戦力より戦略。

haruhi8128

親の心子知らず

 しかし、そういう文化かと思えば、領主とか、それこそ魔王が世襲制だったりするからよくわからんな。
 上の方の地位のやつだけ大事にしてるのか?

 そういえば……。

「お前らって生まれとかも全然違うよな?」
「「「はい」」」

 そりゃそうだよな。
 髪の色とか、眼の色もかなり違うし。

「会ったのは領主のとこでか?」
「そうなりますね」
「にしては仲いいよな」

 あれだけの数のメイドがいるのだ。
 そもそもお互いに話す機会も少ないはずではないのか。
 それこそ、そもそも仲が良いという可能性を除けばだが。
 しかし、この3人は俺のところに来ることを希望したものの中で、領主が選抜した結果なはずだから、示し合わせて俺のもとに来たという事も考えにくい。

「長く一緒にいれば、仲も良くなりますよ」
「長くというと?」
「100年ほどでしょうか」

 うん、桁が違うね。
 どんな幼馴染でも俺たちではたどり着けないね。

「100年もあそこでメイド修行してたわけ?」
「まだまだこれからというくらいではございましたが、領主様の許しが出たのでご主人様の下を希望させていただいたわけです」

 100年でもまだまだなんだ……。
 メイドの道は厳しいんだな……。

「どんな家に生まれたのかとか聞いてもいいのか?」
「別に構いませんが、なぜです?」
「いや、雇用主というか、娘を預かってる身としてはどういう立場の人だったのかというのは気になるじゃん?」
「それは、両親への挨拶も見据えて……?」
「いや、なんで結婚の報告に行くみたいな話になってんだよ!?」

 シンプルに!
 興味だよ!

「私の家はもう予想がついておられると思いますが」
「あぁ。ドゥは鍛冶職か、それに準ずるところだろうな」
「はい、小さな鍛冶屋ですが、一通りは教えてもらいました。その後の発展的な技術はメイドとしての修行の際に伝授していただきましたが」

 メイド修行何でもありだな。

「言っちゃなんだが、親に反対とかされなかったのか?」
「親と話し合う事なんてしておりませんから」
「領主のところに直談判とかしてこなかったのか?」
「情報統制がしっかりしておりましたので、両親も私があそこにいるとは知らなかったでしょうから、それもありませんでしたね」

 あの領主のとこ、一種のブラックボックスじゃねぇか。
 こわ。

「お前の存在を知って、ここに凸ってくる可能性は?」
「100年も姿をくらませているんです。とっくに諦めているでしょう」

 そうかなぁ……。
 普通の親なら、諦めていたとしても存在が確認されたらあわてて駆けつけるようなもんだと思うんだけどなぁ。

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