戦力より戦略。

haruhi8128

素手でもそれかい

「「「いらっしゃいませー」」」
「「「「いらっしゃいましたー!」」」」

今日も今日とておっさん共に盛況なラーメン屋である。
いい年したおっさん共が口をそろえて「いらっしゃいましたー」とか言う様は非常に見るに堪えないものであるが、お客様なので、我慢である。

もちろん俺はまた上空から見守っているのだが、報告の通り、従業員たちも仕事が板についてきている。
特に、商品の受け渡しを男の子が担当することにより、メイドたちとおっさん共の過剰な接触を防ぐことが出来るようになっているのが俺としてはでかい。
そして、それにより副次効果がもう1つ。

「お姉さん、1杯食べていきませんか?」
「あら、お姉さんだなんて。口が上手いのね」
「あ、気に障ったのならすみません。特にお世辞を言ったつもりではないのですが……」
「いえいえ、いいのよ。折角だから、1杯もらおうかしらね」
「ありがとうございます!」

マダムたちへの客引きである。
この世界、基本的に顔が端正である。
身内びいきになるが、メイドたちはその中でも上位だし、リオンはさらに言わずもがなである。

で、顔が端正で、あまり食ってなかったところに筋トレを始めていい感じに細マッチョとなりつつある従業員たちがスマイルでお世辞の1つでも言えば割と買ってくれるのである。
しかし、これについては俺がなにも関与していないのが謎である。
俺なら、確かにこういう狡いことを考えるが、これは本当にメイドが画策したのか、本人たちがやっているのかはわからない。

「まぁ、工夫してプラスになるなら構わないけどな……」
「主、来たぞ」
「了解、リオン」
「まっかせてー」

家に凸って、成果が出なかった。
そして、それを防いだのは俺である。
よって、俺がいないところから突破してやろうとするのは当然である。

まぁ、こんなに早く来るとは思わなかったけどな。
一応、見守っていただけなのだが、本当に来るとは。

「やぁ、元気か」
「うん、みんなに手出しはさせないよー」

屋台は町中にあるので、集団で集まるということは出来ない。
よって、少人数で小分けに待機しているのだ。
そこに、空中から登場。
一瞬でリオンが殲滅し、次へと向かう。

この行動は、ばれたらかなりしんどくなるが、リオンにいつものハンマーを使われると、すぐにばれてしまうからな。
ボクシンググローブみたいなやつを渡して素手でやってもらっているのだが、それでもなお余りある殲滅力。
秒である。

相手に声を出す暇も与えない。
少人数と言えども、10人ほどはいるのだが、まじで秒。
俺は多少バインドをかけているだけでいい。

本当に、リオンさまさまである。

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