異世界王政〜Four piece stories〜
招待
そうこうしているうちに、俺達を乗せた馬車はいつの間にか大きなお城に着いていた。
「さあ…、ここがこの国に存在する3つのお城のうち1つ…レッドキャッスルです。我らキングスレー一族はあなたを歓迎致します。」
お城の中は清潔で清掃が行き届いていた。これが理想ではないのかと息を呑むほど素晴らしい内装である。
エントランスホールには一際目立つシャンデリアがあり、すぐ近くには2階への階段があった。
「…今、『3つのお城』とか言いませんでしたか?」
「ああ、言いましたね。おや、ご存知なかったのですか。まあ当然ですかね。」
そう言って彼女は説明し始める。
「この国にはレッドキャッスルの他にホワイトキャッスルとゴールドキャッスルがあるのです。」
「レッドキャッスルにはキングスレー家が、ホワイトキャッスルにはキングトロイ家が、ゴールドキャッスルには…」
ゴールドキャッスルについての説明を前に彼女は言葉を詰まらせた。
「…失礼。ちょっと調子が悪いので少し失礼させていただきます。スピア…暁人さんにお部屋にご案内をしてちょうだい。」
「かしこまりました。」
彼女はフラフラの状態で俺が入ってきた道とは別の道へ消えていった。
「アリス…」
スピアはそう呟いた。確かにそういった。
ふと俺は彼女が言った言葉を思い出す。
『…私の事を『アリス』と呼ばないで。この名前を呼んでいいのは彼だけよ。』
その言葉には何か深い意味が込められているのだろう。
「…失礼しました。では、暁人様。お部屋はご用意させて頂いたのでご案内致します。」
そう言って彼は長い廊下を歩き出す。俺もその後をついて行く。
沈黙が長くギクシャクした雰囲気が俺達のあいだに広がる。
そんな雰囲気はダメだと思ったのかスピアは口を開く。
「…暁人様。こうして挨拶するのははじめてですね。スピア・カーストです。…よろしくお願い致します。」
「よろしく。」
俺達は握手を交わす。そうした事でギクシャクした雰囲気が和らいだ。
「暁人様はこの国は初めてなのですよね?我が主はあなたに街を紹介したがっているのですよ。」
そう言ってスピアは苦笑する。
「そうなんですか?ぜひ紹介してもらいたいです!」
「それが…我が主はあまり外に出られないのですよ。」
「…え?」
スピアの言葉に俺は驚く。いったいどういう事なのだろうか?
「あの方は世間では『男』として生きているのですよ。『ギルト・キングスレー』として…」
その名前を発したスピアは悲しそうな目で遠くを見つめる。
『ギルト・キングスレー』。この名前に意味があるかないかは俺にはわからない。だけど、これだけは言わなきゃいけない気がした。
「絶対にこの城以外でこの事を口にしてはいけませんよ。」
「分かりました。でも、一つ教えて下さい。」
「ギルト・キングスレーとはいったい何者なのですか?」
「さあ…、ここがこの国に存在する3つのお城のうち1つ…レッドキャッスルです。我らキングスレー一族はあなたを歓迎致します。」
お城の中は清潔で清掃が行き届いていた。これが理想ではないのかと息を呑むほど素晴らしい内装である。
エントランスホールには一際目立つシャンデリアがあり、すぐ近くには2階への階段があった。
「…今、『3つのお城』とか言いませんでしたか?」
「ああ、言いましたね。おや、ご存知なかったのですか。まあ当然ですかね。」
そう言って彼女は説明し始める。
「この国にはレッドキャッスルの他にホワイトキャッスルとゴールドキャッスルがあるのです。」
「レッドキャッスルにはキングスレー家が、ホワイトキャッスルにはキングトロイ家が、ゴールドキャッスルには…」
ゴールドキャッスルについての説明を前に彼女は言葉を詰まらせた。
「…失礼。ちょっと調子が悪いので少し失礼させていただきます。スピア…暁人さんにお部屋にご案内をしてちょうだい。」
「かしこまりました。」
彼女はフラフラの状態で俺が入ってきた道とは別の道へ消えていった。
「アリス…」
スピアはそう呟いた。確かにそういった。
ふと俺は彼女が言った言葉を思い出す。
『…私の事を『アリス』と呼ばないで。この名前を呼んでいいのは彼だけよ。』
その言葉には何か深い意味が込められているのだろう。
「…失礼しました。では、暁人様。お部屋はご用意させて頂いたのでご案内致します。」
そう言って彼は長い廊下を歩き出す。俺もその後をついて行く。
沈黙が長くギクシャクした雰囲気が俺達のあいだに広がる。
そんな雰囲気はダメだと思ったのかスピアは口を開く。
「…暁人様。こうして挨拶するのははじめてですね。スピア・カーストです。…よろしくお願い致します。」
「よろしく。」
俺達は握手を交わす。そうした事でギクシャクした雰囲気が和らいだ。
「暁人様はこの国は初めてなのですよね?我が主はあなたに街を紹介したがっているのですよ。」
そう言ってスピアは苦笑する。
「そうなんですか?ぜひ紹介してもらいたいです!」
「それが…我が主はあまり外に出られないのですよ。」
「…え?」
スピアの言葉に俺は驚く。いったいどういう事なのだろうか?
「あの方は世間では『男』として生きているのですよ。『ギルト・キングスレー』として…」
その名前を発したスピアは悲しそうな目で遠くを見つめる。
『ギルト・キングスレー』。この名前に意味があるかないかは俺にはわからない。だけど、これだけは言わなきゃいけない気がした。
「絶対にこの城以外でこの事を口にしてはいけませんよ。」
「分かりました。でも、一つ教えて下さい。」
「ギルト・キングスレーとはいったい何者なのですか?」
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