裏話･出会い エドとカイ 中編

明らかに嘘だ。だって彼女は隠しているが僅かな殺気が溢れ出ている。


彼女は静かに笑い俺たちを見据える。



？「…………最近、どうも多いのよね。自殺者の遺体が消えてしまうのが。上からの依頼で捜索してたのだけど全然見当たらない。これじゃあ遺族の方にどう説明したらいいのか……(><)」


エド「……っ」


？「貴方、何か知ってるのかしら……？」


？「教えてくれないかしら？」



俺と彼女の中に張り詰めた空気が流れる。とても息苦しい。息をすることが出来ないくらい俺は恐怖を感じた。



カイ「お姉さん、お姉さん。」



今までずっと黙っていたカイがいきなり喋り出す。


予想外の展開に彼女は目を丸くしてカイを見つめる。



カイ「お姉さんって偉い人？なんか身なり良いし、明らかに見た目がThe貴族様って感じだし。」


？「えっ……」


カイ「僕はカイって言うんだ。こっちの図体のデカい奴がエド。お姉さんの名前は？」



相変わらず彼女は目を丸くしたまましばらく黙り込み、少しの間の後口を開いた。



？「……………アリスティル。アリスティル･キングスレー。」


カイ「いい名前だね！」


アリスティル「ありがとう…………？」



彼女はカイの対応に驚いていた。しかし、カイの対応のお陰もあってか彼女からスムーズに話を聞くことが出来た。


この土地は彼女の管轄区域であること。ここに住み着いてしまったヴァンパイアに人間界に住む上での生活補助を約束するとのことなど。



アリスティル「貴方達は、最近人間界に来たばかりのヴァンパイアなのね。通りで……」


エド「なんかすいません…」


アリスティル「別に謝らなくていいわ。こちらも怪しいからってあんな態度をとってしまって……、ごめんなさい。」


エド「あの……つかぬ事をお聞きしますがどうしてヴァンパイアに生活補助を約束すると仰ってくださるのでしょうか？」


アリスティル「ああ、簡単なことよ。私が貴方達ヴァンパイアと半分同族だからよ。」



その証拠にと眼帯で隠したもう片方の目を俺たちの前に晒した。


日中は両目とも同じ色なのだが、夜になると金色に輝くという。


ヴァンパイアは金色、銀色の瞳が多い。それにヴァンパイアは種族を嗅ぎ分けることが出来た。俺が彼女の匂いを嗅いでみると人間の匂いとヴァンパイアの匂いが入り交じったような匂いがした。