戦力より戦略。

haruhi8128

43日目 協会

「あ、そうだ。おい、キラよ」
「なんでしょう?」
「あいつらは来ないのか? えっとなぁー……」

協会についてから10日ほど。
形式的な手続きが多すぎて満足に動けていないけど、リュートさんが世話を焼いてくれるから退屈はしないね。

「あれだ! リブレってやつと、レインってやつ!」
「2人がどうかしましたか?」

ここで2人の名前が出るとはね。

「いや、そいつらも確か二つ名ダブル持ちだっただろ?」
「まさか全員の名前を覚えてるんですか?」
「ん? まぁな。同業者のことは気になるだろうが」
「キラ、気にすんな。そいつは順位とかの数字が好きなだけなんだ」
「いや、おっさんよー。順位を上げてきてる奴らは気になるだろうが」
「まぁ、それは否定せんがな」

「2人は今動けない事情がありまして……」
「ふーん、そうか。俺がそっち側に行くことはないからな。戻った時には協会に来てみるようにでも言ってみてくれ」
「一応、覚えておきます」

いつリブレ君が動けるようになるかはわからないけどね。

「ところで、カイル殿」
「あぁ、掛け合ってはいるが、まだだな。まぁあっちも忙しいだろうから我慢してくれ」

カイル殿には上位1桁の方へのアポイントをお願いした。
僕ごときじゃ会うことは出来ないからね。
ただ、カイル殿くらいになると時間をとってもらえるらしい。

そもそも、9人しかいない1桁は神様が認めたこの世界で影響力の高い人たちである。
放棄している人も少しはいるらしいけど、基本的には協会にいて各国の統率などに当たっているらしい。
僕もここに来るまで知らなかったけどね。

ただ、戦力をここに集中させるわけにもいかないから、基本的には1人在中で、他の人は各地で何かしらの対応に追われているらしい。
そして、そこからあがってくる情報をまとめるのがここに残っている1桁の人の役割らしい。
つまり、1桁ともなると国に属するには過剰な戦力となり、協会に属するという形になるようだね。

「情報伝達はどのように行っているのでしょうか」

僕が走っても各地を回るのには時間がかかるよね。
もちろん、僕より速い人もいるんだろうけど、それだとその人の負担が大きすぎると思うんだけど。

「それはトップシークレットになっている。噂では、1桁にだけ共有される何らかの通信手段があるとか。まぁ、俺たちには関係のない話だ」
「おいおい、おっさん。老い先短いあんたにゃ関係ないかもしれんが、俺にはまだ可能性あるんだからな?」
「あぁ、そうだな。悪かった」

1桁の順位変動はあまりないはずなんだけど、それでもいけるかもしれない実力者なんだよね、リュートさんは。
凄いなぁ。

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