異世界チートで友達づくり(仮)
愉快な日常③
「金髪ロリっ子ならまだ寝てるぜ」
今日一度もスサラを見てなかったので聞いてみるとダルから予想通りの回答が返ってきた。
「起こそうって思ったんスけど気持ち良さそうに寝てたので悪いと思ってそのまま寝かせてきたっス」
フォックが自分の寝顔投影紙をビリビリと細かく入念に破りながら付け足してくれた。
フォックにバレないようにしないとな…。
フォックの言葉に納得しながら俺はそう思ったのだった。
「今日はみんなどうするんだ?」
「私は特に予定はないよ」
ベルが即答した。
「僕はちょっと装備を整えたいっスね」
「あ〜、そっか…あれから行けてないもんな」
フォックの装備を整えるために店に向かっている途中に黒マントの集団に襲われたもんな〜。
そういえば、あの時感じた殺気の正体はなんだったんだ…?まぁ今更気にしても仕方ないか。
「俺はちょっと新しい商品が入ったから市場で売りさばこうって思ってるぜ」
「そうか、お前本職って行商人だったんだな」
「何気に酷くね!?」
すっかり忘れてた…そういえば、まだスサラ見せる報酬の情報もらってないな。今日の夜でも聞き出すか…。
「じゃあ俺はフォックの装備を整えたらそのまま万事屋に行って必需品を揃えるわ。ついでに俺も新しい装備買わないとだしな」
「ありがとうございます。僕は装備を買った後、冒険者登録をギルドで済ませてくるっス」
「私も行く〜」
そうして今日はそれぞれが行きたいようにしたいようにすることになった。
「さて、俺達もそろそろ出るか」
「そうっスね」 「りょーかい」
俺は朝食を済ませてから席を立ちながらフォックとベルに声をかけた。
ダルはひと足先に準備があるとかで先に宿を出ていた。後でダルの店も気になるので行ってみることにする。
俺はメイさんに「スサラが起きたら買い出しに行った」と伝えてもらうように頼んでから宿を後にした。
外はいつもの調子だった。
多種多様な店がずらりと大通りに並びたくさんの人で賑わっていた。
俺達が向かっているのは安くて品質の良い商品があると評判の鍛冶屋だ。
ちなみに情報源はダルだ。
アイツは情報屋も兼任しているからこうゆう情報をくれるのは結構ありがたい。
後でダルの店で買い物でもしてお礼しねぇとな。
ダルが教えてくれた鍛冶屋は宿屋『集い亭』から歩いて15分くらいの場所にあった。
鍛冶屋『ユンベット店』。鍛冶職人のユンベット姉妹が2人で切り盛りしている店らしい。
親切に接客してくれるため一部の人の中では有名な店になっているから超おすすめだとダルは言っていた。
中に入ると手前の方が様々な武器や防具が並べられている普通の雑貨店のような内装だった。
『コルベ村』のリープス兄妹と似たような感じで奥の方が加工場となっているようだ。
「すみませーん」
店に響くようにちょっと大きな声で呼ぶと奥の加工場の方から誰かが出てきて加工場への入口の壁に右手をついて立ち止まった。
その人はリープス兄妹達と同じ犬人族の女の子だった。
ドワーフは歳をとっても姿は子供のままだそうなので見た目で年齢を判断するのは不可能だ。
褐色の肌に華奢な体つきの上に黒のタンクトップ。ズボンはぶかぶかだがふくらはぎ辺りで縛られて足袋を履いていた。手には大きなグローブを付けていた。
服装だけで職人だというのが伝わってきた。
髪は橙色の男のようにサッパリした短髪。顔つきはキリッとしていて髪型と合わせてどこか男らしさもあった。
フォックのように美少年と言われても信じちゃいそうな雰囲気だった。
その顔はどこかまだキョトンとした表情で俺達を視界にとらえていた。
この視線は若干コミュ障の俺には少々キツいものがある…!
「あ…あの、俺達ダルか━(ボゴッ)」
━━━ドゴォォォォォオン!!!
