醒めない悪夢

月桜

【第1話】森の中で

 ある時メグ・トーマスは森の中で目を覚ました。森特有の、鼻をくすぐるような土の匂いに体が反応したようだ。自分がなぜこのような状況に陥っているのかは分からないのだが、着ている服は彼女が毎日の習慣として行なっているランニングの時のものなので、恐らくランニング途中に迷い込んだんだろうと彼女は思った。
 体もだいぶ休まっていたようで、疲れは全く感じなかった。まだ起きて5分と経っていないがメグの頭はしっかり働いている。「ちょっと歩いてみようかな。」と独り言を呟いて彼女は周りを歩くことにした。
 5分、10分とメグは歩いた。カラスが不気味に鳴き、生命いのちを感じられない木々が生え、地面は落ち葉で覆われている。歩く度に落ち葉を踏む音がする。そして湖のほとりに着いたメグは、信じ難いものを見つけた。
 その見つけたものとは木でできている、古びた立て札。普通の立て札くらいだったら森にあってもおかしくはないだろう。しかし、そこにはこう書かれていた。
『Death Is Not an Escape. The Trick is to stay alive.(死に救済はない。知恵は生き残るためにある。)』
 そこで彼女はこの森で感じた様々なことを思い返した。《聞こえるのは不気味なカラスの鳴き声》《居る者に不安を与え続け、生命いのちを感じることすら出来ないような木々が生えた不気味な森》《この古びた立て札》……
 メグがここを死後の世界という《醒めない悪夢》だと気付いた時には、彼女の視界は闇に包まれていた……。

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