異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

道の別れ目

シャーレ「というより…それしか出来ないんでしょ?」


アリスティル(ユリウス)「…そうとも言うわね」



図星か…


シャーレさんは何故かしてやったり顔だ。他人事なのだが腹立つ。



アリスティル(ユリウス)「そろそろ『ユリウス』に戻らないと」


アリスティル(ユリウス)「じゃあね、ローレンツ義兄様行きましょうか。ここでの目的は達成しました。」


ローレンツ「……ああ」


暁人「待って…下さい!」



気づけば俺は声を上げていた。



アリスティル(ユリウス)「…なんですか?手短にお願いしますよ」


暁人「アリスティルさんとユリウスさんって別人格ですか?」


アリスティル(ユリウス)「…………」


アリスティル(ユリウス)「…どうしてそう思ったのですか?」


暁人「根拠は2つあります。一人称が『私』から『俺』に変わっていたこと」


暁人「今アリスティルさんが言った『そろそろユリウスに戻らないと』という言葉」


アリスティル(ユリウス)「……」


暁人「それらを組み合わせるとまるでアリスティルさんとユリウスさんという存在は別なのではと思ったからです。」



部屋の中に沈黙が流れる。


その沈黙を先に破ったのはアリスティルさんだった。



アリスティル(ユリウス)「……ふふ」


アリスティル(ユリウス)「なかなか頭が切れるのですね」


アリスティル(ユリウス)「普通の人ではその発想には至らない」


アリスティル(ユリウス)「それは評価に値するでしょう。」


暁人「!」


アリスティル(ユリウス)「しかしながら…今その真実をお話することは出来ないのです。」


アリスティル(ユリウス)「答え合わせは後ほど。……私が生きていれば、ですが」


暁人「……」



この人にどう声をかけるべきなのか、俺には分からない。


『生きていれば』という言葉に不思議と目の前の少女がさながら戦争にこれから行く兵士のように見えたのは俺の見間違えなのか。


その時、誰もが予想しなかった事が起こるとは考えつくことはなかった。

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