異世界チートで友達づくり(仮)

川添 マカ

前夜②

 俺はひとりコルベ村の夜道を歩いていた。
   どうしても確認しておきたいことがあったのだ。
 目的地の家に着くと俺は3回程ノックをして扉の奥にいるであろう人物に声をかけた。
 「アオイです。夜分にすみません。どうしても確認したいことがあって来ました」
 すると扉が開いてお目当ての人物が出てきた。
 「おぉ来ると思っとったぞ。まぁ入んなさい」
 なんでもお見通しのような感じで家の中に招き入れられる。
 その人物の名前はカメル。この村唯一の精霊族エルフでありコルベ村の村長である。
 「お邪魔します」
 「まぁ座んなさい」
 いつも村長が座っている机と向かい合わせになったソファに腰をおろした。

 村長がテーブルに座った時に俺は話を切り出した。
 「今日訪問したのは他でもありません……………ベルのことです」
 「やはりな……気づいてしもうたか…」
 「あいつのステータスには半精霊族ハーフエルフと書かれていました。この村にいるエルフはあなただけです。話してもらえますか?ベルのこと」
 少しの沈黙のあと、カメルは口を開いた。
 「ベルは…………わしの孫じゃよ」
 予想外すぎる言葉に動揺を隠せなかった。
 「お主には全部を話そう…わしと…それとベルの過去を…」
 それからの話はとても壮大なものだった。

 「わしは元々エルフの村に住んでおった。とても幸せな家庭じゃったよ。わしには妻とひとり娘がおった。娘の名前はヘルン…ベルの母親じゃ」
 「じゃあ、ベルの母親はエルフ…」
 「そうじゃ…エルフには破ってはならぬ絶対的な掟があるんじゃ。その掟というのが[誇り高き精霊族は他種族との交際を認めぬ]という掟じゃった」
 「そんな理不尽な掟…あっていいもんなのか?」
 「理不尽と考える者もおれば慈悲深いと思う者もおるだろう…エルフは他種族の中で最も長寿の種族なため生涯愛し続けようと誓った相手がすぐに命尽きてしまう。それを見越した上での掟なんじゃ」
 そりゃそうだ…。日本が誇る最強の極道といわれる親父でさえ、母の死はキツいものだった。
 愛する者を失って悲しまない者はどの世界にもいないのだ。
 「だがの…ヘルンはその掟を破り人族との子供を身に宿してしまったのじゃ」
 「それが…ベル」
 「そうじゃ…エルフは掟を破った者に容赦はしなかった。最も誇り高き種族じゃからな。掟を破った者に与えられるものは……『死罪』」
 「そこまでやるのか…」
 「うむ…ヘルンはベルを産んですぐに殺され、相手の人族も同様に殺された。わしは殺されかけるベルをかばいエルフの村を永久追放。そしてエルフの村の真反対のこの地に新しく村をつくったのじゃ」
 「………………」
 話が壮絶すぎてなにも言えなかった。

 だが、それと同時にひとつの疑問が生まれた。
 ベルから聞いた話だとエルフは元々魔力の最も高い種族のはずだったのだ。
 「ベルがハーフエルフなのは分かりましたけど…ベルの魔力は常人以下です。エルフの血をひいているのならどうして魔力が高くないのですか?」
 「実はな…ベルの中にあるエルフの遺伝子をわしが封印しているからなんじゃ」
 「封印…?」
 「そう…ベルはまだエルフの民に狙われてるという現状じゃ。じゃからベルの中のエルフの遺伝子そのものを封印したんじゃ」
 「ベルに過去のことは…?」
 「話しておらん…この話をするのはお主が初めてじゃ」
 ベルは自分の過去を知らない…。自分の両親の本当の事情を…。
 「あの……ベルに話してはもらえませんか?過去のこと」
 「話したらショックでエルフに恨みを募られる可能性がある…自分でわざわざ戦場へと行きかねん。ベルはか弱い少女じゃ。お主はベルにそれを望むのか?」
 「…ショックが大きいのは重々承知しています…俺も同じだったから…。でもそれ以上にベルには自分の過去を知る義務がある。受け止めなくちゃいけない事なんです」
 「封印を解けばベルはエルフの遺伝子が表にも出て一目でハーフエルフだと分かるのじゃぞ?狙われないわけがなかろう」
 「あなたはベルがか弱い少女だとおっしゃいましたが、ベルは十分強いです。それを証明します」
 「証明…?」
 そして俺は立ち上がりカメルに手を差し出した。
 「ひとつ賭けをしてみませんか?」
 「賭けじゃと?」
 「はい…俺が勝ったらベルは弱くないと認めて封印を解き過去のことをアイツに話してください」
 「ほぅ…わしが勝ったらどうなるんじゃ?」
 「俺のこの力を好きなように使っていい権利をあげますよ」
 そう言って俺はステカをカメルに差し出した。
 「なんとッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????」

 しばらくして賭けは成立したのだった。

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