66日目　序列

「やぁ」
「あ、キラさん。お久ぶりです」
「……いらっしゃい」

言葉とは裏腹に、ススッと私の後ろに隠れるプリンセちゃん。
まだまだ、キラさんに対する苦手意識は消えないようです。
何なら、一生ものかもです。
リブレさんは、「それはそれでいいんじゃないのか？　あいつに気を許しても特に得はないと思うぞ」とか凄い失礼なこと言ってましたけど。
なんだかんだリブレさん本人がキラさんにはある程度気を許していそうなので微妙ですかね。

「どこに行ってたんですか？　キラさんが王様の下を離れるなんて」
「ちょっと協会の方にね」
「……私関連ですか？」
「ん？　いいや？　その話は知らないけど……。レイン君も何か協会に用があるのかい？」
「いや、どっちかというとないんですけど……」

王様に聞いていたことをキラさんにも説明します。

「へぇ、そんなシステムになってるんだね」
「どうにかならないですかね？」

本当に、巻き込まないで欲しいんですけど。

「一つ、行ってみたからわかったことがあるんだけど」
「なんですか？」

確かに、他の人より、実際に行ったキラさんに聞けば何かあるかもしれません。

「序列のトップ10くらいになるともはや自由になるらしいよ」
「あてにならないですね！？」

カイルさんを遥かに超えなきゃいけないってことですよね？
というか、巻き込まれる極みみたいなところありません？

「強すぎて、管理下に置けないみたいな。でも何かヤバいことを解決してって言われるみたいだね」
「巻き込まれてますねぇ！」

じゃあ、序列持ってしまった時点で中々に縛られちゃいますね。
リブレさんは以前から序列を忌み嫌っていましたが、ここ最近でその理由がわかってきた気がします。
確かに、こんなものあっても得がないですね。
国に属するなら発言力は増しますし、いいことなのかもしれませんけど。
個人で持っているなら、特にいいことないです。

「まぁ、僕には出来ることがないよ。レベルが違ったからね」
「キラさんでもそう思うほどですか……」

私もそれなりに実力がついて、キラさんとも戦えるというレベルにはなったと思います。
ただ、勝てるかと言われるとかなり怪しいというか、ほぼほぼ負ける気しかしませんからね。
系統の違いというのはあると思いますけど。
キラさんは戦闘特化であるのに対し、私はかなり応用が利きますからね。
それにしても、キラさんは異常ですけど。
同じく戦闘に特化しているケインさんとの手合わせを見てましたけど、中々に圧倒的でしたからね。
ケインさんはケインさんでタフさが異常でしたけど。