異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

推察

アリスティルさんはそれ以上何も言わずに食堂を出て行ってしまった。


フランチェスカは調理場へと繋ぐ扉から出て行ってしまい、食堂には俺とフィルナンドさんとスピアが取り残された。







ーーーコツン、コツン



アリスティル(これでいいの……これで)



アリスティルは眼帯を取り外し、隠れた右眼を露わにする。


その眼は金色に美しく光り輝いていた。しばらくすると左眼も青色から金色に光り輝き始めた。



アリスティル(こんな姿、誰にも見せられない。)


アリスティル(完全にヴァンパイアとして穢れてしまった私を、誰にも見せる訳にはいかない。)


アリスティル(ごめんなさい……本当に)






暁人「どこに行ったんだろう……?」



フィルナンドさんとスピアは混乱していたので俺は早く部屋に戻った方がいいと促した。


そして俺はというとアリスティルさんを追っていた。



暁人「…………居たっ!」



見知った背中を見つけて俺は夢中で駆け出していた。



暁人「アリスティルさん!!」


アリスティル「………っ」



アリスティルさんは俺に声をかけられると廊下を走ってしまった。



暁人「待って…………ください!」



俺は必死になって追ったが、見失ってしまった。



暁人「はぁ、はぁ…………」


暁人「さすがお城ってところだな。広すぎて迷子になった」



今は迷子になった事よりもアリスティルさんの急変した態度に傷ついていた。


あの部屋で一体何が起こったのだろう。推理するには情報があまりにも少なすぎる。


あの部屋の会話の中で俺が聞き取れたのは『王位継承権争い』という単語くらい。


それから推察すると赤の王とは別の王位継承権だと思われる。


前にスピアに聞いたことがあったのだが、赤の王の力はキングスレー家の血統でなければ継承出来ないという。


それならば何の王の争いなんだ?


考えれば考えるほど頭が痛くなる。



暁人「……!!」


暁人「そうだっ!あの人なら!」



何か知ってるかもしれない。そう思ってその人の部屋に向かうことにした。

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