異世界チートで友達づくり(仮)

川添 マカ

潜入②

 王城『ルイム城』━━
 商業都市『ラルズ王国』の北地区に建つ王城。初代国王ガルノ・L・フォントラートによって建設されたと伝えられている。


 アオイとスサラを助けるために王城への潜入を企てたベル、フォック、ダルの3人は現在城門付近で身を隠して待機していた。


 「さてと、どうする?」
 私たちは城門近くの家屋の影にかくれながら様子を伺っていた。
 見張りの兵士は3人…銀鎧に身を包んで荷馬車が2台通れる幅のの門を警備していた。
 「レベルは3人とも20そこらだ。やり合えば楽勝で勝てるけどできるだけバレるのは避けたいな…」
 「ちょっとダル!何普通に<鑑定>使ってるの?バレたらどうするの!?」
 小声で怒るとダルはフッフッフッと不気味な笑みをみせて人差し指を口元に立てて言った。
 「この俺が<みきり>にバレるような<鑑定>を使うと思うか?なんたってスリーサイズも手軽に知れるんだからな」
 ━━2分後
 ダルは私とフォックちゃんで浄化してやった。目を潰して…。

 「まぁダルの言ってる事は理解できる…」
 「ほぉ、お主もなかなかの悪よのぉ」
 「そっちじゃない(ゴンッ!)」
 鈍い音をたてながらダルに拳を頭から叩き込んだ。ひどく冷静に対応できたことに少し驚きつつも話を戻す。
 「できるだけバレるのは避けたいって事」
 「あ〜、そういうことか…」
 「それしかないでしょうが…」
 「ダルは耳と頭と顔が悪い」
 「おい、どチビ、さりげなく悪口はさむな」
 フォックちゃんも呆れていた。
 「まぁバレないように進むってんなら俺に任せろ」
 「なにか策でもあるの?」
 「まぁ見てろって」
 なんだかすごく楽しそうに返すダルを大人しく見ていることにした。変なことやったら即仕留められるように弓を構えて…。

 ダルは立ち上がり杖をアイテムポーチから取り出して城門の方へと向けた。
 「[魔力睡眠スリープ]」
 そう優しく唱えると門番の兵士達がバタバタと倒れだした。
 「これは…状態異常魔法!?」
 「ん〜、ちょっと違ぇな」
 「え?」
 「これは«魔属性魔法»の応用だ」
 魔属性魔法?聞いたことはあったけどどんな魔法が使えるとかは一切聞いたことがなかった。
 そんなキョトン顔の私にダルが説明してくれた。
 「«魔属性魔法»は属性系魔法だけど一種の«特属性魔法»なんだよ。通常の属性魔法は体内にある魔力を使って魔素マナに干渉することで魔法が発動する。でも«魔属性魔法»はちょっと違うんだ。«魔属性魔法»は直接マナに魔法をかけるんだ」
 「マナに魔法をかける?」
 「そう、マナは物質と密接な関係にある。そのマナだけに魔法をかけれるのが«魔属性魔法»なんだ」
 「なるほどね…でもどうして兵士は眠ったの?」
 「体内のマナに直接魔法をかけることで属性の付属効果ではなく眠らせることができるんだよ」
 確かに属性魔法を使った時の付属効果として状態異常を起こす魔法はいろいろあるけど«魔属性魔法»は直接影響を及ぼすのか。

 「もうめんどくせぇから全員眠らせるぞ」
 「うん………え!?まっ━━」
 「魔力睡眠スリープ
 私が止める前にダルは杖を地面に突き立てて魔法を唱えた。
 と同時にダルを中心に街全体を覆うほど広範囲の波動が広がった。
 「よし、完了だ」
 しばらくしてダルがそう言った。
 「………へ?」
 慌てて私は<サーチ>を起動させて街全体の人を確認した。すると驚くことに街の住民全員が眠っていた。
 それは朝方だからという訳ではなく、兵士や店の準備に外へ朝の散歩に出ていたはずの人が全員道端に倒れて不自然に眠っていた。
 「うそ……こんなの、どんだけ強大な魔力が必要だと………」
 街全体に魔法をかけるとなると上級魔導師の魔力10人分以上が必要になるはずなのにそれを発動させてもダルは何事もなかったかのようにピンピンしているのだ。
 「さて、行くぞ〜」
 ダルはワハハハと笑いながら城の方へと堂々と歩いて行った。
 私は1回フォックちゃんと顔を合わせてからダルのあとに続いて『ルイム城』へと向かった。

 お城の敷地内に入っても静かで時々道端に警備の兵士さんが倒れて不自然に眠っていた。
 その中を堂々と3人で城の入口まで歩いていた。
 「これって別に日の出前じゃなくても良かったんじゃないの…?」
 「ダルのせいでおもしろくない…」
 「バレる可能性をなくしてやったのにその反応はないんじゃねぇか?」
 そして城の入口の無駄にでかい木製の扉の前に着いた。城門から歩いて5分くらい経ってからだった……無駄に広い…。

 「思うんだけどさ…こんなに大きくする必要あるのかな…?」
 「そうっスね…」
 「まぁ偉大さをアピールするためだろうよ」
 目の前に見える巨大な扉を見あげながら声をもらした。
 「こんな大きくするんなら街の繁栄に協力したらいいのに…」
 「同感だな…ちょっとくらい分けてくれたって良いだろうに」
 「ダル以外の人に配布するのがいいと思う」
 「おい、どチビ、どういう意味だ?」
 扉の前のどうでもいい会話で時間を潰す。
 そのまま実に滑らかな手つきで扉の鍵を開けて扉を開いた。その時間、実に5秒だ。
 「よし、これで大丈夫だ」
 「ダル…どうしてこんなことができるの?」
 「まぁいろいろやりたいことがあってな」
 ちょっと気になったけどほっとこ…いろいろめんどくさそうだ。

 私たちはそのまま城の中へと入って行った。

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