異世界チートで友達づくり(仮)

川添 マカ

前日①

 『ラルズ王国』北地区『ルイム城』玉座の間━━
 「さぁ、計画の進展はどうだ?」
 「はッ、決行日である明日に備えて準備は万全でごさいます」
 そこにいるのは現国王ユゲル・L・フォントラートとその王に仕える暗殺ギルド[夜の支配者ナイトルーラー]のリーダーだった。
 「そうか、邪魔者はどうなった?ヤツらはこちらの計画がもれてる可能性もある」
 「そちらは心配ありません、魔族の男がリーダー格を捕らえたとのことです」
 「よし、ならいい…決して計画の邪魔はさせんように充分に注意しておけ」
 「はッ!」
 そう言い残すと王は玉座から立ち上がり部屋を出て行った。
 その後[ナイトルーラー]のリーダーである男も立ち上がりひと息ついた。
 「フォック…待ってろ……俺が助けてやる」
 その男の声は広い玉座の間の空気に押しつぶされ誰の耳にも届くことはなかった。


 私たちは目的をハッキリさせてからそれを達成するための作戦を街の修復作業をしながら段階的に決めた。
 街の被害はそれほど大きく出ず、だいたい1時間くらいで全地区の修復が完了した。
 その後『集い亭』の2階のアオイが最初にとった一番奥の部屋に再度全員で戻ってきたのだ。

 「ん〜、疲れた〜」
 部屋に入ると私のすぐ隣にいたフォックちゃんが1番にベットへ飛び込んだ。
 「な〜にが疲れた〜だ、お前はなんもしてないだろうが」
 後ろから続いて入ってきたダルが吐き捨てるようにツッコんだ。
 まぁ確かにフォックちゃんはずっと私の側にピッタリくっついていた気がする。その分動きにくかったけどフォックちゃんのちょっと不満そうなムスッとした表情を見て癒されていたのも事実だ…かわいいは正義!
 そのまま流れるようにダルは椅子に私はフォックちゃんをベットの上で膝枕をしてあげて半分フォックちゃんで遊んだ。
 フォックちゃんの耳とか尻尾で遊んでいるとどうやら獣人族にとっては敏感な所らしく、触る度にビクンッビクンッと擽ったそうにしていた。
 か、かわいすぎる!!!

 そんなことをしているとダルが場を仕切るようにパンと手を叩いて話し始めた。
 「さて、まぁ作戦決行時間は明日の早朝が妥当だろうな」
 「え、早朝、深夜じゃなくて?」
 「んんっ、ベルさん…くすぐっ、たい…」
 私はフォックちゃんでちょっと遊びながらダルの言葉に質問した。
 フォックちゃん、その震えて今にも消えてしまいそうな声がまたかわいいので止められないのです。
 ダルが苦笑いを浮かべて説明する。
 「『深夜は全員眠いから狙い安い』って思ったか?」
 「うん」
 「そりゃあ当然深夜は誰しもが眠気に襲われて警備がおろそかになる。だけど今ベルが一瞬で思いついたように警備兵共もその考えにいき着く…当然警備もそれにより強化されるから深夜が1番警備が厚いんだよ」
 「なるほどね…でもだからって早朝だとしても警備が強化されてる可能性だってあるでしょ?」
 警備兵もバカじゃないんだし少し考えればさっきのダルみたいな考えにたどり着くはずだ。
 「それが違うんだな〜」
 「違うって何が?」
 「この国の警備は交代制なんだよ」

 そしてダルが自信満々に説明してくれた。
 「この国の警備兵は大きく2つの班に分かれてるんだよ、朝方から日が暮れるまでの警備をする班、日暮れから朝方までの警備をする班って感じにな。その班の入れ替わる前を狙うんだ」
 「入れ替わりの時じゃなくて?」
 「お前は約半日ずっと途方もなく監視する仕事で疲れないのか?」
 「当然疲れるよ…でもアオイが来てから楽しくなって仕方なかったなぁ」
 「色気話は今はいい」
 「あ・・・」
 つい声にまで出してしまった…アオイに聞かれてなかったことだけが救いだ。
 「まぁ当然どんな仕事でも疲れが出る、だからその疲れがピークに達している交代前の時間帯に攻める」
 「なるほどね、分かった」
 「よし、じゃあ決まりだな」
 「そんなことよりさ〜」
 立ち上がろうとするダルを呼び止めてうっすら気になっていたことを聞いてみることにした。

 「ダルってなんでそんなことまで知ってるの?」

 ずっと気になっていたのだ。この国の警備兵が交代制だということも知ってたし攻め方についても詳しかった。どうしてそんなことまで知っているのかが不思議で仕方なかったのだ。
 そしてダルは笑顔で胸に拳をドンとついて答えた。
 「これが情報屋ダルさんだよ!」
 その笑顔はどこか寂しげで無理をした感じの笑顔だということがすぐに分かった。
 以前に自分でもしていた笑顔だったから。


 私たちはそれぞれが必要な物の調達のため街に出た。
 ダルはというと━━
 「すまん、俺金ねぇからいろんなつて辿ってどうにか金貸して貰ってくるわ」
 ━━と言って1人先に出て行った。まだ何も懲りていないらしい…。

 私たちは2人で万事屋にきた。
 万事屋はいろいろな日常品から冒険に使えるアイテムまでなんでも揃っている。
 そこで私はロープや«初級回復ポーション»、状態回復に使える«万薬クリスタル»をいくつか買った。

 «万薬クリスタル»…魔力を流し込むことで使用者の状態異常を全て回復する。

 回復ポーションは初級、中級、上級、特級に分かれていて上にいくほど多く回復できるのだ。
 この後に防具や武器をひと通り揃えようと思ってるから安いのをいくつか買うくらいにしたのだ。
 そして他にもいろいろと買い揃えてから私たちは万事屋をあとにした。

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