異世界チートで友達づくり(仮)

川添 マカ

VS フォック②

 俺が<神化>を使うとナグナルトは恐怖していた。尻もちをつき目を見開いていた。
 「こ…こんな魔力…あの方以外に…いるはずが…」
 どうやらあの方というのも人知を超えた強さを持っているようだ。
 だが、その言葉がアオイの耳に入ることはなかった。
 自分の手錠を破壊した後、俺はベルの手錠の方に手を向けた。
 と同時に手錠が弾け飛ぶ。
 この姿の時だけの固有スキル<支配>だ。

 固有スキル<支配>…世界に存在するありとあらゆるものを自在に操る事ができる。それは人の意識も同様である。任意発動。

 いわゆるチート級スキルだ。
 神の力をそのまま受け取った為、世界の支配権を得る事が出来たのだ。

 手錠を破壊後ゆっくりとナグナルトの方へと歩いて行く。距離でいうとだいたい5m程の距離があった。
 ゆっくりと近づいて行くとナグナルトが立ち上がり機械の方へと走って行った。
 そしてパソコンのようなものをいじり始めた。
 俺はナグナルトの方に行くでもなくフォックのそばまで来て手を差し伸べた。
 フォックの顔に手が触れそうになった時に眠っていたはずのフォックが急に目を覚ませた。
 と同時に俺を吹き飛ばした。
 咄嗟の事で反応出来ずに壁まで一気に吹き飛ばされた。
 「アオイ!」
 ベルの叫び声が聞こえたが心配は無用だった。<衝撃耐性>と俺の防御力で痛みは全くといっていいほどなかった。

 視線を戻すとフォックが目を覚ませて手術台の隣に立っていた。
 目は赤くとてつもない殺意を帯びていた。
 それを見てナグナルトが大声で笑いだした。
 「コイツにもう自我はねぇよ!!!俺のただの戦闘用の武器だ!!!」
 「フォック…」
 恐らく実験の際、脳に何らかの異物を入れられたのだろう。
 早くあの野郎ぶん殴らねぇとフォックが正気に戻れないかもしれねぇな。
 そう思い俺はナグナルトの方に思いっきり跳んだ。一瞬にしてナグナルトの真ん前まで接近する。俺の元いた場所は陥没している。知ったことか!
 思いっきり殴ろうとした時のほんの一瞬俺は減速した事が仇となった。
 右拳を体全体で振りかぶった時、横から何者かに突進された。
 フォックだった。
 ーーーはえぇ!!!!!
 いくら減速したといっても神の姿の状態でだ。とても追いつけるスピードではない。
 俺はまたしても吹っ飛び勢いよく壁に衝突した。
 物理的なダメージはないが友達に殴られているという友達いない歴=年齢の俺だからこその精神的ダメージがある。
 状況が状況だから仕方ないか…。

 そんな事を思っているとナグナルトの“殺せ”という命令を聞き、フォックが俺に襲いかかってきた。
 一瞬にしてフォックの姿が消える程のスピードだ。
 やはり速い…。
 俺の<神眼>はどんなに速い動きでも一切見落とす事がない。
 だが今俺達が戦闘を繰り広げているのは明かりの少ない地下だ。
 暗視もできるがフォックのスピードに視界不良は結構危ない。
 明るくするか…。
 「«フルライト»!」
 光属性の初級魔法だ。拳サイズの光源を生み出す魔法だ。
 一瞬にして部屋が明るくなった。
 何も無い長方形の部屋だった。部屋の一角にエレベーターのようなものがあった。大きさはだいたい体育館よりちょっと小さいくらいの広さだ。
 これで上手く避けられる。
 だがスピードが変わった訳ではない。少しでも気を抜いたら当たって吹き飛ばされそうだ。
 仕方ない…。許してくれ。
 そう思い俺は反撃を試みた。本気を出したらさすがに俺の方が速かった。
 その勢いにのせて殴ろうとした時…

 「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 ベルの声だった。
 その声とともに俺は一瞬脳裏に今までのフォックの顔が過ぎった。
 その一瞬の油断のうちに俺はフォックの横なぎをまともに受けて飛ばされた。
 「クソッッ!妙なもんが邪魔しやがる!」
 起き上がるとすぐにフォックが襲いかかって来た。
 クソッッ!避けるのに精一杯だ!
 脳の中に入れてあるであろう制御装置を取り除こうにも集中力が足りない…!
 脳の中の物体の支配ともなると相当な集中力がいる。この戦闘の中じゃ到底無理だ。
 どうする!どうする!どうする!

 俺が一旦フォックの射程から距離を取った時
 「アオイ!私に任せて」
 声がした。いつも聞き慣れている声だった。
 声のする方を見るとベルがゆっくりフォックの方に近づいて行っていた。
 「ベル!危ない!下がってろ!」
 慌てて声をかけるがベルは足を止めなかった。
 「大丈夫…私に任せて」

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