異世界チートで友達づくり(仮)

川添 マカ

消失①

 「アオイ、本当にいいの?」
 「おう、思い切ってやってくれ」
 ベルが心配そうに確認をとってきたのに対して俺は割と笑顔で答えた。このやり取りももう3度目程にもなる。
 「あの、アオイさん。一体何をするんスか?」
 何度も繰り返されたやり取りに頭の中が「ハテナ」でいっぱいになったのかフォックがついに疑問をぶつけてきた。
 「ちょうどいいや、そっちの3人はラスボスとの戦闘に挑むみたいに戦闘態勢バリバリで待機しておいて」
 「え…な、なんでっスか!?」
 「いいからいいから、死んじゃうよ?」
 「あわわゎ、先に言ってくださいよ〜、」
 「ちょ、ちょっと待ってろ、今から準備してくる!」
 「え?あ、ヒルねェ待って〜私も〜!」
 3人とも俺の言葉に動揺してヒルメとリーシャは店の奥の加工場へと走っていった。
 脅しってこんなにも効果あるんだ…ちょっと盛りすぎたな。

 しばらくしてヒルメとリーシャが戻ってきた。
 ヒルメが片手剣と盾、リーシャが長槍を持ち2人とも銀のガチガチの鎧を装備していた。
 よっぽど俺の言葉が怖かったらしい…見るからに動きずらそうに歩いていた。
 「よし、俺達もやるかフォック」
 「はいっス」
 そう返事をしてフォックは大きな深呼吸をして俺と同時に唱えた。
 「ウルフルメイル!」  「神力じんりき解放!」
 それと同時に俺の«アインイヤリング»とフォックの«色彩の腕輪»が光出し封印が解けた。プラス俺は<神眼>も起動させた。

 「ふぉえ〜…」  「何、この力…」
 ヒルメもリーシャもこれにはさすがに驚いたらしい。よく見ると目が少し光を放っていた。
 『スキル<鑑定>を習得しました』

 スキル<鑑定>…相手のステータス情報を見ることができる。任意発動。

 やはり<みきり>が発動してたのか。
 俺のこの<神化>はスキルでの直接的な発動もできるしさっきのようにイヤリングに唱えることでの発動もできるのだ。
 え、なんでスキルを使わないかって?
 たまには技名を言いながら発動させたいじゃん?そっちの方がなんとなくカッコイイっしょ?
 これだけだと俺って結構いたいヤツになるよな…と、とにかく!俺は驚いてるんだ!
 なぜなら━━
 「フォック、お前それ…」
 「あ、はい。神殿でスキルの使い方を教えてもらったっス」
 フォックの姿が全身狼ではなくて手足の付け根あたりまで狼の姿になり、髪が全体的に伸びて毛深くなっていた。
 フォックの割と希少な固有スキルの使い方を教えるとは…ますます俺も行ってみたくなったな。

 「2人とも凄いよね〜」
 ベルが半笑いでユンベット姉妹に声をかけていた。俺からしてみれば魔法の操作性に関してはベルに勝てる気がしないのだが…。
 しかも精霊族エルフ混魔族ディーマンといった種族は最上位になると魔力の量の上限が無くなるらしい。そのため“魔力切れ”という概念が存在しないとか…。
 確かダルがそんな感じだったな、アイツが最上位のディーマンとか…世も末だな。

 そんな事を思っている間にもユンベット姉妹とベルの会話は続いていた。
 「ステータスの数値見ただけで驚きましたよ。この国にこんなステータス持ってる人なんてそうそういないですから」
 「コイツら一体何者なんだよ」
 「あははは、ちょっといろいろね…」
 ベルがぎこちなく答えていた。
 確かに<神眼>っていうチートすぎるスキルを持って神の力を手に入れた俺と、人体実験によって獣王となったフォック…説明するのすら面倒なメンツだ。プラス、エルフに追われるハーフエルフ。
 凄いとしか言い様がないな…。

 「そんな2人と行動してるんだからベルさんも実はすごい人なんでしょ?」
 「え!?そ、そんな事ないよ!」
 「怪しいな、いいからみせろ」
 「あ、ちょっと、ステータスはダメェェエエ工!」
 ベルが慌てている理由はハーフエルフであることがバレるからだろう。フォックもどうすることもできずあたふたしていた。
 そんな状況にも関わらず俺はいたって冷静だった。なぜなら━━
 「やっぱすげぇじゃんよ〜!」
 「確かに、人間ヒューマンでこの魔力量は異常値です。さすがに驚きました」
 「え、ヒューマン…?」
 『俺のスキルでステータスいじっといたから心配ないぞ』
 状況が一切のみ込めない様子のベルとフォックに俺は<テレパス>を使って知らせた。

 スキル<偽装>…ステータスや様々なものを偽装することができる。半永久発動。

 昨日の夜にベルが寝たあとに使っておいたのだ。
 俺みたいな固有スキルでステータスを見れるヤツがエルフにいたら耳を隠していても速攻でバレてしまう。
 だからこの黒マントから習得した<偽装>で嘘のステータスを偽装しておいたのだ。
 どっちにしろベルがエルフであることを知ってる人は制限しておきたかったしな。

 「さてと、準備も整ったことだし、ベルそろそろいいぞ」
 「ホントにやるんだね…」
 そう言いながら渋々手を柱に巻いたロープの方にかざして静かに唱えた。
 「<サーチ>………」
 そしてしばらくしてからもう一度別の言葉を今度は力強く唱えた。
 「«転移»!」
 そして柱のすぐ側が眩しく光出した。

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