異世界チートで友達づくり(仮)

川添 マカ

幼女スサラ③

 お願いとは何なのだろうか…。
 そう思い少しばかし緊張して息を呑んだのはわずか数分前の俺である。
 そしてその“お願い”というのを言うためゆっくりと口を開くスサラ。
 「私と………」
 「………(ゴクリ)」
 「私と…結婚してください!」
 「…………え?」
 予想のはるか斜め上を行く否、はるか上を行く“お願い”に対して気の抜けた反応しかできなかった。
 ━━━バリ…バリバキ
 俺が少々動揺した直後木材がゆっくり割れるような音がした。
 その音を発生源に視線を向けるとそこには先程まで顔を床にめり込ませていたダルがゆっくりと上体を起こしていた。
 「お、おい…ダル?」
 起き上がっても顔を俯かせたままでなにも言わないダルが少々怖くなったので、呼びかけをしてみるも一切の反応をみせない。
 ダルに近づくと何やら息をゆっくり吸い込んで「すぅぅゥぅ」という音が聞こえた。
 「ダル?」
 手を出そうとすると急に上を向いて息を吸い込む音が一瞬消えたと思った時…。
 「恥じらい金髪ロリっ子きたぁぁぁぁぁ!!!」
 叫んだ。
 その後のしばしの沈黙…。
 呆気に取られていた俺は正気に戻りダルの上を向いたままの顎に思いっきり膝蹴りを横からいれた。
 そのままダルの後方にあった木製の扉にものすごい衝撃音とともに頭だけを外へ出すという不格好な体勢になった。

 数分前━━━
 ベルとフォックは神殿でのスキル昇格を終わらせて宿屋『集い亭』に向かっていた。外に出た時には既に外は日が沈み暗くなって街灯が綺麗に灯っていた。

 「もぉ…僕疲れたっスよ〜」
 「フォックちゃん何があったの?」
 フォックちゃんはそれぞれがスキル昇格を済ませて最初の広間で合流した時からなんだかものすごく疲れていた。
 一体何があったんだろ…。
 「ん〜、世の中にはいろいろな人がいるなぁって実感したんスよ…」
 何があったんだろ…。
 「まぁマーラさん優しそうな人だったからいろいろ可愛がってもらえたでしょ?」
 マーラさんは見た感じでも清楚さの中に大人の魅力のようなものを兼ね備えている感じだった。
 「はい…まぁ、可愛がられましたよ…それはもう十分にすぎるくらいに…」
 のはずなのに、何故かフォックちゃんは斜め下に視線を落としながら苦笑いをうかべていた。
 ホントに何があったの?フォックちゃん…。

 そんなこんなやり取りをしているうちに宿屋に着いた。
 宿屋の中に入るとメイさんがモップで客席付近の床の掃除をしていた。
 「ただいま〜メイさん」
 「あら、おかえりなさい二人とも。随分と遅かったわね」
 「まぁいろいろありまして」
 そう言って少し照れくさくなり頭をかいた。
 そしてメイさんは私の服の袖を隣で引っ張っているフォックちゃんに近づいて優しく言った。
 「フォックちゃんもおかえり」
 「………(コクリ)」
 どうやらまだ少し緊張しているらしい。
 無言のまま不安顔で頷くフォックちゃんを見て少しキュンとしたのは黙っておこう…。

 それよりフォックちゃんもメイさんと打ち解けて欲しいんだけどなぁ、なんかきっかけでもあれば…と思いながら辺りを見渡すとあるものが目に入った。
 「そういえば今お掃除しているなら私達も手伝いますよ」
 家事手伝いはフォックちゃんの得意分野だ。これできっかけを作れれば少しはメイさんへの警戒心もなくなるはず。
 「あら、全然大丈夫よ。一人で事足りるから」
 「いえいえ、そんな事言わずに」
 引き気味のメイさんにさらに声をかけながら先程まで掃除をしていた場所へ行く。
 そこには掃除中の血で染った床とそのすぐ近くによく見ると「メイさん」と書かれていた。

 「……………」
 言葉を失った。が、直ぐに正気に戻りメイさんに恐る恐る聞いた。
 「メイさん、ここで一体何が…?」
 「ん〜、乱闘?」
 指を顎に当てて頭の上に「?」マークでも浮かびそうな程首を傾げていた。
 「あは…あははは、まぁ乱闘なら宿屋のホールでは付き物だよね」
 なんだ、良かった…てっきり殺人事件でも起きたのかと思ったよ。心配して損した。
 「というか、アオイ君の一方的な殺戮?」
 「………ダメじゃん!!!」
 そう言った時に2階から大声が聞こえた。まさか拷問でもしてるの!?
 そう思いフォックちゃんを呼んですぐに2階へと走っりだした。
 急がないとアオイが犯罪者になっちゃう!急いで、急いで止めないと!
 そう思いながら部屋の扉のドアノブに手をかけた時だった。

 ━━━バキンッッ!
 その音とともに人の顔(生首)が扉を突き破って出てきた。
 「ヒッッ!…」
 その直後恐怖のあまり記憶にはあまり鮮明には残っていないけど私とフォックちゃんは悲鳴を上げ半泣きになりながらその顔を殴り続けていたところをアオイに止められた。

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