地下室は男の夢

「とりあえず、ここで生活してもらうことになる」
「こんな広い空間が……」

俺が案内したのは家の地下。
家が狭い分、地下に勢力を広げていたのだ。
アンリさんの家に温泉掘ったのと同じ原理でリオンが穴を掘り、俺が土砂を運んでいた。
違う点は今はメイドがいるという事である。
1人ではすぐに筋肉痛になり、やってられなかったのだが、交代でやれば割とできたのだ。

何のために作っていたかと言われれば、あまり意味はない。
だって、格好いいじゃん！？
隠し部屋とか！
やってみたかったんだよ！
結果として爆弾製造工場になってたわけだけど。

「男女は分けさせてもらう。怪我をしてる奴はさらに別部屋な。狭いと思ったら言え。自分で働いて広げる分には許可してやる」

それだけ言い残して地上階に戻る。

「あそこって空気は大丈夫だよな？」
「万全です。と言いますか、ご主人様はあそこで作業されていたでしょう」
「あんなに人数が入るとは思ってなかったんだよ」

じゃあ、何のために広げていたのかと言われれば、なんとなくとしか答えようがなくなるわけだが。

「よし、じゃあとりあえず話を聞かせて貰おうか」

生き残っていたやつらの中で各陣営の一番偉い奴を集めてもらった。

「まずは、今回来た中で自分がどのくらいの地位だったか」
「自分は、隊長です」
「自分は副隊長です」
「私は、中隊長になります」

3陣営がいたらしいが、1つの陣営だけ上位者がかなり死んだらしく、中隊長が一番上になってしまったらしい。
しかも、女性だ。
いや、それはいい。

「今の待遇に不満は？」
「いえ、我々は捕虜ですので……」

隊長が代表して答える。

「まぁ、それはそうなんだが。環境がヤバくて変な病気でも蔓延されたら困るし」
「いえ、我々としても思っていたよりいい環境でして」
「そうか、ならいいだろ。で、こっちは一個人だ。お前らの食費なんざ賄う余裕はないわけだ。よって、金目のものは全部出しやがれ。服とかも用意してやるから売って高くなるものは全部だ。ちなみに、金がなければ削られるのはお前らの食費だ」
「了解しました。他には何かございますでしょうか」

物分かり良すぎだろ。

「なぁ、捕虜ってこんなもんなのか？」
「少なくとも、この世界ではそうですね。実力主義ですので、負けを認めた時点でかなり恭順の意思が強くなります。加えて、ご主人様に処断するという意思がないことも、1つの要因かと」

こそこそとそんなことを確認するが、その間もこちらをずっと見てきているのでかなり居心地が悪い。

「どうした？」
「いえ、先ほどとはずいぶんと印象が違うなと思いまして……」

女性中隊長に言われてしまった。

「そりゃそうだろ」

いつまでも気を張ってられるか。