無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。
四章 5 『狼人族の脅威』
シャムミルの村を救うと決めたタクミ達。迅速に支度を終わらせ、確保した宿に泊まることなく後にした。外に出ることには日は沈み夜を迎えていた。街灯もない街をうろつくような人もおらず、昼間の町とはすっかり雰囲気が違うものに変わっていた。
タクミ達はシャムミルを連れグリドラをつないであるある町の入口近くの小屋へと足早に向かっていた。
「すっかり暗くなっちまったな・・・少しでも早くシャムミルの村に行かないとな!シャムミル!最短ルートで案内よろしくな!」
「は、はい!頑張ります!」
シャムミルの顔がしっかりと前を向いている。幼いながらにも覚悟を決めたかのように凛々しいものだった。
小屋に到着したタクミ達はそれぞれグリドラに乗りシュナイズの町を後にした。シャムミルはアイズの前に座るように乗り合わせている。
「ここからどっちに向かっていけばいいんだ!?」
「こっちです!」
アイズがシャムミルの案内を聞き先陣をきって走っている。澄み切った星空の下疾走するタクミ達。状況が状況でなければ気持ちの良いものだったのかもしれない。しかし今は一刻を争うように走っている。
シュナイズを出発して少しすると
「・・・っ!アイズさん!」
「・・・まったく。今日は本当によく後をつけられる日だ」
何かを聞き取ったようにシャムミルが叫んだ。アイズの言葉にタクミ達も後ろから迫ってくる何かに気づいた。
振り返ると影が二つタクミ達を追うように走ってきている。グリドラではない影だ。
「なんだあれは!?すげー勢いで追ってきてるぞ!?」
「この状況で私たちを追ってくる者といえば姿を見らずとも予想は出来るさ」
「・・・!まさか!?」
改めて後ろを確認するタクミ。迫りくる姿を今度ははっきり確認できた。昼間あった狼人族の二人だった。
狼人族の二人は何かに乗っているわけではなく、自らの足で走りタクミ達に迫ってきていた。
「マジかよ・・・あいつら普通に走ってきてるぞ!」
「奴らは亜人族だ!亜人族は身体能力がそれぞれ違いはあるが普通の人間より高い!奴らの移動速度はどうやら私たちのグリドラよりも早いようだ!このままでは追い付かれるぞ!」
「だったら邪魔するしかないわね!」
ローゼが叫んだ。
「ベルトールの名において命ずる。我が中に眠りし業炎ごうえんの力よ、今その力をここに示せ!」
グリドラに乗った状態でローゼが紋章術を発動させた。暗闇の荒野の中ローゼの体が赤く光を放っている。ローゼが右手を迫りくる狼人族の二人の方に向けた。
「炎上壁ファイアーウォール!!」
次の瞬間タクミ達と狼人族の二人との間に地面から広範囲に炎の壁が勢いよく現れた。炎の壁は高く厚いもので簡単に突破できそうなものではなかった。
狼人族の二人の姿は炎の壁を越えてくることはなかった。どうやら足止めには成功したようだ。
「すげーな!!ローゼ!」
「へへっ!私もラザリー姉さんに負けないように頑張ってるんだから!」
ローゼが少し自慢げに笑って見せた。
「確かにあれならそうそう簡単には突破出来ないはずだねぇ・・・普通はねぇ」
サリスが遠くなっていく炎の壁を見ながら呟いた。
「サリス・・・?それってどういう意味だ?」
タクミが振り返ると勢いよく燃えさかる炎の壁を二つの影が飛び越えてくるのが見えた。炎の明かりではっきりと確認できた。
「・・・っ!あの壁を飛び越えやがったのか!?」
「嘘っ!?5メートルはあったわよ!?」
「狼人族というのは取り分けて身体能力が高いようだねぇ」
炎の壁を飛び越えてきた狼人族の二人は今度は二足歩行から両手を地面につきまるで獣のような姿勢で走り出した。
その姿まさに狩を行う狼そのものだった。走る速さは二足で走っている時よりも早くなっていた。
「おいおい・・・あれが本気ってわけかよ!狼人族の名も伊達じゃないってことだな」
「タクミっ!感心してる場合じゃないわよ!あれじゃ壁をいくつ作ってもすぐ越えられちゃうわ!」
「・・・シャムミル!シャムミルの村はこの方角を行けばいいのか!?」
タクミが先頭を走っているシャムミルに問いかけた。
「はいっ!私の故郷のキャトルの村はこの方角を真っ直ぐです!距離はあと半分くらいです!」
「そうか・・・ならなんとか行けそうだな!よしっ!」
タクミはシャムミルの言葉を聞いてグリドラを急停止させた。
「タクミっ!?」
ローゼもタクミの行動に少し走って振り返るようにグリドラを止めた。
アイズとサリスは振り返ることなくグリドラを走らせている。
「止まるなローゼ!ここは俺があいつ等を食い止める!」
「そんな!相手は二人いるのよ!?ここは私も残るわ!」
「大丈夫だって!適当に足止めしたらフライの魔法を使って向かうからよ!さすがのあいつ等も空までは飛べないだろ?だからローゼは俺のグリドラを連れて行ってくれ!」
「そう?タクミがそういうなら・・・これだけは約束してね!?絶対無茶はしないでね!」
「ああ!わかってるよ!それじゃあ頼んだぞ!」
