血だらけの王

暁人「じゃあ今はどうなってるんだ？」


スピア「今は治安も良く、過ごしやすいと言ってもいいでしょう。」



スピアの目はキラキラと輝いて見えた。それだけ昔は酷かったのだろう。



暁人「そういえば、キングスレーさんは帰ってこないのですか？かなり時間が経っているのですが…」


スピア「…それが」



なんと彼女はあの時から1度も帰ってこないというのだ。



スピア「あの方は規律などを特に重んじているのでご自分で決められた時間までに帰ってこないなんてことは1度もなかったのですよ。」



そう言われると不自然に思えてくる。彼女の身に何かが起こったに違いない。


スピア「私は様子を見てきます。」


暁人「たしか魔界のような場所にいるんだよね！？そんな所に一人で行くなんて危ないよ！」


スピア「その通りですが、私はあの方を命に変えてでも守ってみせると誓ったのですから誓いを違えるわけにはいきません。」



そう言ってスピアが食堂から跳びだそうとしていた時だった。



フランチェスカ「皆！姫ちゃんが帰ってきたよ！」


スピア「本当か？フランチェスカ！」


フランチェスカ「ええ。だけど…」


アリスティル「………」



あろう事かアリスティルは頭から血を流していた。


フランチェスカ「姫ちゃんどうしたのよその傷！？」


アリスティル「アイツにやられた。あと姫ちゃんって呼ぶな。」


フランチェスカ「じゃあ集中治療ね、分かるとも！」


アリスティル「いーやー、助けてスピア(棒)」


スピア「…すみません、主！こればかりはあなたのためなのです！」


アリスティル「スピアの馬鹿！おたんこなす！あと書類私の代わりにやっといて下さいね！」


そしてアリスティルはフランチェスカによって無理やりズルズルと引きずられて食堂から退散して行った。


暁人「なんか可哀想に見えてきたのですが…」


スピア「…気にするな。お前は早く寝た方がいい。」


スピア「あと部屋の鍵は二重にして閉めておけ。」


暁人「えっ？なんでですか？」


スピア「…知らない方がいいと思う。」



そうスピアは俺に告げて食堂から追い出された。



スピア「あと、医務室前は通るな。…絶対に。」



スピアはくらい面持ちで恐らく医務室があるであろう方角へと消えていった。