異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

謁見の保留

暁人「アリスティルさん…じゃなくてユリウスさん。」


アリスティル(ユリウス)「……どちらでもいいのよ、今はね」


暁人「じゃあアリスティルさん」


暁人「フィルナンドさんに聞いたのですが人間とヴァンパイアの盟約はお互い干渉しないってことでしたよね」


アリスティル(ユリウス)「ええ。ほぼ合ってる。間違ってはいない」


アリスティル(ユリウス)「でもその盟約にはまだ他にも内容があって」


アリスティル(ユリウス)「ヴァンパイアがもし万が一人間に敵対する場合、人間側は不利である。そこで人間の味方のヴァンパイアを置くことということが入っているの」


ローレンツ「それはこいつの家…キングスレー家が担っていたんだぜ」


アリスティル(ユリウス)「確かに今私がキングスレー家の当主だから当然その役目を担ってるのだけど」


アリスティル(ユリウス)「でも私は正式な王じゃないから…例外事例って訳」



するとずっと黙っていたシャーレさんが口を開く。



シャーレ「本来の歴史…貴女が作った本には今日謁見するのはアリスティルとフィルナンドって書かれていたのだけど……」


アリスティル(ユリウス)「うん、今日謁見してヴァンパイア王の行動を制限するようにするべきだって2人で意見する予定だったのだけど……」


アリスティル(ユリウス)「ヴァンパイア王がいきなり宮殿にやってきたから色々あって保留になっちゃった」


シャーレ「……」



シャーレさんは悔しそうな顔をしていた。AIに調査させたのに知りえなかった情報をアリスティルさんが持っていたからだろうか。



アリスティル(ユリウス)「そんな顔をしないで、シャーレ。私だってその未来を見たのはヴァンパイア王が宮殿に来る数秒前。いきなりでびっくりしたんだから」


アリスティル(ユリウス)「暁人さんをここに運ぶにあたってヴァンパイア界をローレンツ義兄様と抜け出していたのだけどまさかこうなるとは…ね」


ローレンツ「……」


シャーレ「貴方達は何をするの?ヴァンパイア王の護衛?」


アリスティル(ユリウス)「そんなものはしない。私達はただ監視するだけ。今はそうすることが得策だから」

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