タクミはグリドラから飛び降りた。自ら乗っていたグリドラのお尻を軽くたたいてローゼの方へ走らせた。ローゼはタクミのグリドラと共にアイズ達が走っていった方へと後を追っていった。
タクミ達はシャムミルを連れグリドラをつないであるある町の入口近くの小屋へと足早に向かっていた。
「すっかり暗くなっちまったな・・・少しでも早くシャムミルの村に行かないとな!シャムミル!最短ルートで案内よろしくな!」
「は、はい!頑張ります!」
シャムミルの顔がしっかりと前を向いている。幼いながらにも覚悟を決めたかのように凛々しいものだった。
小屋に到着したタクミ達はそれぞれグリドラに乗りシュナイズの町を後にした。シャムミルはアイズの前に座るように乗り合わせている。
「ここからどっちに向かっていけばいいんだ!?」
「こっちです!」
アイズがシャムミルの案内を聞き先陣をきって走っている。澄み切った星空の下疾走するタクミ達。状況が状況でなければ気持ちの良いものだったのかもしれない。しかし今は一刻を争うように走っている。
シュナイズを出発して少しすると
「・・・っ!アイズさん!」
「・・・まったく。今日は本当によく後をつけられる日だ」
何かを聞き取ったようにシャムミルが叫んだ。アイズの言葉にタクミ達も後ろから迫ってくる何かに気づいた。
振り返ると影が二つタクミ達を追うように走ってきている。グリドラではない影だ。
「なんだあれは!?すげー勢いで追ってきてるぞ!?」
「この状況で私たちを追ってくる者といえば姿を見らずとも予想は出来るさ」
「・・・!まさか!?」
改めて後ろを確認するタクミ。迫りくる姿を今度ははっきり確認できた。昼間あった狼人族の二人だった。
狼人族の二人は何かに乗っているわけではなく、自らの足で走りタクミ達に迫ってきていた。
「マジかよ・・・あいつら普通に走ってきてるぞ!」
「奴らは亜人族だ!亜人族は身体能力がそれぞれ違いはあるが普通の人間より高い!奴らの移動速度はどうやら私たちのグリドラよりも早いようだ!このままでは追い付かれるぞ!」
「だったら邪魔するしかないわね!」
ローゼが叫んだ。
「ベルトールの名において命ずる。我が中に眠りし業炎ごうえんの力よ、今その力をここに示せ!」
グリドラに乗った状態でローゼが紋章術を発動させた。暗闇の荒野の中ローゼの体が赤く光を放っている。ローゼが右手を迫りくる狼人族の二人の方に向けた。
「炎上壁ファイアーウォール!!」
次の瞬間タクミ達と狼人族の二人との間に地面から広範囲に炎の壁が勢いよく現れた。炎の壁は高く厚いもので簡単に突破できそうなものではなかった。
狼人族の二人の姿は炎の壁を越えてくることはなかった。どうやら足止めには成功したようだ。
「すげーな!!ローゼ!」
「へへっ!私もラザリー姉さんに負けないように頑張ってるんだから!」
ローゼが少し自慢げに笑って見せた。
「確かにあれならそうそう簡単には突破出来ないはずだねぇ・・・普通はねぇ」
サリスが遠くなっていく炎の壁を見ながら呟いた。
「サリス・・・?それってどういう意味だ?」
タクミが振り返ると勢いよく燃えさかる炎の壁を二つの影が飛び越えてくるのが見えた。炎の明かりではっきりと確認できた。
「・・・っ!あの壁を飛び越えやがったのか!?」
「嘘っ!?5メートルはあったわよ!?」
「狼人族というのは取り分けて身体能力が高いようだねぇ」
炎の壁を飛び越えてきた狼人族の二人は今度は二足歩行から両手を地面につきまるで獣のような姿勢で走り出した。
その姿まさに狩を行う狼そのものだった。走る速さは二足で走っている時よりも早くなっていた。
「おいおい・・・あれが本気ってわけかよ!狼人族の名も伊達じゃないってことだな」
「タクミっ!感心してる場合じゃないわよ!あれじゃ壁をいくつ作ってもすぐ越えられちゃうわ!」
「・・・シャムミル!シャムミルの村はこの方角を行けばいいのか!?」
タクミが先頭を走っているシャムミルに問いかけた。
「はいっ!私の故郷のキャトルの村はこの方角を真っ直ぐです!距離はあと半分くらいです!」
「そうか・・・ならなんとか行けそうだな!よしっ!」
タクミはシャムミルの言葉を聞いてグリドラを急停止させた。
「タクミっ!?」
ローゼもタクミの行動に少し走って振り返るようにグリドラを止めた。
アイズとサリスは振り返ることなくグリドラを走らせている。
「止まるなローゼ!ここは俺があいつ等を食い止める!」
「そんな!相手は二人いるのよ!?ここは私も残るわ!」
「大丈夫だって!適当に足止めしたらフライの魔法を使って向かうからよ!さすがのあいつ等も空までは飛べないだろ?だからローゼは俺のグリドラを連れて行ってくれ!」
「そう?タクミがそういうなら・・・これだけは約束してね!?絶対無茶はしないでね!」
「ああ!わかってるよ!それじゃあ頼んだぞ!」
タクミはグリドラから飛び降りた。自ら乗っていたグリドラのお尻を軽くたたいてローゼの方へ走らせた。ローゼはタクミのグリドラと共にアイズ達が走っていった方へと後を追っていった。
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