異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

思い立ったが吉日

暁人「ぜえぜえ……」


暁人「やっと着いた…!」



俺は思い立って直ぐに行動に移したので迷子になっていた事を忘れ夢中でかけていた。


そのため、着くのに30分以上はかかってしまっているだろう。



暁人「……よし」



部屋の主がいることを信じて俺はノックする。



?「…………開いてますよ、どうぞ」



しばらくの間の後に返事が返ってきた。それに乗じて部屋に乗り込む。



暁人「失礼します。こんな夜分にすみません、フィルナンドさん」


フィルナンド「いえいえ。構いませんよ」



フィルナンドさんは全く嫌そうな顔ひとつ見せず、快く部屋に入れてくれた。



暁人「……客間ってこんなに綺麗なんですね。」


フィルナンド「この部屋は元々アリス嬢が手入れしていたので、清潔なんですよ。」


フィルナンド「それより私のいる部屋に夜分に訪れるのは何か聞きたいことでもあるのですか?明日でもいいなら…………」


暁人「今すぐに聞きたいことなんです。……いいですか?」


フィルナンド「………分かりました」


暁人「『王位継承権争い』について、何か知っている事を話してください。」


フィルナンド「…………」



フィルナンドさんは1度戸惑った顔をしていたが心を決め、話してくれた。



フィルナンド「王位継承権争いとは今現在起こっているヴァンパイア王の王位継承権争いのことです。」


暁人「ヴァンパイア……王」


フィルナンド「実はアリス嬢はヴァンパイア王と血縁関係にあるので十分な資格を持っているという訳です。ただし、最下位(5位)ですが……」


暁人「…………なるほど」


フィルナンド「近々王位継承権争いの開催地が決まるようです。」


暁人「つまりまだ始まってないということですか」


フィルナンド「そうです」


フィルナンド「噂によると開催地は人間界になるのではないかと言われているんですよ。」


暁人「!!」


フィルナンド「それがどういう意味か…分かります?」



この国の事情をあまり知らない俺でもそれがどういう事なのか理解出来た。



フィルナンド「……これは殆どの人間が知らない事なのですが、人間とヴァンパイアもとい魔族には密かに結ばれた盟約があったのです。」


フィルナンド「簡単に言ってしまえば内容はお互いの世界に干渉しないという感じなのですが」


フィルナンド「それが破られるということは……」


暁人「戦争…………」

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