「ダルはどこじゃあぁぁぁぁああ!!!」
俺が若干コミュ障なりに事情を説明しようとすると急にドロップキックがとんできてそのまま店の入口横の木造の壁に衝突して爆音があがった。
「(バキベキ)っつ〜…急に何すんだぁぁぁ!」
上にのった木片を退けながら俺は元いた場所を見るとさっきまでキョトンとしてたはずのドワーフの女の子が仁王立ちで腕を組んでいた。
「テメェらの親玉のダルのバカはどこだァ!」
「ちょっとヒルねェ、お客さんだよ?」
暴走しているヒルねェとかを止めるためにもう1人奥の加工場から出てきた。
髪色肌色、服装は1人目と全く一緒の色をしていたが、顔つきは女の子らしいながらも元気が溢れて明るい印象だった。
簡単に例えるなら委員長にいそうな感じだ。
体型は割と胸が出て腰はキュッと引き締まっていえスタイルは抜群に良かったがドワーフのため身長が低いのが残念だ。
ていうかドワーフで胸があるのって結構おかしいんじゃないの…。
「だってよリーシャ、コイツらあのバカの家来だぞ?まともに相手できるかよ」
「それでもちゃんとお金払いに来てくれたんだよ?それだけでもありがたいんだから感謝しないと」
「そもそも本人が返しに来ないって何考えてんだよ、失礼にも程があるだろ!」
「あ、あの〜…」
2人が何やらもめている中にベルが声をかけた。
俺だったら絶対にできない芸当だ。ベルのコミュ力大いに高し…!
なんか聞き覚えのない単語が出てきたけどまぁいいか。
2人目の方が改まって俺達に一礼をした。
「私の名前はリーシャ・ユンベットといいます。で、こちらが双子の姉のヒルメ・ユンベット」
その紹介されたヒルメは腕を組みそっぽを向いてあからさまに不貞腐れていた。
「私はベル・アークス。そしてこっちが━━」
「フォック・マル・バルクスです」
ベルとフォックもお辞儀をしながら自己紹介をした。俺も立ち上がって服のホコリを払いながら名前を言った。
「先程は姉が大変失礼しました。それでは…はい、」
そう言ってリーシャが笑顔で俺に手を差し出してきた。
「………はい?」
当然こうなる。俺はいたって普通だと思う。
「お預かりしますよ」
「…………えっと〜、何をですか…?」
「何って、金だよ金!」
ベルもフォックも何を言っているのか分からず首を傾げていたので思い切って聞いてみると先程まで不貞腐れていた姉のヒルメが怒鳴りながら教えてくれた。
いや〜、そんな怒られてもなにがなんだかわからない状況なんだよな…。
その後コミュ力モンスターのベルの力をかりて何とか事情を聞き出すことに成功した。
どうやらダルはこのユンベット姉妹から多額の借金をしていたらしい。
そして今日手紙で「俺の家来が返しにくるからよろしくな」と知らされていたらしいのだ。
つまり、全ての原因はダルである!
「クソッ!ダルの野郎…よくも騙しやがったな!」
そう垂らしながらヒルメはカウンターの机の端を蹴っていた。
こやつ、ホントに女子か…?
「もうヒルねェ、店の物また壊さないでよ?」
どうやら常習犯らしいです。
リーシャは本当に委員長みたいだな…双子の姉妹ってこうも性格が分かれるものなのか…?
まぁ今はそれは置いとくとしてダルだよな。
俺らに熱心にすすめてきた理由が借金の返済のためだったのか。
よりにもよって借金取りの俺に借金の肩代わりをさせるとは…喧嘩売ってるとしか考えらんないな。
さて、どうしてくれよう…。
まぁとりあえず拷問するか。
「ベル、ちょっといいか?」
俺はベルに俺の考えてるアイディアを耳打ちした。
「う、うん…分かった。でも本当にいいの?」
「当然だ。これくらいの報いを受けてもらわねぇと」
俺達のやり取りをみて他の3人はなにがなんだかわからないように首を傾げていた。
ベルに耳打ちで伝えてから俺は準備を始めた。
アイテムストレージからロープを取り出して店の中の柱に少し緩めに巻き付けてそのロープの端をしっかりと握った。
これで準備は完了、あとはベルの仕事だ。
「ベル、準備できたぞ」
「了解、あとは任せて!」
さぁ、処刑の時間だ。
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