異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

特権

アリスティル(ふふ……。)



フィルナンドのあの言葉に私はどれだけ救われたことか。


でも、今……



アリスティル(とにかく離れて……)



フィルナンドは全く離れようとしない。



アリスティル「いい加減にしないと…」


アリスティル「無理矢理追い出すからね!」


アリスティル「…………あれ?」


フィルナンド「すーすー」


アリスティル「寝てる……」


アリスティル「とりあえずスピア呼んで客間に運んでもらいますか」


私はスピアのいる部屋に向かおうとした。しかし、力が入らなかった。



アリスティル(あ…れ…………)


アリスティル(目がチカチカする)



そして立つ力も無くなり、その場に座り込んでしまう。



?「その程度で眩暈を起こすとは……脆弱なものだ」


アリスティル「っ!」


アリスティル「誰!?」


?「誰って……決まっているだろう?」



その声の主は応接室の窓を蹴破り私の前に姿を現した。



?「お前の婚約者、レオンだ。」


アリスティル「!?」



レオン……レオン・ヴィクトル・リゼローズ
彼はヴァンパイア王の王位継承権第1位であり、現ヴァンパイア王の長男。アリスティルとは従兄妹にあたり婚約者でもある……



アリスティル「何でここに……」


レオン「それは勿論、お前を迎えに来たからだ」


アリスティル「!!」


レオン「だが…………」


レオン「まだ人間の部分を残していたのか」


レオン「さっさと堕ちれば良いものを」


アリスティル「…………」


レオン「嗚呼、成程。お前にはまだ人間としての未練が残っているのか」


レオン「だったら今すぐそんなもの忘れさせてやる。」


アリスティル「……何を」


レオン『ヴァンパイア王特権!』



レオンは私の頭に触れ、そう叫ぶ。



やめて、と叫ぶ間もなくレオンに魔法をかけられてしまった。



レオン「良いか?お前は人間である事に希望を見いだせず、ヴァンパイアに身をおとすことを選んだ。」


アリスティル「……」


レオン「そして今、ヴァンパイア化の呪いを成り立たせようとお前は俺に『私をヴァンパイアにしてください』と言う」


アリスティル「……」


アリスティル「私をヴァンパイアにしてください」

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