異世界チートで友達づくり(仮)

川添 マカ

決意①

 カメル村長はベルに全てを話した。
 カメルがベルの祖父である事、ベルの母親がエルフである事、ベルの両親がエルフ族によって殺された事、ベルの本当の力の事、そしてベルがエルフ族に狙われる存在である事。
 ベルはそれを聞いて驚きを隠せずにいた。
 俯き、両手を膝の上にのせて小刻みに震えているのが横目でも分かった。
 カメルが話し終わった後にケイルがつけ足すように話始めた。
 「そして私は護衛役として国から秘密裏に派遣されたの…ハーフエルフはこの世界に2人といない特別な存在だからね」
 カメルとケイルの衝撃すぎる告白の後にはしばらくの沈黙が続いた。
 ベルはまだ小刻みに震えている。
 しばらくしてカメルが口を開いた。
 「ベル…お主の封印を解くのは簡単じゃ。ただ解くかどうかはお主が決めるがよい。」
 そしてその言葉を聞いてベルが顔を上げる。
 「うん!じゃあちょっと1日考えてみるね」
 そこにはニッコリとしてとても明るいいつも通りのベルがいた。
 そして立ち上がり俺に「先に帰ってるね」と言って村長の家を出ていった。
 俺も立ち上がり家へと向かおうと一礼し出ようとした時にカメルが言った。
 「アオイくん」   「はい?」
 「…ベルを頼んだぞ」
 「もちろんですよ」
 明るくそう答えて俺は村長の家を後にした。

 道中、俺はいろんな事を思っていた。
 ベルのあの時みせた笑顔は奥がよめなかったのだ。いつもは純粋で自然にみせる笑顔とは明らかに違っていた。
 あれ笑顔にはかつて見覚えがあった。毎日向けられていた笑顔。
 高校に入学してクラスの輪に入るため必死にクラスメイトに声をかけてまわった時に相手がみせた笑顔。恐怖の笑顔。
 散々みてきたからよく分かっていた。それなのにあの時ベルに一声入れられなかった自分に腹が立つ。
 そんな事を思っているうちに家に到着した。

 扉をゆっくりと開けながら「ただいま〜」と声をあげる。
 リビングに行くがそこにはベルの姿はなく灯りさえもついていなかった。恐らく寝室だろう。
 そう思い寝室に行きドアをノックしようとした時に中から声が聞こえた。
 いや、声というよりこれは……泣き声だった。
 それもそうだ…。両親に会いたいと願っていたのにその両親がもういないと告げられて平気でいるはずがない…。
 俺はそのままベルを一人にしてあげることにした。

 俺は装備を外し、家の外の寝室の部屋の壁に背中をもたれて座っていた。
 部屋の中からはベルの泣き声がまだ聞こえてくる。
 しばらくすると森の方から«クレーバーモンキー»が一匹俺のそばまでよってきた。
 「主様、気分ガ優レナイ様子デドウカナサイマシタカ?」
 今日のやつだ。俺が勝手に『キー』と呼んでいる。
 「なんでもないよ…それと今日はありがとう、助かったよ」
 「イエイエ、滅相モゴザイマセン」
 そう言って頭を垂れるキーにひとつ質問をしてみた。
 「キーの…両親は今どうしてるの?」
 「私ノ両親ハ、10年以上前ニ他界シマシタ」
 「そーなのか…」
 みんな辛い過去を持っているんだと実感した。

 家に帰った俺は晩御飯の支度を始めた。
 この世界の食材がどんなものか理解はしていないのでベルの持っていたこの世界の料理本を見てみることにした。
 何か作れるものはないかと思い、ひととおり全部のレシピを見ることにした。
 分かった事はこの世界の料理はアメリカが主体となって作られていた。
 いわゆる洋食がほとんどだったのだ。
 全部のレシピを見終えても日本食のレシピが一切なかったのだ。ちょっとショック…。
 『スキル<料理>を習得しました』
 うん、チートバンザイ!
 俺の家は極道ということもあり日本家屋で毎日の料理がほとんど日本食だったからそれぐらいしか作れないんだ。
 だから日本料理をこの世界でやってみることにした。

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