの打順が一周し、ワンアウトの状態で一番バッターの球唔に回る。球唔は打席に入り、バットの先を二、三回ぶらぶらさせ円を描くようにかまえる。


 エースの大男がサインを確認し、構え投げる。


 ミットの乾いた音が鳴り響く。


「ストライク!」


 は? 確実にさっきより急速上がってんだろ!


「ふーー、切り替えろ」


 球唔は一瞬乱れた気持ちを切り替えて相手に集中する。大男はサインを確認し構え投げる。


 もらっツ!


 球唔は球を捉えかけたが予想外のノビて打球は外野まで飛んで行くが、レフトフライとなった。


「い……痛い! なんだアイツ、投げるたんびに球速を上がってんぞ!」


 球唔は手をぶらぶらさせながら相手の愚痴を話し、ベンチに戻り座る。


 二番バッターは球を真で捉えるも外野に取られ、アウト。


「美咲! いったれー!」
「まっかせなさい!」


 次のバッターは美咲。美咲は打席に入りバットを構える。かわいい。
 相手はサインを確認して構え投げる。一球目はストライク、全く手を出さなかった。二球目はボール。三球目は球をぎりぎりで捉えファール。四、五球目はボール。六球目はファール。七球目もファール。八球目もファール。しかし九球目でボールにし出塁。


「よく粘るなー、美咲のやつ……あ、ちょっと涙目だ」


 美咲は出塁するも、手をさすりながら涙目になっていた。そして四番の田中に回る。


「おぅおぅおぅ! ここでホームランって、いてたなー田中!」
「うるせぇ! てか、なんで喧嘩ごしなんだバカ!」
「うるせぇ! さっさと打って来いや!」ニヤリ
「わかってるよ!」ニヤリ


 田中が打席に入ろうとする前に球唔が田中に声をかける。球唔は最後に田中がニヤリとした瞬間、田中雰囲気から自信が滲みでているように見えた。


「ありゃ、初球ホームランだわ」


「マジで?」
「うん」
 球唔が呟きに仲間が答える。その反応を返しマウンでの目を向ける。大男はサインを確認して投げる。アウト、ローの厳しい球だった……が。


 バットの小高い音が鳴り響く。打球は高く鋭く前に上がる、しかし外野は動くことはなかった。


 そしてボールはフェンスを軽々しく超えていった。


「ホームラン!」
「うぉおおおお! 田中ぁぁぁ!」
「モブーーー!」


「誰だモブって言ったやつ!」


 田中は仲間の歓声に突っ込みを入れながらダイヤモンドを走り、ベンチへと帰ってくる。


「これで満足か?」ニヤリ
「満足すぎるくらいだ」ニヤリ
「田中くんナイスバッチ!」
「おう! 四番だからな!」


 俺と田中がニヤニヤしながら話をする。そこに美咲が入ってくる。


「美咲もいい粘りだったよ」
「えへへ、嬉しいなぁ」


 球唔の褒めた言葉で美咲が照れていた。


 あ……かわいい


 球唔は心の中でそう思っていた。


「おい、俺の前でイチャイチャするな……◯すよ?」
「「ほ、褒めないでよ(褒めんなよ)」」
「褒めてないわ!」


 試合の熱気で気温はさらに高くなる。そして試合は後半戦に移る。

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