異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

懺悔

フィルナンド「………アリス?」


アリスティル「……あっ」


フィルナンド「どうしたの?顔色が悪いよ」


ファウスト「………」


フィルナンド「休む?」


アリスティル「………………うん」


フィルナンド「じゃあ私は例の奴らがここに来ないように外で見張っているから」


アリスティル「ありがとう、フィル……」






ーバタンッ



教会の扉が固くしまったことを確認したファウストは小さくため息をついた後、口を開く。



ファウスト「…何か、思い出していたのですか?」


アリスティル「まあ、ちょっと過去の事をね」


ファウスト「………そうですか」



ファウストは奥のステンドグラスに視線をうつす形で私に後ろ姿を見せる。


そしてファウストは私の顔を見ずに



ファウスト「……懺悔なら、神父として聞きますよ」



そう言った。


正直驚いた。クソエセ神父と呼んでいたのに、正式な神父じゃないのに。


神父らしい事を言うなんて思ってもみなかった。



ファウスト「どうしたのですか?懺悔するんですか?…しないんですか?」


アリスティル「……します。させてください」



私は教壇の下の方へと歩いていく。



ファウスト「……嗚呼、言い忘れていました。あなたは今完全なヴァンパイアなんですよね?」


アリスティル「そう、だけど?」


ファウスト「ではこれ以上は近づかないでください」


アリスティル「……どうして?」


ファウスト「結界です」



ファウストの話によればこの教会が立った当初、森の付近だったことか良くヴァンパイアに襲われることが多かった。


そのためこの教会にも対ヴァンパイア用の結界が1部施されている。



アリスティル「…私、好きで完全なヴァンパイアに堕ちたわけじゃないんだけど」


ファウスト「と言いますと?」


アリスティル「はあ……皆まで言わなきゃダメなの?」


アリスティル「………はめられたのよ」


ファウスト「……ふむ」


アリスティル「ほんとムカつくわ…。アイツゥ!絶対いつか一泡吹かせてやるんだからっ!」


ファウスト「そうですか、頑張って下さい」


アリスティル「…なんでそんな興味無さげなの」


ファウスト「だって私には関係ないことですし」


アリスティル「………(イラッ)」


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