異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

足枷

アリスティル(ユリウス)「……これでいいと思いますが」



ローレンツは完全にどこからどうみてもおかしい所はない。しかしローレンツはネクタイで首元が苦しいのかネクタイを緩めようとする。



アリスティル(ユリウス)「義兄様、ダメですよ!」



その行動にアリスティルは目を離してはいなかった。すぐさまローレンツを静止させる。



ローレンツ「ネクタイ苦し……」


アリスティル(ユリウス)「はぁ………」


アリスティル(ユリウス)「私より年上なのに子供みたいなこと言わないでください。」


ローレンツ「なっ!子供だと!?」


アリスティル(ユリウス)「その通りではないですか。」


ローレンツ「……ぐっ」



アリスティル(ユリウス)「さ、行きますよ。私が案内するのでさっさとしてください。」


ローレンツ「………」



さっきからアリスティルが冷たい。というより怒っているようにも見える。



ローレンツ(俺、何か怒らせるようなことしたか?)



記憶の糸を辿ってもそんな事をした覚えはなかった。……いや、あるかもしれなかった。



ローレンツ(勝手に血を吸ったから?)



いや、それはない。いつもの事だからだ。前は怒ったが慣れたのか呆れたのか怒らなくなった。


じゃあ他は何かあるか?


めんどくさくなった俺は素直に聞くことにした。



ローレンツ「……なんで怒ってんだよ」


アリスティル(ユリウス)「……………は?」


アリスティル(ユリウス)「なんでそうなるんです?」


ローレンツ「いやだって………くそっ」



いつだってコイツといると調子が狂う。



アリスティル「……私、怒ってるように見えましたか」



その声色は悲しげだった。俺は泣かせてしまったかと思ってしまった。



アリスティル「………最近あの時に戻りたいと思ったりするんです。赤の王としての責務を全うする事に私いつの間にか誇りを持っていたんです。…あんなに忌み嫌ってたのに」


アリスティル「でも私はあの生活とは決別しました。……もう私は戻る資格も戻りたいと願う資格もないんです……!」


ローレンツ「……アリス」


ローレンツ「俺だってなんでてめぇ見てえな奴がクソ親父にこき使われなくちゃならないのかって考えた。」


アリスティル「……」



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