異世界王政〜Four piece stories〜
昔の出来事
キングは1人で出かけていった。
「…なあスピア。彼女は一体どこに向かったんだ?」
「この国の果てにあると言われている魔界のような魔王の領土であり、誰の領土でも無い…そんな曖昧な場所だ。」
「…本当に曖昧ですね。」
聞いているだけでややこしく、耳が痛かった。
「そこは昔は魔界と呼べる場所だったのだが、魔王がいなくなったことにより安定しなくなったんだ。」
「魔王がいない…?!」
「噂によれば誰かに殺されただとか、どこかに行方を晦ましてどこかに潜んでいるだとか、身体を失ったからどこぞの国から人間の身体を奪っただとか言われているけど。」
「まあ真実がどうであれ、魔王がいないということはその場所はちゃんと統治させていないから危険な場所なんだ。だからお前のような鈍そうな奴はすぐに死にそうだな…はははっ!」
「くっ…」
それは間違いではなかった。俺は昔から鈍いせいで酷い目にあった。
もうそんな思いは懲り懲りだ。
「…気に入らないな。アリスがこんな奴のために…」
「えっ?スピア、なんか言った?」
「いえ…なんでも。」
「そう言えばなんでそんな危険な場所で彼女の兄探しをすることになったんだ?」
「…。話せば長くなりますが…」
昔…10年くらい前。アリスがまだ8歳のとき。魔族が大量発生していた頃にアリスティル・キングスレーに向けて魔王討伐の依頼が来たことがあった。
それはアリスティル・キングスレーがキングスレー家で最も剣術も魔術も優秀だったからだ。
その優秀さゆえに能力をかわれて危険な依頼が多かったのだが、全てギルト・キングスレーと父、ロイス・キングスレーがアリスティルの目にとどまる前に終わらせていた。
「強いとはいえ一人の女の子だ。それにまだ幼い。そんな危険な仕事には行かせられない。」
普通なら当主が依頼をこなすなんて前代未聞なのだが、そうするしかなかったのだ。
しかし、その日は突然に訪れるのであった。大きな事件が起きたのだ。
キングスレー家の密偵から急ぎで報告が入った。
「申し上げます!魔王が何者かの手によって殺されかけたそうです!」
「…!?」
「かけたという事はまだ生きているのか?!」
「ええ…。」
「すぐに行く!」
「えっ?魔王のもとにですか?」
「そうだ!」
そう言ってロイス・キングスレーは魔王のもとに向かったのだ。…かつては魔界と呼ばれた今では衰退してしまった場所へ。
それ以降ロイス・キングスレーがキングスレー家に帰ってくることはなかった。
「…そんな話が。」
「その後本来のキングの後継者、ギルト様がロイス様を追って魔王のもとに行ってしまい、ギルト様も消息不明になってしまったのです。御二方がいなくなってからあの方がキングを務めていますがあの方は自分がキングにふさわしい人間だとは思っていないんですよ。」
「それは人間とヴァンパイアのハーフだからですか?」
「それもひとつの理由と言えるでしょう。しかしもっと大きな理由があるのです。」
「あの方は…穢れているのです。」
「…なあスピア。彼女は一体どこに向かったんだ?」
「この国の果てにあると言われている魔界のような魔王の領土であり、誰の領土でも無い…そんな曖昧な場所だ。」
「…本当に曖昧ですね。」
聞いているだけでややこしく、耳が痛かった。
「そこは昔は魔界と呼べる場所だったのだが、魔王がいなくなったことにより安定しなくなったんだ。」
「魔王がいない…?!」
「噂によれば誰かに殺されただとか、どこかに行方を晦ましてどこかに潜んでいるだとか、身体を失ったからどこぞの国から人間の身体を奪っただとか言われているけど。」
「まあ真実がどうであれ、魔王がいないということはその場所はちゃんと統治させていないから危険な場所なんだ。だからお前のような鈍そうな奴はすぐに死にそうだな…はははっ!」
「くっ…」
それは間違いではなかった。俺は昔から鈍いせいで酷い目にあった。
もうそんな思いは懲り懲りだ。
「…気に入らないな。アリスがこんな奴のために…」
「えっ?スピア、なんか言った?」
「いえ…なんでも。」
「そう言えばなんでそんな危険な場所で彼女の兄探しをすることになったんだ?」
「…。話せば長くなりますが…」
昔…10年くらい前。アリスがまだ8歳のとき。魔族が大量発生していた頃にアリスティル・キングスレーに向けて魔王討伐の依頼が来たことがあった。
それはアリスティル・キングスレーがキングスレー家で最も剣術も魔術も優秀だったからだ。
その優秀さゆえに能力をかわれて危険な依頼が多かったのだが、全てギルト・キングスレーと父、ロイス・キングスレーがアリスティルの目にとどまる前に終わらせていた。
「強いとはいえ一人の女の子だ。それにまだ幼い。そんな危険な仕事には行かせられない。」
普通なら当主が依頼をこなすなんて前代未聞なのだが、そうするしかなかったのだ。
しかし、その日は突然に訪れるのであった。大きな事件が起きたのだ。
キングスレー家の密偵から急ぎで報告が入った。
「申し上げます!魔王が何者かの手によって殺されかけたそうです!」
「…!?」
「かけたという事はまだ生きているのか?!」
「ええ…。」
「すぐに行く!」
「えっ?魔王のもとにですか?」
「そうだ!」
そう言ってロイス・キングスレーは魔王のもとに向かったのだ。…かつては魔界と呼ばれた今では衰退してしまった場所へ。
それ以降ロイス・キングスレーがキングスレー家に帰ってくることはなかった。
「…そんな話が。」
「その後本来のキングの後継者、ギルト様がロイス様を追って魔王のもとに行ってしまい、ギルト様も消息不明になってしまったのです。御二方がいなくなってからあの方がキングを務めていますがあの方は自分がキングにふさわしい人間だとは思っていないんですよ。」
「それは人間とヴァンパイアのハーフだからですか?」
「それもひとつの理由と言えるでしょう。しかしもっと大きな理由があるのです。」
「あの方は…穢れているのです。」
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